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誰だって人が描きたい!>>No.2 キャラ描き分けに効く!頭蓋骨スケッチ

誰だって人が描きたい!>>No.2 キャラ描き分けに効く!頭蓋骨スケッチ

キャラの描き分け ~肉のつけ方と重力~

肉のつけ方は自分の顔を触ってと述べましたが、顔も全身も考え方は同じです。全身について今回は触れませんが、基本は「皮膚のすぐ下に骨がある部分は、何があっても肉がつきにくい」と覚えてしまうのが早いです。肉がつかない場所は、可動部分であることがほとんどです。ひじやひざ、鎖骨、骨盤、くるぶし、指の節などを触ると固い骨に触れることができます。

顔は可動部分と関係なく肉づきがない部分もありますので、触りながら確認しましょう。耳に近い部分のこめかみ、耳の近くの頬骨は可動部分ではないですが肉がつきにくいですし、眉毛もそうですね。下顎骨と呼ばれるあごの骨は、耳の下あたりの「えら」にあたる部分も、下あごの一部も骨に触れることができます。

では肉のつけ方を変えながら顔を描いてみましょう。

▲アナログの場合はライトボックス、デジタルの場合はレイヤー分けをして、頭蓋骨に肉をつけたり、重力で下に引っ張ったりしてみましょう


頭蓋骨にうっすら肉をつけたものを描くと、かなり痩せた人物が描けます。太っている場合は骨に触れるところには肉はつけず、それ以外に肉をつけると正確に太らせることができます。

太ると目や口などの穴が周囲に押されて少し小さくなり、頬や首の下はかなりの肉がつきます。下あごは触ると骨がわかるところがちょっとありますので、そこだけ肉がつきにくく、後はつくので二重あごになります。

最後に表面の皮膚や肉を重力で下に引っ張ってみましょう。こうすると高齢の人物を描くことができます。目や口も下に落ちますが、眉毛や歯の位置は変わりません。若い顔にただ皴を描いただけの絵とちがって、リアルに歳を取らせることができます。

▲高齢者は横から見るとわかりやすい。同じ人物を太らせたり高齢にしたりしてみてください


頭蓋骨を使って絵を描くのも、なかなか面白いものです。イラストから遠いと思っていたものが、骨からデフォルメまでつなげて描いてみると、自分の中で一本芯が通るようになってきます。

普段描くイラストや絵画は自由です。デフォルメしても良いし好きに描いて構わないものです。それでも本物を知っておくことは懐の深さにつながります。知るだけでも描ける人物がどんどんと増えていきます。

次は全身と、ライフモデルの描き方についてお話したいと思います。
また次回にお会いしましょう!



第2回は以上です。
・No.1 人を描くのは難しい?
・No.2 キャラ描き分けに効く!頭蓋骨スケッチ
・No.3 人物が描けない理由は、想像力の欠如だった!?

プロフィール

成冨ミヲリ
トライトーン・アートラボ代表

アートディレクター・プランナー。ゲーム会社、コンテンツ制作会社を経て、有限会社トライトーンを設立。富士急ハイランドや商業施設の企画デザイン、集英社のCMやドキュメンタリーTV番組におけるCG制作、アニメDVDの監督など幅広く活動。そのほか、デッサン技法書の執筆、音楽・小説などの制作もしている。著書に『絵はすぐに上手くならない:デッサン・トレーニングの思考法』(2015/彩流社)がある。

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