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モバイルゲーム最高クラスの美麗グラフィックスを追求! 剣戟アクションゲームアプリ『修羅道(Shurado)』

モバイルゲーム最高クラスの美麗グラフィックスを追求! 剣戟アクションゲームアプリ『修羅道(Shurado)』

Topic 4
ライティングと和テイストのオブジェクトでダークなフィールド空間を演出

リッチなビジュアルとパフォーマンスのバランス

ゲームの舞台となるステージフィールドは和テイストを強調する鳥居、石灯籠、ロウソク、狛犬といったオブジェクトが随所に配置されている。この空間をさらにダークに演出しているのが効果的なライティングだ。PBRどころかライティングすら断念してしまうモバイルゲームも多いだけに、本作のゲームフィールドはいやが上にも目を引いてしまう。

UE4を採用し、ハードウェアの動作環境をiOSデバイスではA9プロセッサ搭載のiPhone 6s 以降、AndroidではSnapdragon 820以上と絞り込んでいるのも、ビジュアルクオリティにこだわった本作のゲーム空間を実現するために必要な措置で、一般的なモバイルゲームにありがちな可能な限り多くのハードで動作させるための妥協はいっさいしなかったという。とはいえ、ポイントライトを多用することによるライティングはパフォーマンスの観点から現実的ではない。そこで、高負荷に対処するために、ロウソクや灯籠の明かりが数多く設置された場所ではこれらをライトの事前計算とビルボードのシークエンスアニメーションに完全に置き換えて、ランタイムではポイントライトとパーティクルエフェクトを使用しないという負荷軽減策が採られている。こうしたデータを工夫してのパフォーマンス向上は、どのプラットフォームでも共通するものがある。本作のクオリティは必ずしも動作環境の絞り込みとゲームエンジンの機能によってもたらされたものばかりではなく、ハードの個性が強いコンソールゲーム機で開発を行なってきた同社スタッフのノウハウが活きていると言えるだろう。

和テイストのステージフィールド

実際のゲーム画面。パフォーマンス向上のためにランタイムでのライティングは全レベル共通のディレクショナルライトのみ。シーンにはディレクショナルライトに加え、スカイライトやポイントライトも存在するが、これらは事前計算によるライトマップとライトマスの焼き付けのために使用されている。また、反射表現のために同様にスフィアリフレクションキャプチャを設置している

自動生成フィールドを実現したアセット群

飽きのこないゲームプレイのルーティーンを実現するため、ステージフィールドは毎回自動生成されるゲームデザインが採用されている

背景アセットの一例。自動生成を意識したフィールドユニット単位で用意されている

ルート分岐点に現れる狛犬。当初、こうした狛犬などは個別のオブジェクト単位でひとつのアセットとしていたが、ドローコールを減らす目的でいくつかのオブジェクトをまとめてひとつのアセットとして取り扱うように、アクターをマージする機能を活用してエディタ上で最適化が行われた。なお、これら一連のデザインとモデリングを担当したのはアーティストの荻山通子氏だ

背景に多様性を付加するマテリアル

本作の基本マテリアル。フィールドの反射を表現するために、PBRの作法に則ってひとつのマテリアル対してアルベド、ノーマルの各マップとR値にラフネス、G値にメタルネス、A値にハイトを格納したマップの合計3枚のテクスチャが用意されている



  • これを基本として地面や崖にはハイトマップを使用し、パララックスマッピングを行なっている



  • さらに、鳥居や地面など同じ意匠の連続によるループ感を軽減するため、バーテックスカラーをブレンドして、印象を変化させるためにブレンドマテリアルを使用している

Topic 5
エフェクトとユーザーインターフェイスに見る世界観の補完

エフェクトが強調するダーク世界のコントラスト

スペキュラやライティングと同様に、ダークな和テイストのフィールドには輝度の高いエフェクトが良く映える。本作ではダメージエフェクトや鬼火といった画面中に一定時間表示された後消失するタイプのエフェクトにはパーティクルを、ロウソクや灯籠の明かりといった定位置に固定され永続して表示されるものにはビルボードのシークエンスアニメーションを、それぞれ使用している。そのほかのエフェクトも含めて、いずれも本作世界にふさわしいデザインでダークな雰囲気を盛り上げている。

こうしたテイストの統一は3D空間内のみならず、インターミッションの操作画面や戦闘中のオーバーレイ表示といった2D部分にいたるまで、ゲーム全編にわたって浸透しており、完全に均整のとれたアートデザインに仕上がっている。これには初期段階からのディレクターによる明確なコンセプトの提示、少人数プロジェクトであることによるチーム全体の円滑なコミュニケーション、プロデューサーである吉田秀治氏による明確な意思決定と、理想的な人的開発環境が整備されていることが大きい。

ダークな空間を演出するエフェクトの具体例

代表的なエフェクトの一例



  • 戦闘中のダメージエフェクト。3種類のテクスチャを使用したパーティクルエフェクトで実現している。ダメージを受けたタイミングでキャラクターのジョイントに設定したエミッタから発生。なお、発生位置に揺らぎをもたせるために、一定範囲内でランダムに発生箇所がオフセットされる処理がプログラム側で行われている



  • フィールドエフェクトの代表格、石灯籠にゆらめく炎の表現。パフォーマンスを考慮して最終的にシークエンスアニメーションに落ち着いた。相当数のアニメーションパターンが用意されている

Unreal Editorでのユーザーインターフェイス制作

本作のUIを担当したのはアーティストの三浦佳奈恵氏。もともとUIデザイナーでもあった太田氏のベースアイデアを基に、ブラッシュアップするかたちでデザインを進めている。画像はUI制作中のUE4画面

キャラクターの状態を示すアイコンを表示するための処理フロー

Photoshopで制作した素材をインポートして、標示物のレイアウトを行う

標示物のアニメーションはそれぞれUnreal Editor環境で制作されている。こうした開発ツール群がひと通り揃っていることも、ゲームエンジンを採用するメリットのひとつだ



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