働きやすい職場を目指して
CGW:御社で行なっている、働きやすい環境づくりについてお聞かせください。
大島:基本的な部分では......労働時間は13時~17時をコアタイムとしたフレックス制で、月に159時間は働いてもらい、それ以上は残業代を支払っています。
塙:基本的な労働時間が決まっているからこそ、その中で作業を終えられるように効率化しようと頭を使います。時間がある限りいくらでも作業を続けるやり方では成長しないのではないか、と個人的には思いますね。
大島:有給休暇も100%取得してもらっています。有効期限があるので、たまっている人には僕の方から「そろそろ切れそうだから、今月末に4日くらいとってね」と取得を促しています。
塙:有給をためて海外旅行をする派もけっこういますよ。今(取材時)もひとり、3週間ほどインドに旅行へ行っています。
CGW:それはすごいですね! その間、仕事が滞ることはありませんか?
大島:1週間以上休むときは2ヶ月前に申請するルールにしているので、あらかじめ人手を把握できます。最初からいないつもりで仕事を調整するので大丈夫ですよ。
塙:休暇に関しては、冠婚葬祭時にお休みがもらえることも重要です。家族や友人の大事な行事ですから、参加できないとせっかくの人間関係が疎遠になり、結果として自分の世界・視野が仕事だけになって狭くなってしまうかもしれません。コロビトは休暇がもらえるので、私は社会から隔離されていないという実感があります。
大島:福利厚生としては、健康診断に加え2年に1回の人間ドック(30歳以上)、中小企業退職金共済(中退共)や三大疾病付きの保険への加入などもあります。本人だけでなく、奥さんとか家族にも安心してもらえますし、何より体が資本ですからね。ほかには育児休暇もありますよ。女性だけでなく、男性の育児休暇も奨励しています。
塙:実際に私や男性の上司も1ヶ月ほど育児休暇を取らせてもらいました。
大島:会社の設備面だと、コロビトは新しいソフトや3D素材、レンダリング・業務用PCもすぐ買っちゃいますね。残業代を出して長時間働いてもらうよりも、ソフトや素材を買う方が費用対効果の面で安いというスタンスです。レンダリング機材も社員数に比べて多いと思います。少ない台数で処理速度が遅くなれば、かえってお金がかかりますから。
塙:全員デュアル・ディスプレイなのも、効率の面で大きく貢献しています。
大島:PCもなるべく良いものを使って、処理速度を速くするようにしています。PCを2台使っている人もいますよ。道具のせいで時間がかかることが嫌なので、贅沢に導入しています。また、新しいソフトの講習会も行なっています。
デュアル・ディスプレイで作業する同社CGモデラーの菊地 成氏。「もうシングルモニタには戻れません」とは塙氏の言葉
CGW:社員の方目線で、働いてみていかがですか?
塙:私はコロビト在職時に結婚・出産を経験しています。結婚式も出産のときも、数日の特別休暇をいただきました。出産時は、妻の実家まで行き、無事に立ち会いもできて良かったです。素直に感動したと言いますか......もし立ち会わなかったら「生まれたんだね、良かったね」っていう言葉だけになって、身近に感じられなかったかもしれません。すごく苦しそうにしている妻の姿を見て「ああ、すごくがんばってくれているんだな」と感動しましたし、より「仕事をがんばらなくちゃ!」という気持ちになりました。さすがに忙しい時期だと難しいかもしれませんが、運良くプロジェクトが終わりの時期に入ったので、その後1ヶ月ほど育児休暇も取っています。
CGW:男性の育児休暇はまだまだ珍しいですよね。取られてみていかがでしたか?
塙:すごく良かったですね。育児休暇中も給料の6~7割の給付が受けられます。給付額の算定の基準には、基本給だけでなく残業代も含まれているので、それなりの金額をいただけました。もちろんお金のことだけでなく、家族との関係という面でも、育児休暇を取れたことは大きかったです。女性は産後、昼夜関係なく3時間ごとの授乳や頻繁なオムツ替えなどを行うため身体的にも辛いですし、ホルモンバランスの関係で精神的にもとても不安定になります。そんなときに支えてあげられなかったら、下手したら離婚の可能性も出てきちゃうくらい重要な時期でした。
CGW:産褥期とか、産後うつ・産後クライシスといわれる問題ですね。
塙:はい。出産前は気にならなかったような些細なことでも精神的に参ってしまうんです。私は男なので全ては理解できないかもしれませんが、納得しようとする姿勢は必要だと感じました。そういう不安定な時期に妻を手伝えたことは、良かったです。実際の育児経験は今後にも活きてきますし、1ヶ月があっという間でした。
CGW:大切な時間を過ごされたのですね。その一方で、会社の負担は大きくなりませんでしたか?
大島:会社の負担はそこまで大きくないですね。1ヶ月くらいじゃブランクにもならないですし、他の人ができる仕事もありますから。もし休暇中の給付金を全額会社が負担するとなると大変ですが、ハローワークの育児休業給付という制度があるので、金銭的な負担もそれほど大きくはありません。それに、生涯で何十人も子どもを産むわけではありませんから。だったらしっかり休んで家族との時間を大切にして、また会社に戻って仕事をがんばってもらった方が会社としても良いですし、僕もその方が嬉しいですね。
塙:私は、先輩の姿に将来的な自分の姿を見ると思うんです。私自身、コロビト入社時に既婚者やお子さんのいる社員がいるのを見て、自分も結婚できる・子どもをもてると安心しましたし、上司が育児休暇を取っていたり、子どもの風邪の対応に有給で休んでいたりするのを見て、私も取って良いんだと思えました。
大島:働きやすい環境というのが差別化になるのであれば、そういう環境が良い人材をつれてきてくれたり、社員が長く働いてくれたり、会社のメリットは大きいと思います。
これからの展望
CGW:最後に、御社の今後の展望をお聞かせください。
塙:私的なことでは、共働きをしながら、将来的には2人めの子どもがほしいです。会社的なこととしては、今は人数がそれほど多くないから上手くまわっている面もあるので、今後、人が増えて、扱うデータ量やアセット管理が増えても、効率的に仕事をまわせるパイプラインを構築したいです。自分の仕事の効率化のために書いたスクリプトがあるので、その共有も試みています。
大島:会社としては、続けてもらえる社員には長く続けてもらいたいので、社員だけじゃなくて、その恋人や奥さん、友人などまわりの人にも好かれる会社にしたいですね。「そんな会社は辞めた方が良いんじゃない?」と大事な人に言われると、辞める大きな動機になってしまいますから。
塙:私も妻に言われたらきっと考えてしまいますね......。
大島:仕事的には、最近ハイクオリティな案件をいただき、すごく面白いので、こういう仕事の比率を増やしていきたいです。後は、僕は働いて17年目なのですが、今でも現役モデラーをしています。同年代の人は、会社で偉くなって管理や後輩の育成・交渉ごとにまわり、上手いのに自分ではつくらなくなっちゃうことも多い。最初はものをつくりたくてこの業界に入ったのに、つくらなくなっちゃうのは寂しいですし、30~40年もキャリアがある人がつくったら、一体どんなすごいものがつくれるのか見てみたいです。だからコロビトでは、キャリアがある人も現役クリエイターとして30年40年やっていただきたいですね。そして僕自身も、これかもずっとつくり続けたいと思っています。
サーバルーム。将来を見越し、長い目で考えて、機材まわりへの投資は贅沢に行われている