POINT 02
ゲームのダンスアニメーションを活かした
デジタル作画によるOP映像制作
『P3D』、『P5D』の最大の魅力は、普段踊らないようなキャラクターがダンスをするというギャップだ。絵コンテでは、そこをいかに魅力的に魅せるかに注力したという。演出を担当した松浦有紗氏は「真面目なキャラクターがダンスを踊ってはしゃぐという新しい一面を見られることは、ファンの方にとって嬉しいんじゃないかなと思い、楽しそうな表情や仕草、不意のギャップを意識してキャラクターの魅力を引き出せるように絵コンテを捻出しました」と語る。
ダンスについては、ゲーム本編用のモーションキャプチャデータが利用された。基となるMayaデータを3ds Max用にセットアップし直した上で、最終的には作画で描かれることを考慮し、基本的には頭だけオリジナルの棒人間のような状態で使用しているという。極力ダンサーの動きを活かすため、手付けによるアニメーションは、『P3D』のアイギスのバック転等の特殊な動きや、手付けの方が魅力的な場合、ダンスとダンスの繋ぎなど、必要最低限に制限した。また、どこにでもありそうという印象にならないように「暗闇で蛍光灯などの光の軌道を見せる」など"視覚的にハッとさせるアイデア"を盛り込んでいるそうだ。
始まりの企画書
『P3D』と『P5D』の企画書。ドメリカからアトラスへ提案した最初の企画書だ。これを基にやり取りを重ね、それぞれのコンセプトが固められていく。そのため、最終的に採用されたテーマとは異なる点もいくつか見られるが、その変遷も面白い。『P3D』の要素が『P5D』へ移っていたり、新しい要素が加わっていたりと、興味深い内容だ。CG制作だけを行うのではなく、始まりから終わりまでの全ての工程を担当しているスタジオだからできる提案である
TVPaint Animationによるデジタル作画作業
デジタル作画ツールにはTVPaint Animationを用いている。本作の制作当時はVer.10と10.5を使用したとのこと。TVPaint Animationの大きな強みとしては、ライトテーブル機能と、音声の読み込みが可能なこと、そしてプレビュー画面の軽さの3つが挙げられる。特にプレビューの動作は、CLIP STUDIO PAINTと比べて圧倒的に軽いという
TVPaint Animationの作業画面。髙田氏が使い始めた当時からTVPaint Animationはアニメーション制作に特化していたため、アニメ制作に適した機能が充実していた。ライトテーブルもそのひとつで、直感的に扱えるそうだ。ライトテーブルを使用することで、現在作業しているフレームの前後10枚ずつのフレームを表示することができる。ライトテーブルウインドウの0が現在のフレームだ。また、上部の「色」で前後の絵の表示色、数字下のバーで濃度も自由に変更できる
音声を読み込んだときの作業画面
実際に描かれた原画
映像制作のながれ
一連の作業のながれをみていこう
絵コンテ。ダンサーのモーションキャプチャデータから、各キャラクターのコンセプトを把握して落とし込む
CGレイアウト。CGアニマティクスは全カット用意された。この時点でおおまかにコマ数を決める。ダンスは2コマ打ちが基本となるが、タメが必要なときは3コマにする場合もあるという
撮影処理された完成画
喜多川祐介のダンスシーンに見る3Dモデルによる作画の補完
本作は複雑な動きの多いダンスを主体とした映像だけに、CGが下支えしている
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3Dモデル
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3Dモデルを基に描いた原画。アニメーターがダンスシーンをイチから描くことは難易度が高い。しかもこの衣装はトゲが多く作画崩れしやすいが3Dモデルがあることでそれを予防し、パースやコアデッサンのリテイクも発生しなくなる。非常に有効な手法だ
彩色された別原画(アップ)の作画素材
<後篇につづく>
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