CHARACTER
キャラクターに関するアップデート
今回のアップデートでは、キャラクターアニメーションの部分へも手が入れられた。特にキーフレームアニメーションのしやすさが大幅に向上し、一番目立つところで言うとタイムスライダーの形状が大きく変わっている【1】。これもアニメーターへの配慮だろう。また、Channel ListやAnimation Editorなどへアクセスしやすくなっているのも注目だ。アニメーションはより直感的なアプローチが必要になるが、そういった部分への配慮もみられる。また、キャラクターのRigセットアップにおいても、Full Body IKなどに対応するなど、これまではプライオリティが低かった箇所へも手が伸びている。これはおそらく、内包されているCrowdの使用頻度を高めるためだと予想する。これまでは外部からのアニメーションデータに頼っていたHoudiniだが、今後は完全なる統合をもくろんでいるのではないだろうか。その布石として、AutoRig【2】のツールなどが充実してきている。実際、ほんの数分程度で全身のセットアップを完了できるのは魅力的だ【3】。また、フェイシャルリグも同様にセットアップできる【4】。ほかにもPose Space DeformやアニメーションとDeformの連動など、ディテールを追加できるしくみも搭載された
キャラクターと言えばFurやHairは外せない。今回はVellumの追加があったことで、Furなどのシミュレーション精度や速度も大幅にアップしている。また、Furの生成や調整自体にもアップグレードの手が伸び、特にGuideのプロセッシングが高速になった。これは、よりインタラクティブにグルーミングが行えるということだ【5】。ベーシックなセットアップで見てみると、Guid Groom【A】の内部ではFurの調整が行えることがわかる。この機能自体はもともとあったものだが、シェルフに様々な調整ツールがまとまっていて、それを使うことで簡単にFurの調整が行え、さらに履歴も残っていくからありがたい【B】。あとは最終的なFurを生成すれば完了だ【6】。ここまでほんの数分で行えるから素晴らしい。ここまで設定しておけば、シミュレーションにもっていくことも容易にできる。後述するが、今回のFurはGameDevにまで気を配っており、SideFXの本気度が感じられる。プラグインを使用せずにここまで自在にFurを扱えるのはHoudiniくらいだろう。
MODELING
モデリングに関するアップデート
モデリング最大のアップデートは、主にUVまわりだと考える。今回のアップデートは、これまでのUV作業に終止符を打つための布石と言えるだろう。完全にプロシージャルなワークフローを組み上げることができるのだ。まず、新たに追加されたUV Auto Seam【A】だが、これは曲率などを基にしてシームを自動的に作成してGroupにしてくれる【1】。このGroupを基に、UV Flatten【B】を使って展開をする【2】。最後に、UV Layout【C】で綺麗に並べれば完了だ【3】。もちろん、完璧なUVを作成するにはまだ至らないし、気持ちの良い並べ方や効率の良い展開も難しい。ただ、これまでは完全なる手作業だったものがオートメーションに展開できるしくみが構築できるというだけでも、シチュエーションによっては大幅なコストの削減になるだろう。UVの作業は非常に大事だが、地味で手のかかるものだ。それをいかにしてコストダウンするかは、こういったアプローチが重要だと考えさせられる
今回のアップデートでは、もともとあったTopoBuildを基にPolyDrawが追加された。中身はTopoBuildだが、参照ジオメトリがなくてもゼロベースで作成していける。TopoBuild自体も非常に良いツールで、Houdiniらしからぬインタラクティブなツールだ。これを使えばリトポロジーやインタラクティブなトポロジードローイングが可能になる【4】
HeightFieldも改良されている。特に、HeightField Erodeは大きく進化した。まずは、これまで通りNoiseを使ってベースのFieldを作成し【5】、HeightField Erode【D】で毎フレームシミュレーションをかけることでリアルな侵食や堆積を計算することができる【6】。ただ、その反面、シミュレーションをする必要があるためリアルタイムでの確認は難しく、さらに解像度によっては高コストとなってしまう。ただ、そのリアルさを考えれば多少待つことが有益なのは言うまでもない。HeightFieldはMask処理が後工程で非常に重要になってくるため、ここでどういったMaskを作成すればよいか吟味する必要がある【7】。また、HeightField Scatterを使うことで、森や岩、石など、自然物を有機的に配置することも可能だ