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コロナ禍の今、対応待ったなし! Adobe Signを用いた電子契約ウェビナーレポート

コロナ禍の今、対応待ったなし! Adobe Signを用いた電子契約ウェビナーレポート

Salesforceを用いた注文書送付のデモ

続いて昇塚氏は業務システムソフトのSalesforceとAdobe Signを連動させるデモを行なった。Salesforce上に登録されている、サンノゼ商事のサンノゼ次郎氏に注文書を発送する。ただし、注文書には発送元が先に署名をしてから、先方の担当者が署名する......というシナリオだ。Adobe Signのポータルサイトを開くことなく、全て業務システムソフト側で手順が終了することがわかる。

  • 【1】Salesforceの取引先から担当者のページを表示する。先方の連絡先やメールアドレスなどは登録済みという想定だ
  • 【2】Salesforceの注文書送信ボタンをクリックすると、Adobe Signの連携モジュールが起動する

  • 【3】メールの受信者や送信ファイルといった、Adobe Signの情報が連携モジュールを経由して、Salesforceの画面上に表示される
  • 【4】ワークフローデザイナーで規定された手順に従い、送信元のブラウザに注文書のPDFが表示される。Webフォームに必要な情報を追加して送信

  • 【5】Salesforceの画面上には、これまでの書類の履歴がAdobe Signの情報を基に表示される。契約状況も確認できる
  • 【6】一連の手順を図解したスライド。連携を組むことで、基幹システム内の取引先情報と、Webフォームのフィールドを紐付けられる

このようにAdobe Signを使うと、ファイアウォールの内側、すなわち社内の業務システムだけでなく、外部アプリケーションと連動させることで、アプリケーションとの機能拡張ができる。これによってファイアウォールの外側、つまり社外との業務も効率化させられる......昇塚氏はこのようにアピールした。機能連携に必要な連携コネクタは主要ソフト向けに無償提供されており、コーディング不要で使用できる。

それにしても、デジタルIDが不在のままで契約が進められる点は、一見すると不可解にも思える。もっとも電子署名および認証業務に関する法律によると、電子サインの法的有効性は「本人性」と「非改ざん性」を満たすか否かが重要であり、この2点が担保されるのであれば、電子サインでも問題ないという。

前述の通りAdobe Signでは、メールアドレスの履歴確認と、高い暗号化技術をはじめとしたクラウド技術で担保している。クラウド内のファイルだけでなくダウンロードしたPDFファイルについても、Adobe Signというクラウドサービス名義での証明書がデジタルID込みで付与され、非改ざん性が担保されるしくみだ。データサーバも国内に設置されており、データが国外に流れる危険性もない。

ただし、契約内容によって電子サインではなく、デジタルIDが必要な電子認証が求められるもの(前述のようにAdobe Signにはこちらの機能も備えている)もある。また、そもそも電子契約に向かない契約類型も存在するため(公称や登記手続きが必要な契約や、書面による締結が法令上義務づけられているものなど)、状況に応じて使い分けることが重要だと説明された。

1~2週間かかっていた契約業務が即日まで短縮

後半ではAdobe Signの導入事例が紹介された。人材派遣業を営むパーソルホールディングスでは、約50社にのぼるグループ企業でAdobe Signが使用されている。業務管理ソフトとAdobe Signを連携させることで、契約書を一気通貫で電子決済できるようになり、業務の効率化がなされたという。「紙の間接業務がなくなったことで、本業に集中しやすい業務体制が構築できたと、ご評価いただいています」。

パーソルホールディングスでの導入事例

不動産業のアットホームとジェイエーアメニティーハウスでは、賃貸契約の更新業務でAdobe Signが使用されている。契約書の更新時にWebフォームを活用することで、入力ミスや入力漏れが激減した。ポイントは新規契約ではなく、すでに信頼関係のある顧客との更新契約から導入した点だ。このように、既存の契約業務から上書きしていくことは、電子契約を導入する上で、ひとつのポイントになるという。

アットホームとジェイエーアメニティーハウスでの導入事例

ソニー銀行では住宅ローンの契約にAdobe Signを導入した。それまで実印と印鑑証明書が必要だったものを、電子サインと電話認証を組み合わせることで、電子証明書を必要とすることなく、電子契約に置き換えたのだ。あわせて社内システムを相互連携することで、契約に要する時間が1~2週間から最短で即日に短縮できた。契約時の収入印紙が不要になった点も、コスト削減につながったという。

ソニー銀行での導入事例

紙と電子のハイブリッド処理の事例も紹介された。契約書をAdobe Signで作成し、社内での署名承認を済ませた上で、印刷して先方に郵送。署名して返送されてきたものを、再びスキャナで読み込んでAdobe Signにアップロードするというやり方だ。印刷された時点でAdobe Signの履歴対象からは外れるが、アップロードとダウンロードの履歴は残っているため、チェックが容易になるという。

導入時のポイントとライセンス体系に関する説明もあった。導入時では一度に間口を広げすぎず、対象の業務や文書を絞り込むこと。導入を進める上でIT部門と、Adobe Signを使用するユーザー部門の双方の視点を入れること。社内のセキュリティポリシーや、社内の押印規定や署名規定との整合性を取ること。評価導入時に基準となるKPIを策定し、関連部署全員で合意を取ること、などだ。

また、導入時にはプロジェクトチームが組まれることが多い。このとき、チーム内にユーザー部門の中でAdobe Signのエキスパートとなる人材を育成し、社内ガイドにすると良いと補足された。他にAdobe Signの導入でワークフローが変更される場合、部門間での調整が必要になる場合もある。そのためプロジェクトチームには、全体を統括できる人材を加えると良いとされた。

ライセンス体系では、Adobe Signを使用して契約書を作成する側にのみライセンスが必要で、契約書を受け取って押印するだけなら費用負担が発生しないことが強調された。その上で1ユーザーあたり150件のトランザクション(=署名依頼から完了まで)が付与されるユーザーライセンスと、ユーザー数によらず、1ライセンスあたり150件のトランザクションが付与されるトランザクションライセンスがあると説明された。

  • ユーザーライセンスの例。複数のユーザーライセンスは合算できる
  • トランザクションライセンスの例。より柔軟に運用することが可能だ

最後に昇塚氏は同業他社のサービスが存在する中でAdobe Signを選択する理由について、次の3点を挙げた。第一にドキュメントソリューション市場における実績。そして第二にPDFに基づいたドキュメント信頼プラットフォームであることだ。昇塚氏は「何かあったときに証拠として確実に閲覧できることが重要」だと指摘する。だからこそ、PDFの生みの親であるアドビが提供する点に注目してほしいというわけだ。

そして最後に挙げられたのが、グローバル企業でありながら、日本法人による日本語サポートが受けられることだ。「弊社は日本国内で30年近い実績があります。日本のお客様の要件を採り入れて、日本語のお客さまにフォーカスしたかたちで様々なサポートや製品開発ができるといったことも、ぜひご評価いただきたいと思います」。

なお、同社ではAdobe Signの無料評価アカウントを公式サイトで公開している。評価期間は通常2週間だが、現在は90日間無料使用が可能だ。もはや想定外という用語が日常的に使われるようになった昨今、契約書の電子化を進めることは、企業の生き残り策として不可欠ではないだろうか。

Adobe Sign公式サイト

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