<2>動的なフェイシャルアニメーション&現実に則したライティング
フェイシャルアニメーションの紹介では、深川氏が「フェイシャルアニメーションはキャラクターの感情を表すために、喜怒哀楽を表現しなくてはいけません。キャプチャしてしまえば表現できるんですが、これから説明させていただくものに関してはキャプチャデータは使用していません。各キャラクターごとにフェイスターゲットを指定して、リップシンクしています」と話を始めた。『龍が如く』シリーズは1年に1作のペースで開発していることから、リップシンクについてもイベントシーンでフェイシャルキャプチャを使ったデータなど、大量のストックがある。
また「いかにして大量のシーンを短い期間でつくり上げるかということを目指し、ボイスデータから自動でリップシンクを生成するシステムや、表情のゆらぎを音声から認識して生成するシステムなどを採用しています」と深川氏。そして「カメラビューからのアングルでも表情を調節できます。ここにエレメントがあるんですがこの時点では何も変化は起きてません。セリフに対して口の変化が小さいと思ったら、スケールというところを例えば3倍にすると3倍の大きさで口を動かすことができます」と説明しながら、実演してみせた。
「精度が良くない場合はここにカーブがありまして、ポイントで制御することも可能です。例えばア~オの母音に対応してる場所を選択して動かすと、リアルタイムで選択した過程が反映されます」と深川氏。あわせて「この状態だと口は動いてるんですが、感情を表す部分は動いていません。そこで、ボイスデータをプログラムが自動解析して表情のブレンド値の推移としてカーブに反映させるものもあります」と補足した。
そこから深川氏は、キャラクターの表情の細部を調整してみせた。「(画面に映し出されたキャラクターを見ながら)表情のエレメントには何も指定されてなくて、デフォルトの表情にデフォルトの表情を足している状態です。ここに怒りのパラメーターとデフォルトの表情のブレンド値を加えると、ゆらぎの動きが自動で生成されます。また、痛みの表情になってはいるけど動きが足りないと思った時には、スケールの値を変化させます」。人の顔は話していない時でもどこかが動いているため、こうしてセリフに合わせて微妙に動かすことで生きてる感じが出てくるのだと言う。
「さらにここから細かい表情をつける場合は、また新たなエレメントを加えていくことになります。この時点で大まかな感情表現はできているんですが、"笑う"にしても"泣きながら笑う"とか、目の開閉や動きなど、エレメントを加算していくことができます」と深川氏は語った。
最後は、竹内氏がライティングについて解説。ライトが点いていない状態から「最初に調節するのは露出のレベルです。シャッタースピード、IOS感度、絞りのF値といったカメラの設定で明るさを調節します」と、実演を交えて紹介した。
まずはスポットライトについて。「画面のコーン型のものがスポットライトでして、光をあてたい対象に対して角度を調節します。画面の右下にカラーサークルがありますが、こちらで現実と同じようにカンテラやケルビンの値を設定します」と竹内氏。なお光の減衰感を表現するには、コーンの影響範囲を指定するのだとか。
続いてはチューブライトについて。「見た目にはスポットライトと似てるんですが、最初は球状になっている光源の形を、長さを変えることで面状に変えることが可能です」と竹内氏。
その後、竹内氏は点光源や平行光源についても触れた。「ライトの制限がなくなってきてはいるんですが、キャラクターを照らすキーライト、レフ光源で当てたフィルライト、境界線を際立たせるリムライトの3点光源にはこだわっています」。このほかにダークライト、瞳のハイライト、口の明るさなどを設定し、キャラクターがベストに見える状態に持っていくのだと語った。
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「CGWORLD 2016 クリエイティブカンファレンス」
参加費:無料 ※事前登録制
開催日:2016年11月6日(日)
場所:文京学院大学 本郷キャンパス(東京都文京区向丘1-19-1)
主催:ボーンデジタル、文京学院大学 コンテンツ多言語知財化センター
協力:文京学院大学、ASIAGRAPH CGアートギャラリー
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