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時代に即した強烈な新機能とアップデートにより、クリエイティビティが加速する。Houdini 17 レビュー

時代に即した強烈な新機能とアップデートにより、クリエイティビティが加速する。Houdini 17 レビュー

OTHERS
その他のアップデート

ゲーム系のアップデートではglTF【1】のフォーマットサポートに加え、インポートとエクスポートが可能になった。これにより、WebGLなどでもHoudiniから直接読み書きができる。また、Furなどで作成したものをゲーム用にカードタイプ【2】のHairやFurに変換し、UV【3】も自動生成でベイクできるようになっている。ほかにもテクスチャベイクの改良や、GameDevツールセットなどがアップデートされている。直接的にゲーム向けではないが、SOPの機能が大幅に改良されているので、ゲームの開発環境に対しては十分貢献するものと言える

MantraではNVIDIA OptiX Denoiser(※)を新しく搭載した。これはAIによるデノイズ処理を行うフィルタで、サードパーティとして搭載されている。そのため別途インストールをしてパスを通す必要があるが、そんなに難解なものではないので、17を入れた機会に導入しておこう。通常のフィルタ【4】で検証したところ、ノイズがなくなるまでサンプリングを上げることは非常に難しいが、OptiX Denoiserを使用することで同じレンダリング時間でも非常に綺麗な結果を得ることができる【5】。フィルタのため後処理となるが、まずMantraのPixel FilterでNVIDIA OptiX Denoiserを設定しておき【A】、必要に応じてDenoiseをApplyすれば確認できる。このクオリティまでサンプリングを上げることを考えると、いかに重要なアップデートかわかる

※NVIDIA OptiXはWindowsとLinuxのみ対応でmacOSには未対応

時代のながれを汲み取った先端ツールとしてのアップデート

今回のレビューを機に、普段触らないような部分へ触れてみた。Houdiniの一部しか使用していない年月がかなり経過していたように思う。著者自身、ある程度仕事で使用する範囲は決まってきているのも事実で、なかなか新しい機能を習得できずにいたのだ。レビューを執筆する上では、新機能を使い倒すというよりその表面に触れて感じる程度でしかないのは重々承知で、それでいてなお今回のバージョンアップの素晴らしさを感じられたのは、誰の目にも明らかではないだろうか。近年ではゲーム業界向けのアップデートが強く感じられたが、今回は映像というエンターテインメントの古巣へ戻ってくるような印象を受けた。特にVellumに関しては非常にマルチな活躍が期待できる。汎用的でいて、圧倒的だ。これまでのHoudiniらしいスピード感とはかけ離れた速度で結果を求めることができる。GPUの恩恵も大きいのだろう。

Houdiniは常に時代のながれを汲み取り、そのトレンドの先端にいると思う。以前では考えられなかったような進歩だ。著者がHoudiniを最初に使いだした頃はDOPなどはなく、どのようにしてリアルに見えるものをつくり出すか試行錯誤しなくてはならなかった。今さら昔話をしても仕方がないのだが、そういったHoudiniの古い時代を知っているからこそ、なんだかVellumのような便利なものが愛おしいのである。

そのほかにも、かゆいところに手が届くようなアップデートを大量に入れ込んできたHoudini 17。リストにある全てを紹介することは叶わないが、実は隠れている素晴らしいアップデートもあったりするからHoudiniはやめられない。総評として満点以外のなにものでもないが、これはHoudiniユーザーであれば当たり前だと思う。良い意味で、それくらいHoudiniユーザーは自分たちのツールに甘く、多くを待ち望んでいるということなのだろう。



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