>   >  CGとデジタル作画で描き出すOPムービー『ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト』&『ペルソナ5 ダンシング・スターナイト』前篇
CGとデジタル作画で描き出すOPムービー『ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト』&『ペルソナ5 ダンシング・スターナイト』前篇

CGとデジタル作画で描き出すOPムービー『ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト』&『ペルソナ5 ダンシング・スターナイト』前篇

2018年5月に発売されたPS4&PS Vita用サウンドアクションゲーム『ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト』『ペルソナ5 ダンシング・スターナイト』。そのOPムービーを制作したのが、新鋭のアニメスタジオ ドメリカだ。今回は前後篇にわたり、こだわりのOP制作について紹介する。

※本記事は月刊「CGWORLD + digital video」vol. 247(2019年3月号)からの転載となります。

TEXT_野澤 慧 / Satoshi Nozawa
EDIT_斉藤美絵 / Mie Saito(CGWORLD)、山田桃子 / Momoko Yamada
PHOTO_弘田 充 / Mitsuru Hirota
©ATLUS ©SEGA All rights reserved.

『ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト』OPムービー

『ペルソナ5 ダンシング・スターナイト』OPムービー

『ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト』、『ペルソナ5 ダンシング・スターナイト』
発売日: 2018年5月24日(好評発売中!)
ハード:PS4&PS Vita/ジャンル:サウンドアクション/価格:PS4 7,480円(税別) 、PS Vita 6,980円(税別)
©ATLUS ©SEGA All rights reserved.
persona-dance.jp/p3dpersona-dance.jp/p5d

シリーズ第1作目の発売から20年以上もの長きにわたり愛され続け、国内外を問わず多くのファンを獲得してきたゲーム『ペルソナ』シリーズ。身近な世界観設定の中で起こるオカルトテイストな事件や、人間の心理に鋭く迫るストーリー展開が多くの若者の心をつかみ、その人気は今なお拡大を続けている。その魅力はストーリーだけではない。美しいイラストでキャラクターデザインが描かれたユニークな登場人物も、シリーズの人気を支える大きな柱のひとつだ。そんな個性豊かなキャラクターを、本編とはちがった視点から描いたのが「ダンシング」シリーズである。サウンドアクションゲームと称される本シリーズは、原作ゲームでながれた名曲をバックに踊るキャラクターの姿を楽しむことができる、ペルソナファン垂涎の外伝的シリーズだ。今回は、昨年5月に同時発売された同シリーズ最新作『ペルソナ3 ダンシング・ムーンナイト(以下、P3D)』、『ペルソナ5 ダンシング・スターナイト(以下、P5D)』のOPムービーに着目した。

前列左から、作画・髙橋伸輔氏、美術監督・渡辺敦之氏、監督・市川量也氏、CG監督・飯田祐輝氏。中列左から、作画・清水朱音氏、CG・兼平 葵氏、作画監督・髙田真理氏、演出・松浦有紗氏、作画・関絵理奈氏。後列左から、作画・大西佑希氏、CG・折笠真由美氏、撮影監督・鎌田麻友美氏、CG・寺田良介氏、作画・海江田美幸氏。以上、ドメリカ
www.domerica.net

制作を担当したのは、新鋭のアニメスタジオドメリカ。少数精鋭の体制で、企画から制作まで行う、力のあるスタジオだ。以前からアトラス作品のゲーム内ムービーの制作に携わってきたキャリアの中で、デジタルツールによる制作ならではの修正力・対応力と、スタジオ内で作品をつくりきることのできる高い技術力を買われ、本OPムービーの制作を任されることになったという。本作でも、CG制作のみならず、演出から作画、撮影まで工程のほぼ全てを手がけている。そこで今回は、普段のCG中心のメイキングから少し趣向を変えて、デジタル作画や撮影、演出をメインに『P3D』&『P5D』の制作の舞台裏をお届けする。さらに、少数精鋭ながら業界内でメキメキと存在感を増すドメリカの躍進の秘密にも迫るので、その制作スタイルにも注目していただきたい。

POINT 01
役職の垣根をなくした自由な制作体制
ドメリカスタイルの真髄とは!?

本作の企画がドメリカに持ち込まれたのは2017年の初頭。企画書の作成からスタートし、5月には絵コンテ作業に入り、途中先行PV用カットの納品をはさみつつ、11月には完全納品というスケジュールとなった。本作のスタッフは全体で15名ほど。CGが約4名、作画が7名、撮影・背景美術が各1名、ほかスタッフが数名という布陣だ。しかしドメリカにおいて、この内訳はあまり意味をもたない。「ドメリカでは、役職はあるようでありません」と代表の市川量也氏。撮影をメインに作画も描くなど、得意分野を中心に様々な作業を担当しているという。もともとCG畑だった市川氏だからこそ、アニメ業界の常識に囚われない、自由な制作スタイルを目指しているそうだ。まさに「ドメリカ流」といったところか。一見するとクオリティ面で不安を感じなくもないが、かえって良い影響を与えているとのこと。作画監督の髙田真理氏は「様々な工程を担当するので、次の工程でどんな作業が発生するかわかるのは強みです。スタッフ間の齟齬も発生しませんし、素材で気になった箇所があれば自分で直すこともできます」と語る。クオリティ面に加え、スケジュール面にも大きなメリットがあるようだ。

Googleスプレッドシートによる管理

ドメリカでは制作進行の役職を置いていないため、Googleスプレッドシートを用いて制作スケジュールを管理している。左の縦軸がスタッフ名、上の横軸が日付となっており、プロジェクトごとに異なる色で塗り分けられている。役職に縛られないドメリカでは、ひとりがひとつの作品だけを担当するのではなく、いくつもの作品に様々なかたちで携わることができる。表の横軸がカラフルなスタッフほど、多くの作品に参加しているということになるそうだ。このシートを全体で共有することで、いつ、誰が、どの作品のどんな作業を行なっているかを全員が把握でき、無駄な時間が生まれないため、安定したスケジュールでプロジェクトを進めていくことができるという。制作進行スタッフがおらずとも、他の工程の作業を身をもって理解しているからこそ、こうしたスケジュールを組むことができるのだ

ドメリカの作業風景

作業風景を少し覗かせていただいた

ドメリカのベーシックなCG作業スタイル。PCとタブレットが支給されている

デジタル作画を行う際の作業スタイル。ペンタブレットはBamboo Funを用いている

手元のタブレットも併用し、絵コンテを確認しながら作業を進めている様子。ドメリカでは作画作業に板タブレットのBambooを用いているが、これは過去に液晶タブレットの導入を検討した際に、目や姿勢が悪くなるという意見や机を広く使えないという意見が挙がり、結果的に板タブレットに落ち着いたそうだ。その中でも、有線であるため充電が不要なことと、USBコードが長いことから、Bambooが選ばれたという。最新のものと機能面で比較すれば分は悪いものの、シンプルに扱えるところが利点だ。筆圧レベルは1,024段階と少ないことも「割り切った線」を描けるとして、かえってメリットと捉えている。細かいニュアンスまで拾える新しいモデルでは、コストをオーバーしてでもやり直したくなってしまうため、この筆圧レベルがちょうど良い落としどころになっているそうだ

次ページ:
POINT 02
ゲームのダンスアニメーションを活かした
デジタル作画によるOP映像制作

特集