<4>Unity x Houdini映像制作TIPS
Ultimate Bowl 2017
ショートセッションの最後に登壇したのが、オムニバス・ジャパン、マーザ・アニメーションプラネットを経て、現在フリーランスのVFXテクニカルディレクターとして活動中の鳥居佑弥氏だ。マーザ時代、Unityを用いて作成されたリアルタイム映像『Ultimate Bowl 2017』などの制作にかかわった鳥居氏は、映像業界の視点からみたゲームエンジン活用のメリットについてコメント。その後、UnityのTimeline上でVATを活用するテクニックについて、デモを交えながら説明した。
「2008年ごろは知る人ぞ知るといった感じのツールだったが、2012年にHoudini 12.0がリリースされ、ダイナミクスの機能強化が図られたことで、映像業界で注目を集め始めた」と語る鳥居氏。2013年ごろには、社内にHoudiniチームをつくる会社が増加してきたという。その後、2017年のHoudini 16.0にてゲーム向け機能が強化されたことで本格的なHoudiniブームが到来。「カナダ大使館以外でHoudiniのセミナーに、これだけ人が集まったのは初めてだと思う」とコメントし、会場を沸かせた。
オムニバス・ジャパン、マーザ・アニメーションプラネットを経て、現在はフリーランスのVFXテクニカルディレクターとして活躍中の鳥居佑弥氏
続いて鳥居氏は映像業界における、ゲームエンジン活用のトレンドについて踏まえつつ、ゲームエンジンとHoudiniを組み合わせて使用するメリットについて整理した。最大の理由は「仕様変更に強いから」だ。Game Development ToolsやHoudini Engineの登場で、専任のテクニカルディレクター(=テクニカルアーティスト)がいなくてもプロジェクトに導入しやすくなった点も大きいという。実際、鳥居氏も前述の『Ultimate Bowl 2017』をはじめ、複数のゲームエンジンを活用した映像制作に参加してきた。
こうした経験を基に、鳥居氏はVATをUnity上で活用しやすくするためのTIPSについて紹介した。伊地知氏が解説したようにVATは非常に便利な機能だが、映像作品で使用するには再生のタイミングが重要になる。そこで鳥居氏はVATのシェーダ内部にあるTime変数を外に出し、Unity 2017で導入されたTimeline機能で管理する手法について解説した。この手法はかなり斬新かつ使いやすい内容だったようで、多くの参加者によってさかんにツイートが行われた。
GameDeveloperToolsを活用し、Houdini上で作成した床の破壊表現。これをVATに出力し、UnityのTimeline上で、他の映像素材とタイミングを合わせて再生した