<2>ICT担当教員に聞く 初のプログラミング授業の手応えと、一貫教育校ならではの長期的展望を
授業終了後には仙台白百合学園小学校ICT担当教員の浅沼 勉先生に話を伺うことができた。
仙台白百合学園小学校の浅沼 勉先生(ICT担当教員)
同校のプログラミング教育の目標について「主体的に学び自分から発信して考えられる力、お互いに学び合い支え合う力を育てる」(浅沼先生、以下括弧内同)と語る。プログラミング授業については、教員の事務的なPCスキルとは異なるものとして捉え、コンサルタントを通じ専門的な「アントレキッズ」とのパートナーシップを結び、機材提供に凸版印刷の協力を仰いだ。今回の授業準備にあたって、一度同校の教員が生徒役になり模擬授業を行ない、実体験に基づき児童への教え方を共に構築していったという。
この日の実際の授業では、「プログラミングの醍醐味であるトライ&エラーと完成したときの喜びの瞬間」を見ることができ、一安心といったようすだ。また、プログラミングの教え方として、講師がデモのパターン作成し別のパターンを児童につくらせることで、見本をなぞらせるようなわかりやすさがあることを学んだという。今回のリモートプログラミング授業を踏まえ、更なる展望をいくつか語ってくれた。
リモート授業については「東京を含め全国の講師に専門的な授業をしてもらえる」ことをメリットとして挙げ、「社会科など様々な教科で活かせる」という。
また、今後は「1人が1台デバイスをもって、自分たちでトライ&エラーをしていくような授業をしていきたいと思っています。『Scratch』だけではなく、自分たちが想像力を膨らませていろんなモノをつくれるように」と、環境整備についても言及した。これは同校に限った問題ではなく、宮城県の「教育用コンピューター1台あたりの児童生徒数」(全国32位)、「インターネット接続率(30mbps以上)」(全国40位)<2018年文部科学省発表のデータによる>と、地域的な課題も含まれている。
プログラミング思考については、国語の授業における読み取りや算数の解法といった論理思考にも応用が利かせられると認識しており、より横断的な活用を見込んでいる。また、「お互いに学び合い支え合う力を育てる」ことについては、今後この6年生児童が中学高校と進級していくなかで、プログラミング思考を磨き、今度は小学校に戻って自ら下級生を教えることも「学習」になると見ている。こうした複数年に渡った教育が行えるのは幼稚園から高校までを1つのキャンパスに置く同校ならではの教育方法といえる。
最後に「今日はいろんなストーリーがあったと思います。発展編で、ある児童はクルマが雑踏を走る様子を表現していましたし、別の児童は宇宙を飛び回っている様子を表現していました。プログラミング教育のなかで美的なセンスを表現するなど、それぞれに物語があったのが魅力的でした。今後、こうした教育を通じどんどん広がってくれればと思います」と語ってくれた。