>   >  映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』でクドカンが描く地獄シーンを支えたVFX表現
映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』でクドカンが描く地獄シーンを支えたVFX表現

映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』でクドカンが描く地獄シーンを支えたVFX表現

03 タイトルバック制作

遊び心満載のタイトル制作

宮藤監督の作品らしく、本作はタイトルやクレジットなどの見せ方もポップで遊び心の多い表現が満載だ。アバンタイトルやキラーKの演奏に合わせて表示されるテロップ、エンドクレジットなどをまるごと担当したのがタイトルデザイナーの大槻氏だ。通常タイトルまわりの制作はワークフローの最後の方で制作することが多いが、宮藤監督はこのようなタイトルやクレジットでも画をいじることが多いため、早い段階で制作に入ったという。「今回はCG班やコンポジット班と同じようなワークフローで制作を行えたのでとても制作しやすかったです。上がってくるCGカットを見ながら作業できるので、テイストも合わせやすく、タイトルと背景の画とのバランス調整などのコンポジット作業もやりやすかったです」と大槻氏は話す。

タイトルバックの見せ方などは、全て絵コンテなどで決められているわけではなく、大槻氏の方で何種類かのサンプルを作成して宮藤監督に提案し、宮藤監督と話をしていくなかで内容を作り上げていったという。「宮藤監督はこちらがやりすぎかなと思った2割増しくらいで考えて提案すると喜んでもらえます。最初から絶対にこうしてくれというオーダーがないので、自由にやらせてもらえました。タイトルなどもちょっとした遊びを忍ばせたり、こちらが面白いと思ったアイデアを素直に喜んでくれる監督なので楽しかったです」と大槻氏。本作では「アイデアを思いついた者勝ち」と道木氏は語る。

タイトルまわりで難しかったのは、実写映像との色合わせだったという。Logで撮影された実写素材に合わせて白いテキストや絵を乗せると、真っ白な色にならなかったりねらった赤が出なかったりと調整が難しかったが、タイトルが乗る映像は早めにグレーディングを行なってもらい、タイトルを合成して戻してまたチェックするといった連携ができたことで、スムーズに制作を進めることができたという。

劇中で演奏される楽曲の歌詞テロップの例



  • ▲吹き出しのデザインの基になった大和絵の火炎



  • ▲地獄絵図の火炎なども参考にされている



  • ▲Illustratorで作成した吹き出しの素材



  • ▲吹き出しに入るテキストをAEでアニメーションさせる


▲下絵のグレーディングに合わせて、吹き出しの色を調整している



▲大槻氏が制作したタイトルワーク

▲スタッフ間でショットの確認に役立った、ピクチャーエレメントが開発したPE RUSH!。撮影したプレートや、コンポジット作業後のショットなどを専用サーバにアップすることで、iPadを使ってどこででも確認することができるアプリだ

  • 映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』

    監督・脚本:宮藤官九郎
    撮影:相馬大輔(J.S.E)
    美術:桑島十和子、小泉博康
    VFXスーパーバイザー:道木伸隆
    カラーグレーダー:齋藤精二
    出演:長瀬智也、神木隆之介、尾野真千子ほか
    製作:アスミック・エース、東宝、ジェイ・ストーム、パルコ、アミューズ、大人計画、KDDI、GYAO/制作プロダクション:アスミック・エース
    配給:東宝=アスミック・エース
    ©2016 Asmik Ace,Inc. / TOHO CO.,LTD. / J Storm Inc. / PARCO CO., LTD. / AMUSE INC. / Otonakeikaku.Inc./ KDDI CORPORATION / GYAO Corporation
    www.TooYoungToDie.jp

  • 月刊CGWORLD + digital video vol.211(2016年3月号)
    第1特集「モーショングラフィックス 匠の技」
    第2特集「キャラクターリグ最新事情」

    定価:1,512円(税込)
    判型:A4ワイド
    総ページ数:152
    発売日:2016年2月10日
    ASIN:B019NDFPHC

特集