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クリエイティブ・ロードテスト Luxology「modo 501」

クリエイティブ・ロードテスト Luxology「modo 501」

検証2:植物オブジェクトを使用したスピードテスト

近頃、映画『アバター』(2009)の大ヒットを受けて、自然の景観をフル CG で再現する案件が多くなってきたように感じる。そうした中、まともに自然を再現し説得力を与えようとすれば、非常に膨大なオブジェクトが必要となるし、シーンの重さだけでなく、レンダリング速度もそれに伴い乗数的に増加してより多くの作業時間が掛かってしまう。特に植物オブジェクトを使ったシーンで GI(グローバル・イルミネーション)を使って、さらに HD サイズになったらもう話にならないほどの時間が必要になるだろう。

modo 501 を使った植物のレンダリング
下の画像は modo 501 でレンダリングを行なったもの。レンダリング時間は、付属のサンプルシーン(900 × 600)で 1 フレームあたり約 22 分を要した。静止画としてのクオリティも申し分なく、何より modo は全てが標準で装備されたマテリアルやレンダラで処理していることに驚かされた。このサイズで 1 フレーム=22 分と聞くと遅いと感じる人もいるかもしれないが、GI 処理されていることを考えればむしろ早いと言えるのではないか。

植物のシーンファイル

実際にシーンを見ると、オブジェクトの数が物凄い量になっていた(後述)

植物レンダリング

レンダリング画質は申し分なく、瑞々しさも感じられ、かなり良い感じの仕上がりだ

キャラクターレンダリング

キャラクターのようなオブジェクト単位でのシーンにおける GI レンダリングのスピードも驚くほど高速であった。ちなみにライティング自体の GI が ON の状態でも、それほど所要時間は延びなかったことにも感心した

ちなみに modo 501 で草を扱う場合、パーティクルとして計算されているようで、デフォルトの草のシーンの場合 30 万個のパーティクルで構成されていた。つまり、物凄い数のオブジェクトとポリゴンを処理しているということだ。
欲を言えば、このパーティクルで構成されている植物オブジェクトをカメラに見えない部分の処理はしない設定(自動クリッピング)できるようになれば、レンダリングや操作もさらに高速化できるだろう。もしカメラが 3ds Max と共有できてしまえば、植物を扱うシーンをレンダリングするためだけにでも、modo を利用する価値は大きい。


3ds Max とのレンダリング比較
参考までに 3ds Max の標準 GI で同様のシーンをレンダリングしてみる。筆者の経験上、上に載せた modo での画質と同等のクオリティを目指そうとしたら、とても 22分で終わらない。
下の画像は、「3ds Max + V-Ray + MultiScatter」「ForestPack」 を利用して似たようなシーンを作成し、サイズを同じ 900 × 600、そして GI をON にしてレンダリングしてみたものだ。

3ds Max レンダリング レベル1

<レベル1> 静止画で速度を 5 段階で考えた場合だと、最も軽い設定の レベル 1 で約 8 分 を要した

3ds Max レンダリング レベル2

<レベル2> アニメーションにも耐えられるように、ノイズを多少軽減させた レベル 2 で約16分 掛かる。このようにアンチやノイズに対するクオリティを上げると、レンダリング時間が倍近く違ってくる

3ds Max レンダリング 別パターン

<レベル5> オブジェクト数を増やし、さらにクオリティを上げてみた。結局は modo と同じぐらいのレンダリング速度になるし、パターン違いのものを用意しても筆者の環境では 17 分以上かかってしまった

このように 3ds Max の場合、V-Ray + MultiScatter や ForestPack 等の Scatter プラグインと組み合わせればレンダリングを高速化できるが、アンチやノイズに対するクオリティを上げれば上げるほど、レンダリングに必要な時間はその分だけ増していく(言うまでもなく、3ds Max以外の CG ソフトでも同様だ)。一方の modo 501 は、全てが標準で処理されていること、そしてクオリティ的にも22分ということを考慮すれば、かなり優秀だと理解してもらえると思う。

どんなソフトウェアでも一般的にデモに用いられるデータはシンプルなシーン設定なので、まず上手くいくし速度も速い。しかし、実際に仕事で利用する場合はデータも複雑になるし、不測の事態が付きものだ。そして、諸々の問題をクリアできるレンダリング設定というのものは、予想をはるかに超えた高負荷のものになることも多いのではないだろうか。そう考えると、静止画で一定のクオリティを保ちつつ、適度な時間でレンダリングできている modo 501は、植物系だけでなく、その他全てにおいてもレンダリング速度は高速であると言っても過言ではない。念のため補足するが、これは 3ds Max のレンダリング速度が遅いのではなく、modo のレンダリングが非常に高速なのだ。

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