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擬人化されたドローンの光と影を描いたSF作品『DONNY THE DRONE』メイキング

擬人化されたドローンの光と影を描いたSF作品『DONNY THE DRONE』メイキング

Topic 2
VFXヘビーなシーンのメイキング

必要に応じて用いられた様々なVFXのアイデア

VFXパートに関しては基本的にJUICEが担当している。ポーランドのワルシャワにあるJUICE本社に本作のチームが結成され、様々な素材作成とポストプロダクションが行われた。JUICEは総勢70人の大きな会社だが、今回のプロジェクトにはその中から10名ほどが参加している。作業はSHOTGUNでコントロールされ、各チームがMaya3ds MaxthinkingParticlesNUKEHoudiniMODOなど様々なソフトを使って制作が進められた。監督自身も編集はPremiere Pro、ショットによってはAfter Effectsでコンポジットも含んだ作業を行なっている。

随所にVFX処理がなされている本作においてDONNYは基本的に撮影された素材が使われているが、撮影が不可能なカットや演技的に必要なカット、破壊が絡むカットはCGのDONNYが合成されている。例えば、授賞式のシーンはDONNYを実際に飛ばして撮影されてはいたが、最終的には消し込まれてCGに差し替わっている。それ以外にも砂漠の俯瞰のカットでは、DONNYに先導される多くの人々はひとりを除いて全てHoudiniの群衆シミュレーションで再現されている。ちなみにそのひとりとは、DONNYを操作していたマック監督本人だ。

最も作業が難しかったというのが狙撃によって破壊されたDONNYがコントロールを失って落下するシーンで、「もともとの画は30秒くらいグルグル回りながら撮りました(笑)。10回くらいやって、その中から上手くいった箇所をつまんで使っています。DONNYが制御不可能な状態をしっかり見せたかったんです」(マック監督)。それに対してCGで破壊されたメカ部分を足していくのだが、「そもそもDONNYの中身って本当はどうなっているの? というところから始めなければなりませんでした。それまでは誰も中身を想像していなかったんです。また、実際に撮った画をできるだけ使いたかったので、必要な部分だけをCGでつくって入れ替えました。空舞台もほかと同様に撮影しています。このシーンはライティングが常に変化するので、コンポジットはすごく難しかったです」(ミハウ氏)。撮影された素材が、DONNYと背景の境界が曖昧なのと、レンズフレアが多く含まれていたために合成作業はかなり難航したようだ。

物語の核となる授賞式での狙撃シーン

一連のストーリーボード。ドキュメンタリータッチの本作だが、この前のカットは「善と悪」というテーマを明確に描くために、初めて人物にフォーカスされる。またマック監督によると、DONNYをより人物らしく表現するために「被弾したときに殴られたような感じを出したかったので、下から上に衝撃が感じられ、破片が血飛沫に見えるようにしました」とのことだ。ここでは人間とDONNYがはっきりと対比的に描かれ、光と影、善と悪というテーマを観る人にわかりやすく伝えるため、スローな演出になっている

DONNYが制御を失って落下する表現



  • 撮影プレート



  • DONNYの顔部分を割って、内部に仕込んだ基板を露出させたテスト画像



  • 顔をCGに置き換え、飛び散った破片を作成して配置



  • CG部分に質感を付け、コンポジットで被写界深度や手前のレンズフレアを足した完成形。「本作の善と悪というテーマを表現するため、わざと顔の半分にダメージを与えています。回転しながら物が散らばっていく遠心力を演出するのが難しくて、何度もやり直しました」とマック監督。ラストシーンでDONNYの生死は明確には描かれないが、今後予定されている長編で明らかになるかもしれないとのことなので、楽しみに待ちたい



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