肌の色調整
左からアニメーションモデル(レンダリング画)、テストモデル、最終モデル。最終モデルはMayaのフラットライト表示で見ることで、CGの画とフィギュアとして出力される色のイメージとの見え方を近づけ、色の調整作業が行われた
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左からテストフィギュア、ポージングのテストフィギュア2種、完成フィギュア。テストフィギュアは髪の色と比べて肌の色が少し暗く感じる。特に影色が濃く出たようだ。これは後工程のライティングなどによって調整されることを前提とした映像用のテクスチャを使用していたためである。フィギュアとして出力するには別の調整が必要となった
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テストフィギュアと完成フィギュアの比較。完成フィギュアは後述の積層調整を行なっているため全体的に濃く見えるが、髪と肌を比較すると、肌が明るくなっていることがわかる
口の調整
テストモデルでは、本来無表情であったはずの口元が少し笑っているように赤く出力された【A】。基となったアニメーションモデルは、フェイシャルを動かせるように口の中も造形されていたが、それを3Dプリンタ側が参照し、袋状となった口をそのまま再現したため、口内にサポート剤が入り込み、顔表面の厚みが薄くなって口の中の赤色が表面に透けてしまったのである。「分割するタイミングで口の中を全て削除し、唇の頂点をマージしてひと塊にし、唇の表面だけ残して中身が詰まった状態にすることで解決しました」(筧氏)。UVシェルで分かれていた口内【C】が一体化された【D】。調整後の完成フィギュアが【B】だ
磨きのテスト
テストモデルは表面のクリア層を「なし」に設定していたため、積層痕が残る結果となってしまった。「テスト結果を見て予想外に積層痕が食い込んでいたので、最終モデルは表面のクリア層を0.3mmの厚さで設定しました。ナイフで全体的にカンナがけを行なった後、耐水ペーパーで番手の粗い順に表面を研磨し綺麗に仕上げています」(筧氏)
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テストフィギュアの磨き後。積層痕がかなり奥まで残ってしまっている
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完成フィギュアの磨き後。テストを踏まえてクリア層を厚くしたことで、なめらかな仕上がりとなった。現状の3Dプリンタでは、表面を綺麗に仕上げるためにこのような手作業の後工程が必要となる。しかし近い将来、技術の進歩により機械が解決してくれる日がくることに期待したい
完成フィギュア
【A】~【F】は磨き作業前。「スカートの内側や首周りなど、仕上げの磨き作業で手が入らない部分に関して最低限分割しています。頭部は顔を磨やすくするため、前髪を分割しました。基の3Dモデルがしっかりつくられていたので、分割作業もしやすかったです」(筧氏)。【A】服やズボンの裾を埋めることで体は分割せずに済み、全部で3パーツとなった主人公/【B】指のような細いパーツもしっかり出力されている/【C】アスセナは5パーツに分けられた/【D】デフォルメされた砂時計もきちんと再現されている/【E】胸と肩飾りの装飾も厚みを増して再現された/【F】隙間を埋めたスカートは十分な厚みがある
【G】~【J】は磨き作業後。【G】【H】磨き後の主人公。テストフィギュアでは薄く半透明だった赤いベルトや服の裾もしっかり造形された/【I】アスセナの衣装の模様もテクスチャだけで細部まで再現されている/【J】カラープリントでここまで表情を出せるようになった