石川県を拠点に、オフィスを持たない完全フルリモートのCGプロダクションwring(リング)の代表を務める永源一樹氏。
地方各地に点在するスタッフと高品質な3DCGを作り続ける永源氏が、「緩く、長く」働き続けられる組織づくりの秘訣として掲げるのが徹底的に仕組みで課題を解決する、そして標準的なPC環境を整えること。その中核を担うのが、マウスコンピューターのクリエイター向けPC、DAIVシリーズだ。地方×フルリモートという働き方を支える仕組みと、最新ノートPC「DAIV S5-A7G60SR-A」の実力に迫る。
プロフィール
永源 一樹 氏(Kazuki Eigen)
wring
石川県出身。都内の映像制作会社に勤務した後、石川県でのフリーランス活動を経て、2021年に以前の同僚たちと共にCGプロダクション「wring(リング)」を設立。フリーランス時代から長年マウスコンピューターの「DAIV」シリーズを愛用しており、現在は石川、三重、京都、大阪を拠点とする社員8名、業務委託4名の計12名体制で、ゲームやアニメの3DCG制作からドローンショーの演出まで幅広く手がけている。
物理的な「集まり」を諦めたからこそ見えた、3人での新たな出発
CGWORLD(以下、CGW):永源さんが石川に拠点を置かれている理由を教えてください。
永源 一樹 氏(以下、永源):一番の理由は、地元である石川県が好きだからです。かつては都内で働いていた時期もありましたが、人混みが苦手で、静かな環境で趣味のアウトドアを楽しみながら仕事をしたいという思いもありました。
CGW:石川でフリーランスで活動した後、会社を立ち上げられたそうですがそのきっかけを教えてください。
永源:フリーランスとして石川を拠点に3年ほど活動していた頃、「1人ではすこし仕事量が抱えきれないな」と感じ始めた時期がありました。ちょうどそのタイミングで、かつて共に働いた元同僚たちも独立を考えていたんです。ただ、私が石川、1人は岐阜、もう1人は三重と拠点がバラバラで、物理的に集まるのは難しい状況でした。当時はコロナ禍でオンライン仕事の可能性も感じていた時期でもあったので、「それならいっそ、最初からオフィスを持たず、3人でリモートワークの会社を作ってみようか」と。それが「wring」の始まりです。
標準的なPC環境を整える リモートを支える「DAIV」への信頼
こうして生まれたフルリモートの組織を支えるうえで、永源氏が一つの柱として重視するのが標準的なPC環境を整えることだ。
CGW:オフィスがないリモート環境では、各スタッフの機材管理が非常に重要になるかと思います。その点、wringでは長年マウスコンピューターの「DAIV」を標準機として採用されているそうですね。
永源:はい。弊社では標準的なPC環境を整えることを原則に組織を運営しています。設立当初から、石川、三重、京都、大阪と各地に点在するスタッフに支給するPCは、すべて「DAIV」で統一しています。
CGW:あえて同一メーカー、同一スペックに揃える理由はどこにあるのでしょうか。
永源:リモートワーク環境で全員のスペックを統一しておけば、不具合が生じた時に「マシンエラーなのか、ソフトエラーなのか、あるいはデータの不備なのか」といった切り分けが非常にスムーズになります。また、マウスコンピューターの素晴らしい点は、PCに使用されているパーツが標準的なものになっているので、購入時期が変わっても希望の構成で揃えられやすいことです。他社製品だと、時期がずれると構成がガラッと変わってしまい、社内で機材ごとのパフォーマンスを統一するのが難しいことがありますが、DAIVなら「wringの標準構成」を維持したまま機材を増やせる。この制御のしやすさが非常にありがたいんです。
徹底した「仕組み化」でリモートの壁をゼロにする
CGW:CG制作、特にアニメーション制作をフルリモートで行うのはハードルが高いイメージがありますが、どのように実現されているのでしょうか。
永源:実は、リモートで制作を行うにあたって困っていることってあまりないんですよね。まず制作面では、動画共有・レビューツールの「SyncSketch(シンクスケッチ)」を活用しています。動画をアップロードすれば、作画監督がフレーム単位で「赤ペン」を入れるように直接指示を書き込めるので、リモート特有の「ニュアンスが伝わらない」という問題が解消されました。
CGW:データ管理や事務作業も徹底して効率化されていると伺いました。
永源:はい。大容量データは容量無制限の「Box」をメインサーバーにし、書類系はGoogleドライブと使い分けています。また、専任の総務を置かずに済むよう、マネーフォワード(会計)、モバイルSuica(交通費精算)、Paild(経費管理)、Web郵便(請求書の発送代行)などのクラウドサービスをフル活用しています。これにより、本来制作に向けるべきリソースを間接業務で削られないようにしています。
「緩く、長く」制作に没頭するために。クリエイターを守る環境づくりの極意
CGW:コミュニケーション面での工夫はありますか?
