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プロシージャルコンテンツ生成の可能性に沸くゲーム業界~Tokyo Houdini Meetup Vol.1レポート

プロシージャルコンテンツ生成の可能性に沸くゲーム業界~Tokyo Houdini Meetup Vol.1レポート

<3>『龍が如く 極2』におけるHoudini活用事例

PS4専用ソフト『龍が如く 極2』最新ゲームトレイラー

続いて登壇したのはセガゲームスで『龍が如く』チームに所属する伊地知正治氏だ。最新作『龍が如く 極2(以下、極2)』の開発にも携わったという伊地知氏は、VertexAnimationTexture(VAT)を活用して作成されたシャンデリアの破壊シーンをはじめ、血痕&弾痕テクスチャ、爆発シーンなど、『極2』で導入されたHoudiniの活用事例について解説した。


セガゲームスの伊地知正治氏

VATはGDC 2017でSideFXが発表した、各々のピクセルに頂点の位置や回転などの情報を、特定のフレーム分だけ含めたテクスチャのこと。このテクスチャをゲームエンジン内で読み込むことで、Houdiniで作成された流体、リジットボディ、ソフトボディ、スプライトを、ゲームエンジン内で再現できるようになる。

これまで破壊やデフォメーションの結果をリアルタイム環境で再生するには、様々な手間が必要で、使い勝手もあまり良くなかった。これがVATを活用することで、GPUでの演算処理が可能になり、従来よりも高解像度の演算結果を高速で再生することが可能になる。伊地知氏は「これまでゲーム業界でHoudiniといえば、スプライトパターンなどを作成するやり方が中心だったが、VATを応用すれば、Houdiniの表現力をそのままゲーム中で活かせるようになる」と賞賛した。

GDC 2017 | Luiz Kruel | Houdini 16 Game Shelf

はじめに伊地知氏は事前に行われた技術検証について解説した。VATの作成にはSideFXが提供する公式ツール集「 Game Development Toolset」に含まれる、Vertex Animation Texture ROPのインストールが必要だ。一方で近年の『龍が如く』シリーズは、内製のドラゴンエンジン上で開発されている。そのため作成されたVATは、一度Unreal Engine 4を経由したのちに、ドラゴンエンジン上で実装された。


技術検証用に作成された、巨大な丸い岩が壊れながら転がっていく映像

この検証結果から伊地知氏は「どんなゲームエンジンでもデータとシェーダがあれば(プログラマーの頑張りで)VATを再生できる。UnityやUE4では、アーティストだけでエフェクトをつくることができる」と語った。もっとも、フルイド(流体)表現はメモリを大量に消費する傾向にあるとのこと。一方でリジットボディやソフトボディであれば、GPUの処理負荷も低く、メモリも少量ですむため活用できるのではと補足した。

続いてトピックはゲーム内での活用例に移った。ここで紹介されたのが、ヒートアクション中にシャンデリアが落下し、床の上に破片が飛び散る演出の作成方法だ。はじめに背景班からシャンデリアの3Dデータ提供を受け、Maya上でマテリアル別に金属・ガラス・クリスタルを設定する。これが落下し、破片が飛び散る様子をHoudini側でシミュレーション。VATに出力した後に、UE4経由でドラゴンエンジンにデータを渡す。その後、シャンデリアの落下イベントをドラゴンエンジン側で設定し、実行させるというながれだ。


シャンデリアの破壊シーンでは、事前に背景班からシャンデリアの3DCGデータをもらい、Maya上で金属・ガラス・クリスタルのマテリアルを設定する。グレーの部分がスタティックメッシュ。これを落下によって破壊させ、破片が床に飛び散る様子を演出する

他にHoudiniを使用することで、血痕や弾痕のテクスチャを、様々なバリエーションをもたせつつ大量に作成できたと語った。また、トレーラーが爆発炎上する際の爆炎アニメーションもHoudiniのPyro FXで作成されている。これらをふまえて伊地知氏は「Houdiniの活用で表現力が高まった。今後はHoudini Engineのライセンスを追加して、開発効率を高めていくと共に、開発費抑制にもつなげたい」と締めくくった。

同じく銃撃によってできた血痕テクスチャと、壁についた弾痕テクスチャ。共にHoudiniの機能を使い、多数のバリエーションを手軽に生成できた

HoudiniのPyro FXで爆発シミュレーションを行い、Redshiftでレンダリング。それまで2日間かかっていたレンダリングが90分で完了し、その速さに驚かされたという

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