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『修羅道(Shurado)』の真の主役は大胆な意匠を施した武器モデルにあり
重要度にしたがったリソース割り当ての好事例
本作の武器ビジュアルは一般的なほかのゲームと比較してもかなり豪華な部類に入る。アイテム課金を前提としたゲームの場合、武器の見た目のリッチさと性能、入手難度はリンクしていることが多く、ユーザーの購買行動を喚起するための一種の動機付けになっている。対して、本作では武器アイテムに対する課金は行なっておらず、純粋にゲームプレイをくり返す動機付けの役割を担っている。つまり、本作ではこの武器こそが真の主役と言ってもいい。ゲームの基本ルーティーンであるステージ攻略、戦闘、強化用アイテム収集、武器アイテムの強化というサイクルを回す動機付けのために、累積的な成長要素とそれに紐付いたビジュアルの段階を用意する必要があり、ランタイムのモデルリソースも開発時の人的リソースも、大きく武器に割かれている。
多くの武器では最も豪華な成長段階の武器がデザインされ、そのデザインを構成する要素を省略することで成長過程にある武器のデザインとしている。これにより、同種の武器が成長している印象を強くすると共に、多くの意匠を発案しなければならないという負荷も軽減。スカルプトにはZBrushとMudboxを採用し、テクスチャマップ制作にはSubstance Painterを活用している。いずれも効率化を目的としたもので、ツールを柔軟に有効活用することが、少人数プロジェクトの成否を左右する好例と言えるだろう。
細部までこだわった武器制作のワークフロー
武器デザインとモデリングを担当したのはアーティストの近藤紀幸氏
スカルプト
ノーマルへの落とし込み、PBRマップの作成といった標準的なゲームモデル制作のワークフローを採っている
完成した武器モデル
スカルプトツールを使い分け、作業を効率化
前述した通り、スカルプト作業には、MudboxとZBrushの2つのツールを使い分けている。Mudboxを使うメリットはMayaと同じAutodesk製のツールということもあって、データの可搬性や相互可用性に優れている点にあるという
Mudboxで作成されたオブジェクトの一例。Mudboxは比較的シンプルで曲面が少なく、直線的な形状のときに利用することが多いという
ZBrushで制作された武器の一例。ZBrushは生物的な意匠を含むものや、曲面が多く複雑なもので活用されている
テクスチャ制作はSubstance Painterで効率化
武器モデルのテクスチャ作成には積極的にSubstance Painterが活用されている。作成したテクスチャをスマートマテリアルに変換して、同じ属性をもつ武器にも適用することで、武器制作の進捗に従ってライブラリ化が進み、制作効率がアップしていったとのこと