GPUレンダラーの計測結果
RTX ON/OFFの差でも大きな差が
検証にあたって、南部鉄器とギター(ストラトキャスター)を描いたフルHD(1,920×1,080ピクセル)解像度の2つの画像素材を用意。Cinema 4DでOctane RenderによるGPUレンダリングを実行し、それぞれのレンダリングにかかった時間を計測した。また検証機3において、RTX3070を含むRTXシリーズはリアルタイム・レイトレーシングに対応するため、その機能が有効な「RTX on」と無効の「RTX off」の設定でそれぞれ計測した。
検証結果では、まず検証機1がグラフィックスボード非搭載のためOctane Renderを使用することができず、両方とも「計測不可」となった。次に、南部鉄器では検証機2(GTX 1650)が24分31秒、検証機3(RTX 3070)はRTX offで13分50秒、RTX onで4分25秒。ギターでは検証機2(GTX1650)が37分2秒、検証機3(RTX 3070)はRTX offで12分24秒、RTX onで9分32秒となった。
GPUはGTX 1650とRTX 3070でそれなりの差が出るのは当然だが、RTXのON/OFFでも南部鉄器で約3倍の差が出たことは、朝倉氏としても「ちょっとした驚き」だったようだ。南部鉄器であればGTX 1650とRTX onのRTX 3070との差が約6倍にもなるため、今買うのであれば「(予算の許す限り)RTX対応のグラフィックスボードを選んだ方が大きなアドバンテージになる」と結論づけた。
メモリはどれくらい積むべきか
まずメモリについて、朝倉氏によれば検証機1(16GB)は「CPUレンダリングの検証が終了した後に、挙動が不安定になったり落ちてしまったりする現象が起きた」とのこと。また検証機2(32GB)でも「レンダリング後に、改めてビューポートにテクスチャを読む段階で挙動がおかしくなった」とのことで、どちらも原因は「メモリ不足」と分析する。またCG制作のみならず、After Effectsを使った映像編集やマルチタスクでの作業、あるいはWebブラウザなども含めてメモリはいくらあっても困ることはないだけに、「今の時代は学生レベルでも64GBあった方が良い」というのが朝倉氏の正直な感想だった。
ストレージは、今回の検証機では3台全てで「NVMe対応 M.2 SSD(500GB)」を搭載。OSやソフトウェアの起動、インストールなどはとてもスムーズで、朝倉氏は「やはりSSDは快適。HDDよりも作業効率が断然違う」と満足げだった。また、実作業においても「例えば、TIFFの画像ファイルを連番でリアルタイムに再生する場合はストレージのスピードが大事。また、ソフトウェアのプラグインの読み込み時間にも影響する」と、ストレージの速さ(=SSD)の重要性を説いた。一方で、500GBでは容量的に心もとないことから、データ保存用のストレージ追加を提案。お勧めはもちろんSSDだが、「予算的に厳しいようであれば、こちらはHDDでもかまわない」とした。
まとめ
検証を終えて:パーツを1ランク上げるならオススメは「メモリ」
今回、朝倉氏がパフォーマンスのちがいを一番感じたのは「メモリ」。3モデルを比較するなかで、体感速度や作業効率に大きな差を感じたそうだ。これまでに紹介してきた検証以外にも、例えばAfter Effectsではメモリによって「RAMプレビューのプレビュー範囲が大きく変わった」ほか、Photoshopでは「約100の大量なレイヤーを使ったPSDファイルを開こうとしたとき、検証機1(16GB)では開けなかった」という。このような点も含め、朝倉氏は「予算の範囲内でどこかのパーツを1ランク上げようとなった場合、オススメはメモリ」と断言。さらに「パーツ選びで迷った場合、別のパーツを1つ下げてでもメモリを上げた方が良いかもしれない」と付け加えた。
また各モデルの総評として、検証機3はRTX 3070の高い性能に感服し「GPUを多用する作業はかなり快適になる。さらに、CPUやメモリにも余裕があるため、基本的なプロの仕事に対して不足はない」とまとめた。検証機2はCore i7の優秀さもあり、ひと通りの作業を難なくこなす「予算と性能のバランスが取れたマシン」と評価。検証機1はメモリ不足とグラフィックスボード非搭載は課題だが、「ビジネス用途+αレベルの映像編集等であれば問題ない」としてメモリやGPUのアップグレードをふまえた利用を提案した。
01:Core i9に迫る性能を見せたCore i7なら、CG制作でも不満なし
02:GPUはRTXシリーズを選んだ方がアドバンテージが得られる
03:余った予算でアップグレードする場合、オススメは「メモリの増強」
検証の裏付けのあるパソコン工房を推薦
"外さない"構成が手っ取り早く選べる魅力
朝倉氏には今回、スペック以外でのPC選びのポイントも聞いた。例えば、PCを手に入れる手段としては「大手メーカー製PCを購入する」、「PC専門店が販売するショップブランドPCを購入する」、「各パーツを購入して自作する」といった選択肢がある。このなかで、朝倉氏が初心者や学生にオススメするのは「PC専門店が販売するショップブランドPCを購入する」だ。
というのも、まず大手メーカー製PCは「パーツ構成がクリエイティブ用途に特化されていない」ため、CG制作には向いていないことが多いから。次に自作は、そもそも組み立てるための基礎知識が必要であるほか、自分で組んでも値段的に「ショップブランドPCと大差ないこともある」からだ。さらに、相性問題や初期不良への対応なども考慮すれば、「ショップブランドPCが最適解」と朝倉氏は力説する。
