<2>フェイシャルアニメーション
ツークン研究所ではDynamixyzのPerformer2 SVをメインツールで使用していることについて「実はFCAPサービスを開始する以前からDynamixyz社と共同研究を行なっており、そのながれから開発者とのやり通りも多く最も扱いに慣れていた、という経緯がありました。これらの研究と並行し、様々なFCAPのソフトウェアを比較検証した結果、Performerが弊社の志向にあっていると判断して現在使用しています」(木下氏)。Performerの利点はトラッキング、リターゲティング作業を行うためのツールのアニメーターライクな仕様とのこと、アニメーターが任意に選んだ表情を記録し、ライブラリに蓄積していくことで解析の精度が高くなる。この特性を活かして非常に多くの表情ライブラリを登録し、豊かな表情を生み出したそうだ。「収録はもちろんパフォーマンスキャプチャで行なっています。収録後にカメラをFIXさせるため、一度未調整のbodyとfaceのデータを先に納品させていただいた後にポリッシュしたアニメーションを最終的に納品させていただいてます」(木下氏)。「まだ完全に調整してないデータを最初にTELYUKAにお渡ししてレンダリングしてもらったのですが、そのときの衝撃は大きく期待が膨らみました」(三鬼氏)。フェイシャルリグについてはジョイントスキンベース(本誌P30参照)で制作されている。FCAPを収録するということでTELYUKAにアドバイスをすることもあったそうだ。現時点では未公開だが、フェイシャルチェック用にレンダリングしたWIP動画を拝見させていただいたところ、顔のシワや首の筋などかなりリアルに表現されていることが確認できた。特に女性キャラはシワが入るとかわいさがなくなるのだが、造形のリアルさも相まってとても良いバランスとなっている。非常にクオリティの高いものとなっていることからデジタルヒューマンの可能性を大きく感じることができた。
前述のとおりヴァーチャルカメラを併用した収録も行われた。「ちょうど収録の際ロゴスコープ/亀村氏が持参したカメラがあり、スタビライズも付いていたので現場でマーカーを付けて収録したのです」(三鬼氏)。カメラデータは最終的には調整を加えたが、収録時のプリビズ時に効果を発揮したそうだ。ボディアニメーションはMotionBuilderで全て完結させており、複雑なことは行なっておらずシンプルなフローだったそうだ。
Dynamixyz「Performer」によるフェイシャル解析
TELYUKAから提供されたフェイシャルリグ。コントローラはFACSベースに分けられており、それぞれにさらに細かい制御が行えるようになっている
リグと合わせて提供された仕様に関する解説動画。Dynamixyzの解析ツール「Performer」UI
-
約600枚におよぶアクターの微細な表情のちがいをサンプリング
-
サンプリングした表情群が正確にアニメーションするようポーズの調整をくり返す。アニメーターフレンドリーな仕様になっているのが、ツークン研究所の「ハイエンド&ハイクオリティ」という志向にマッチしているそうだ
アクターとSayaの表情比較
アクター吉良氏の表情とSayaのフェイシャルアニメーションを比較したもの。若い日本の女性らしい所作が見事に反映されている。