>   >  KATANA 4.0リリース!ついに国内でも走り出したコンカレント型パイプラインプロジェクト。その導入から、検証デモ、展望まで、しっかり解説
KATANA 4.0リリース!ついに国内でも走り出したコンカレント型パイプラインプロジェクト。その導入から、検証デモ、展望まで、しっかり解説

KATANA 4.0リリース!ついに国内でも走り出したコンカレント型パイプラインプロジェクト。その導入から、検証デモ、展望まで、しっかり解説

■KATANAパイプライン検証デモ■

▲KATANAパイプライン検証デモ/eg+ worldwide 提供


ここまでに紹介した、eg+ worldwideによるKATANA導入から現在までの経緯をまとめると以下のようなる。

●eg+ worldwideのパイプラインは、Maya形式のデータからの開始が避けられない
●Maya形式のデータの更新が頻発し、下流工程に大きな影響をおよぼしていた
●工程の並列化によって問題を解決するため、KATANAを導入した
●プリレンダー(KATANA)とリアルタイム(Unreal Engine)の両方に対応できるパイプラインを構築
●3D形状データはAlembic形式、マテリアル情報とバリエーション情報は汎用性の高いJSON形式で管理
●JSON形式のデータの書き出し・読み込みが可能なPythonカスタムツールを開発


■KATANAを検証したアーティスト(小林氏)の所感■

アーティストの立場でKATANAの検証を行なった小林氏の所感は以下の通りだ。

●Mayaと比較して、シーンファイルの読み込み時間が圧倒的に速い
●ノードの操作感が軽く、スムーズにシーンデータを構築できる
●複数のライティングパターンを備えたシーンデータも容易に構築できる
●ノードによる各パラメータのオーバーライドも簡単に行える
●ノードベースなのでデータ構造を把握しやすい。ほかのアーティストからデータを引き継いだ際にも、迅速に作業を開始できた

一方で、使いづらさを感じた点は以下の通りだ。

●レンダリング完了までの詳細な情報を確認できるようレンダーログの情報を充実してほしい
●シェーダのビジュアルはレンダリングしてみないと確認できないため、パラメータの設定を感覚で行うことが多くなる。Mayaのマテリアルビューアのようなものがあると調整しやすいのではと感じる
●ビューア上でオブジェクトを選択した後、アサインされているシェーダへのアクセスに少々手間を要する
●HDR Light Studioと連携できるようになってほしい


■今後の課題と展望■
前述したように、MayaとKATANA間のマテリアル情報はPythonカスタムツールを使ってやり取りしているが、現時点ではアーティストが利用できるシェーディングネットワークに制限がある一方で、ツールの改修には手間がかかっており、表現力と汎用性、工数のバランスが悪い状態になっているという。「マテリアルのフォーマット変更も検討しており、多数のプラットフォームに対応しているSubstanceやMaterialXなども視野に入れています。しかしKATANA上でイチからマテリアルを構築していくパイプラインにできれば、この課題は解決していくのではないかとも考えています」(今野氏)。

詳しくは後述するが、KATANA 4.0ではピクサーUSDテクノロジーがビルトインされたため、MayaからUSDデータ形式で出力すれば、3D形状とアニメーションだけでなく、マテリアル情報もそのままKATANAに読み込めるようになった。なお、現時点でその恩恵を受けられるレンダラはArnoldのみとなっている。今度USD対応レンダラやアプリケーションが増えていけば、KATANAを中核としたコンカレント型パイプライン導入のハードルはますます下がってくるだろう。


■KATANA導入を検討している方々へ■
eg+ worldwideへのインタビューの締めくくりに、KATANAを使いこなす上で必要とされるスキルについて、今野氏に語っていただいた。

「KATANAやNUKE、Houdiniなどのノードベースのソフトウェアを扱う場合には、自分がつくっているシーンの状況を全て把握したい(=コントロールしたい)という考え方が重要になってくると思います。知らない間にソフトウェア側で何らかの処理がなされていることを良しとするのではなく、自分がコントロールするという気持ちで触っていると、段々とKATANAを使うことが面白くなっていきます。また、工程の順序(設計図)を頭の中で描ける力があれば、操作が容易になると思います。とはいえノード(=機能)を理解していれば、設計図が曖昧でも結果を見ながら柔軟に変更できるので、導入の敷居は低いと思います。先入観をもたないことも重要ですね。例えば当社でNUKEを導入した際には、After Effectsの先入観を捨てることで、楽に操作できるようになりました。『Mayaではこうだ』といった先入観をもたずにKATANAを触った方がいいように思います」(今野氏)。

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KATANA 4.0の新機能とは?

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