永源:基本はSlackですが、補足が必要な時はバーチャルワークスペースの「Gather(ギャザー)」を使います。ドット絵のRPGのような空間に各々のデスクがあり、画面共有しながらすぐに相談できる環境です。不定期で「オンラインバー」を開いたりして、雑談が生まれる遊び心も大切にしています。また、定期的に社員旅行も実施し、オンラインだけでは生まれにくいリアルなつながりも大切にしています。
CGW:リモートでもメンバー同士の距離ができないための環境づくりに注力されているのですね。
永源:他にも、リモートだとメンタル面の不調に気づきにくいため、外部の人事プロによる「月1回の1on1」を実施しています。私には直接言いづらい不満や悩みも、第三者の方が話しやすいという側面があると思います。また、「クリエイターの集中力を削がない」ことも長く働くための工夫の一つです。弊社では代表の私以外、極力打ち合わせを入れない方針をとっています。制作の手を止めず、自分のリズムで仕事に没頭できる環境を守る。これも、都会のスピード感に疲れたクリエイターが、地方で健やかに働き続けるための重要なポイントだと思っています。
「PCは消耗品」という哲学。それを支えるサポートへの絶対的信頼
CGW:永源さんはフリーランス時代から長年「DAIV」を愛用されているそうですが、数あるPCブランドの中でなぜマウスコンピューターだったのでしょうか。
永源:最大の理由は、圧倒的なサポートの手厚さです。フリーランス時代、使用していたノートPCに不具合が出たことがありました。問い合わせたところ、迅速に新品への交換対応をしてくれたんです。この時の体験が、今のリピートに繋がっています。
CGW:クリエイターにとって、PCが止まることは死活問題ですからね。
永源:そうなんです。私は「PCは消耗品である」と考えています。どんなに高価なマシンでも、壊れる時は壊れます。大事なのは、壊れた時にいかに早くバックアップ体制を敷けるか。マウスコンピューターは国内生産なので納期が非常に早く、何かあったときにサポートチャットで細かく問題を切り分けをしてくれたりと、対応の選択肢が広いのもありがたいです。地方で活動する我々にとって、すぐに届き、すぐに直るという安心感は、何物にも代えがたいインフラなんです。
DAIV S5-A7G60SR-A 検証結果 プロの現場で通用するハイパフォーマンスを発揮
CGW:永源さんは普段、デスクトップの「DAIV Z7 Z-590」を作業用PCとして使用されていますが、今回は最新の15.3型ノートPC「DAIV S5-A7G60SR-A」を検証していただきました。具体的にどのような検証を行われたのでしょうか。
永源:Mayaで扱う、約8,000フレーム分のアニメーションを含む比較的重いシーンデータを使い、ローカルにダウンロードせずサーバー上から直接読み込むテストを行いました。既存の作業用デスクトップ(DAIV Z7 Z-590)と検証機のDAIV S5を比較した結果、ノートPCの方が約20秒も読み込みが速かったんです。
検証に使用した機材 DAIV S5-A7G60SR-A(S5A7G60SRAGDW102DEC)
| スペック | |
|---|---|
| CPU | AMD Ryzen™ AI 7 350 プロセッサ |
| GPU | NVIDIA® GeForce RTX™ 5060 Laptop GPU |
| メモリ | 32GB |
| SSD | 1TB NVMe SSD(M.2 PCIe Gen4 x4 接続) |
DAIV S5-A7G60SR-Aの実力は?
後半では永源氏がMayaデータを使ってDAIV S5-A7G60SR-Aの検証を行った結果や、クリエイターにとってのノートPCの可能性を深掘り!
続きを読むTEXT&EDIT_持田 睦子 / Mutsuko Mochida