また、「Windowsを選ぶか、Macを選ぶか」という選択肢もある。これについて朝倉氏はMacがAMD製のグラフィックスボードを採用している点を指摘し、「3DCGをやりたい人は、使えないソフトウェアやプラグインのあるMacでは厳しい」ことから、よほどの理由がない限りはWindowsマシンを勧める。
これらの理由から、Windows搭載のショップブランドPCを購入することがもっとも望ましいわけだが、そういったなかでパソコン工房ならではの魅力を聞いた。BTO対応することで自由度の高い構成を組めるのがショップブランドPCの大きなメリットのひとつだが、パソコン工房はカスタムの幅は非常に広いことから「自分の望むマシンが手に入りやすい」と朝倉氏は語る。これに加えて、「安定性や相性に対して、部材やパーツ単位の選定などはとてもしっかりしている印象がある。そういった部分は普段使っていても気づきにくいが、それが堅牢性などにつながってくるので、そこは非常にオススメできる」と付け加える。
また、クリエイター側の視点を持っていることにも触れ、「クリエイターにとってどういったモノが使いやすいかを考えている」と感じるそうだ。実際、今回の検証機3はケース上部に頑丈なハンドルが付いており、楽に持ち運べる仕様だった。朝倉氏は現場にデスクトップPCを持っていくこともあるため、「これは普通にいいなと思った。細かいところではあるが、そういったニッチな需要にも応えてくれるところはありがたい」と話す。
そのほか、今回のような取り組みも含めて「様々な検証の下地がある」ことを、朝倉氏は「他社にない強み」として挙げる。PCは安い買い物ではないだけに、そういった部分が「信頼感や安心につながり、大きな失敗も減らせる」と締めくくった。
CG制作&動画編集向けモデル \363,968 (税込)
- OS
- Windows 10 Home 64ビット(DSP版)
- CPU
- インテル Core i9-10900X プロセッサー(3.7-4.5GHz/10コア/20スレッド)
- GPU
- GeForce RTX 3080 10GB GDDR6X
- メモリ
- 64GB(16GB×4)
- ストレージ
- NVMe対応 M.2 SSD(500GB)
デジタルアーティストの朝倉 涼氏が監修したCG制作&動画編集向けのプロモデルで、最上位に近いパーツであるCPU「Core i9-10900X」やGPU「GeForce RTX 3080」を採用。さらに、64GBのメモリや500GBのNVMe対応SSDなどを搭載することで、朝倉氏のワークフローを最適化できる高い パフォーマンスを備える。
Maya モデラー向けモデル \247,478 (税込)
- OS
- Windows 10 Home 64ビット(DSP版)
- CPU
- インテル Core i9-10900X プロセッサー(3.7-4.5GHz/10コア/20スレッド)
- GPU
- Quadro P2200 5G B GDDR5X
- メモリ
- 32GB(8GB×4)
- ストレージ
- NVMe対応 M.2 SSD(500GB)
統合型3DCG制作ソフト「Maya」でのモデリングや「3DCoat」でのテクスチャ編集など、プロの3Dモデル制作現場のワークフローを想定したモデル。CPU「Core i9-10900X」とともにGPU「Quadro P2200」を採用し、ハイクオリティなモデル編集やテクスチャ編集を可能にする。
Maya アニメーター向けモデル \242,968 (税込)
- OS
- Windows 10 Home 64ビット(DSP版)
- CPU
- インテル Core i9-10900X プロセッサー(3.7-4.5GHz/10コア/20スレッド)
- GPU
- GeForce GTX 1660 T i 6GB GDDR6
- メモリ
- 32GB(8GB×4)
- ストレージ
- NVMe対応 M.2 SSD(500GB)
統合型3DCGソフト「Maya」をはじめ、一緒に使用されるデジタル合成ソフトウェアやレンダラなどの安定動作を目指したモデル。高性能なCPU「Core i9-10900X」やGPU「GeForce GTX 1660 Ti」を搭載し、アニメ制作の様々なシチュエーションで快適に作業できる。
デジタルスカルプティング向けモデル \257,268 (税込)
- OS
- Windows 10 Home 64ビット(DSP版)
- CPU
- インテル Core i9-10920X プロセッサー(3.5-4.6GHz/12コア/24スレッド)
- GPU
- GeForce GTX 1660 Ti 6GB GDDR6
- メモリ
- 32GB(8GB×4)
- ストレージ
- NVMe対応 M.2 SSD(500GB)
デジタル彫刻ソフトウェア「ZBrush」とレンダラ「KeyShot」が快適に動作する環境を目指したモデル。クロック周波数とコア数の双方に優れたCPU「Core i9-10920X」や、「CUDA」を用いたレンダリング処理が行えるグラフィックスボード「GeForce GTX 1660 Ti」を搭載する。
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