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デジタルコンテンツ業界を目指す多くの学生が訪れた『CGWORLD Entry Live vol.3』をレポート

デジタルコンテンツ業界を目指す多くの学生が訪れた『CGWORLD Entry Live vol.3』をレポート

注目クリエイターたちが語る、仕事術と新人時代の過ごし方

(左)宮本 浩史 氏(東映アニメーション株式会社)
(中)瀬賀 誠一 氏(株式会社オムニバス・ジャパン)
(右)笠井 隆司 氏(株式会社セガゲームス)
モデレーター:沼倉有人(ボーンデジタル、CGWORLD編集長)

実質的な基調講演ともいえる本セッションでは、第一線で活躍するクリエイターの新人時代から現在に至るまでのキャリアパスについて議論が行われた。

「Pythonも絵コンテも書けるアニメ監督をめざして奮闘中」という宮本氏は、「はじめは主人公キャラクターのモデリングに参加したかったが、次第に演出面からキャラクターの魅力を表現する方向に興味が移っていった」とコメント。瀬賀氏は「1年目から蒼々たるクリエイターの方々とチームを組む機会に恵まれ、驚くと同時に不安になった」とふりかえった。

また学生時代との違いについて、笠井氏は「学生の時は作品を作ってプレゼンテーションをしたらそれで終わりだが、プロではお客様がいる点が最大の違いで、求められるクオリティラインが大きく異なる」と語った。これについて瀬賀氏も「学生時代は自分のアイディアを大切に育てていたが、プロの現場ではアイディアごとダメだしされることもある。そんな時も、いかに気持ちを切り替えて代案を出せるかが重要」だと指摘した。

exsa株式会社の成長戦略

(右)海老澤 広樹 氏(制作部 副部長 兼 プロデューサー)
(左)有沢 包三 氏(制作部 ディレクター)

2004年に設立し、資本金1億円、従業員数140名を数える中堅CGスタジオに成長したexsa。東京・名古屋・福岡・札幌と日本全国にスタジオを展開し、UターンやIターン希望者の受け入れや、各スタジオをオンラインで結んでの勉強会やテレビ会議、週末を活用して連続9日間の有給休暇が使える制度の導入など、新しいワークスタイルの提案や、それを可能にする環境整備などに注力している。

業務も売り上げの約6割を占める遊技機向けの映像制作を筆頭に、アニメ・映画・CM・PVなど多岐にわたっており、今後も時代にあわせて事業を変化させていく予定だ。中でも遊技機向けでは企画から映像制作・組み込みまで一気通貫で受注できる、国内でも数少ないスタジオとして高い評価を得ている。

そんな同社では「他人と自分の両方を大切にする人」「自己分析ができる人」「壁を乗り越えられる人」という人材像をかかげ、学生に幅広く自社アピールをおこなっていた。

アニメーション監督の目指しかた、育てかた

水崎 淳平 氏(有限会社 神風動画 / 代表取締役)

アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」オープニングムービーをはじめ、個性あふれる作風で日本のCGアニメ界を牽引する神風動画。代表の水崎氏は「アニメ業界では30代半ばでの監督デビューが普通だが、弊社では業界で一番早く監督になれる」と会場を埋め尽くした学生に語りかけた。

実際「ジョジョ」シリーズのオープニングムービーの監督は2Dアニメーターからの転職組で、まだ20代。「ウルトラジャンプ」のCM監督は専門学校出身の新卒社員で、社交性が高いことと、器用さを買われての抜擢だった。企業プロモーション用の映像「未来光子播磨サクラ」の監督は印刷業界から転職してきた29歳。倖田來未のPV映像を手がけたのは、ゲーム業界から転職してきたママさん監督で、色彩感覚の豊かさなどを評価。オリジナル作品「COCOLORS」の監督は元映画オタクのニートだったほどだ。

水崎氏は「かつてCGは手描きアニメの黒子役だったが、今はCG出身の監督も増えてきて、両者の力関係が変化してきた」と語り、監督志望の学生にはぜひ門を叩いて欲しいと締めくくった。

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