>   >  オレンジによる『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』CGメイキングアニメ作品でありながら特撮感のあるCGカットを目指す!
オレンジによる『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』CGメイキング<br/>アニメ作品でありながら特撮感のあるCGカットを目指す!

オレンジによる『アクティヴレイド -機動強襲室第八係-』CGメイキング
アニメ作品でありながら特撮感のあるCGカットを目指す!

猛銃號


▲第6話に登場した猛銃號。往年のロボットアニメのメカを彷彿とさせるデザインに仕上がっている。他のウィルウェアではIKなどを使って、人間らしいアニメーションを付けられるようにセットアップされているが、この猛銃號はあえてFKによる関節の軸の回転だけでアニメーションが付けられている。「あえて簡単なリグにしていますが、単純な動きにならないように気をつけてアニメーション付けしています。そのへんが非常に楽しいメカですね。デザインは昔の勇者ロボ風で格好良く動くという感じにしています」(都田氏)

ミュトスのウィルウェア


▲犯罪ネットワーク・ロゴスのミュトスが着用するウィルウェア。バイク形態へ変形したり、タイヤが変化した蛇腹状の鞭をくり出すなど、複雑なギミックが施されたモデルだ。「鈴木勘太氏のデザインが素晴らしかったので、なんとか整合性をとって3Dモデルとして作り上げたいと思っていたのですが、上手くジョイントパーツを作ってもらってデザインを崩すことなく作成してもらえました」と藤田氏。蛇腹状の鞭のギミックでは、鞭として伸びた際に通常スプラインIKを使用したセットアップではねじれが発生してしまい、上手く表現できなかった。これを解消するためオレンジ社内で検証を重ね、それぞれの蛇腹がカメラに対し綺麗に映るよう調整、セットアップされている

ヴァーチャルマスコットLiko




▲本作のCGモデルの中で最初に手がけられたのが、ヴァーチャルマスコットのLikoだ。原案からひとつの個性をもったキャラクターとしてどのように表現していくかに注力したという。これまでオレンジが手がけたCGキャラクターのために開発した技術をつぎ込んで作り上げられている。ヴァーチャルマスコットという位置づけから、踊ったりキャッチーな動きが多いため、モーションキャプチャに対応したリグや、フェイシャルアニメーション、長い髪の毛やアクセサリといった揺れものなどのリグも細かく設定され、魅力的な動きのできるキャラクターとして仕上げられている。なお、揺れものは基本的にスプリング制御をプラスして衝突判定をMassFXで習得し、頂点に焼き込むように設定されている

オートモーフ「Camera-O-Matic」


▲Likoのフェイシャルにはオレンジが開発したCamera-O-Maticが組み込まれている。Camera-O-Maticは、カメラの位置に応じたキャラクターのフェイシャルのオートモーフを可能にする技術だ。顔オブジェクトとカメラの相対角度を習得して、あらかじめ用意されたモーフターゲットから最適な変形モーフを適用することができる。これまではカットごとの見え方に合わせて顔の形状を変化させたり、目の位置を変えたりしていたが、このスクリプトを使うことで、カメラを動かした際にリアルタイムで変形が適用される。画像上が未対応の状態で、下がCamera-O-Maticを適用した状態。顔の輪郭が大きく変化しているのがわかる。Likoの表情の描画は、他の作画に合わせて眉やまつげが髪の毛を透過するようにPencil+で設定されている

ウィルウェアのルックとハイライトのテクスチャ

▲ウィルウェアのルックは、Pencile+を使って構築されている。今回は作画に合わせるため若干太めのラインが設定された。これにより作画と相性が良く、よりセルに近い表現ができるとのこと。長年、アニメルックのCGキャラクターを手がけてきたオレンジならではのノウハウだ。なお、第8話からはモデルにハイライトテクスチャを導入している。以前のモデルはポリゴンモデリングベースでハイライトを表現していたが、ポリゴン数のリソース問題や差し替え作業の負担、激しいアニメーション作業ではスキニングの都合でめり込みなどが起こったため、レギュラーで登場するモデルに使用。そのほか、ストレッチやスケールがかかる場合などでも利用された

LH Auto-Rig の活用とセレクタ

ウィルウェアやLikoのモデルのリグは、LH Auto-Rigを使ってセットアップされている。LH Auto-RigはCG-Animationが開発したオートリグセットアップツール。3ds MaxのBipedやCATに比べて機能が豊富で、ながれ作業的にリグの設定ができるため、非常に効率良くセットアップすることができる。アニメーションの表現もしやすく、モーションキャプチャにも対応しているため、本作のキャラクターにはとても重宝したという。

▲<A>LH Auto-Rigの初期生成状態。ここから関節位置をキャラクターの特徴やプロジェクトの仕様に合わせて設定していく

▲<B>ボーンの構造が完成した状態。この後、ボーンのストレッチや自動補完される内部的なパラメータなどをオレンジ内の仕様に合わせて設定していく

▲<C>LH Auto-Rigで生成したリグの仕様をオレンジ社内の仕様に合うように調整したもの。この状態で汎用モーションを使って動きをチェックし、各キャラクターのもつ特有のリグを作成していく

▲<D>最終的なセットアップが終わったエルフΣ。オレンジではオリジナルのヘルパーセレクタを開発しており、アニメーターがストレスなくヘルパーを使ってアニメーション付けができるようになっている

Profileプロフィール

オレンジ/Orange

オレンジ/Orange

左より、モデリングチーフ・大杉 翼氏、CGディクタ―・都田崇之氏、CGプロダクションマネージャー・藤田進夢氏(以上、オレンジ)

求人情報:http://cgworld.jp/jobs/21018.html
会社情報:http://www.orange-cg.com

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