検証4:リアルタイムで質感を確認できる強力なレンダリング機能
今回のレビューで最も印象的だったのは、RayGLビューポートレンダリングモード によって、ほぼリアルタイムで最終のレンダリング画質に近い状態を確認できたことだ。他のソフトでも同様の機能はあるが、modo では最終レンダリングにかなり近い状態でのビュー表示となっており、実際の業務における確認作業で使ってみようと思えるクオリティである。

シーンファイルを読み込んだ状態

簡易レンダリングが行われた状態。わざわざレンダリングすることなく、シーンファイルを読み込んで即座に最終クオリティに近い状態が確認できてしまう
特に、色々なシーンを開いて確認したりする場合、どのようなライティングや質感設定がされているのかを、直ぐに確認できるのは実にありがたい。3ds Max で言うところのV-Ray RT のリアルタイムレンダリングや、市販のソフトウェアでの元祖リアルタイムレンダリングを搭載した米 WorleyLabs 社の FPrime と同じようなことがビュー表示で可能である。
注意点としては、なぜか日本語表示だとリアルタイム計算だけでなく、ビューの回転にまでもたつきが多いことか。しかし、英語表示だと完全にリアルタイムで表示できるので実用性は高い。率直に FPrime や V-Ray RT に引けを取らない表示速度なので何かと重宝できそうだ。

それぞれのビューにおける簡易レンダリング前と後、ワイヤーフレームを表示した状態。ビューを回転してもその都度自動でプレビューが更新される
総括:モデラーにとって強力な選択肢となりうる
今回のレビューを通して、一般的なモデリングツールからスカルプト系ツール、様々な汎用ツールなど、数多くのモデリングソフトがある中で、modo は全てのモデリング機能が統合されており、別のモデリングソフトをはしごすることなく完結できることから、とても有用性を感じさせるソフトウェアと感じた。
何より好印象だった部分は、あらゆるツールへのアクセスや操作方法が、一般的な同種のツールよりも新鮮かつ直感的で、創造力を引き立てるよう配慮されていると感じた部分が多かったことだ(柔軟性も申し分ない)。
ただし、スカルプトを中心に考えている人や、エフェクトを含むアニメーションをしっかりと行いたいのであれば、現状の modo はまだお勧めできない。そもそも多くの 3DCG デザイナーは勤務形態を問わずプロダクションの中で作業を行なっていると思うが、スタジオ全体で、あるいは案件ごとに使用ツールが決まっているため、結局は統合型の 3ds Max や Maya、Softimage といった業界ディファクト・スタンダードのツールを使わざるを得ない場合も多いだろう。
つまり、今まで慣れ親しんだツールから離れたとしても、最新のモデリング機能や、手法を新たに取り入れてモデリングを行いたいのであれば、modo は有効な選択肢になるということだ。また、これから 3DCG を始める人や新しいツールが好きな人、静止画としてイメージを仕上げたい人にとっては、modo は今すぐ活用できるツールであると断言する。
実は、先日から modo 601 プレリリース版の販売が開始された。キャラクター・アニメーションやダイナミクス周りを中心にさらなる改良が施されているようなので、今回のレビューで modo に興味を持った人は Luxlogy 公式サイト をチェックすると良いだろう
TEXT_イワハシマサキ(BERUBURI)
今回のレビュー環境(主要 PC スペック)
PC:ドスパラ フルカスタム
OS:Windonw 7(64bit)
CPU:Intel Core i7-970(HT12コア)
RAM:24GB
GPU:Quadro 4000
modo 601
システム要件
対応 OS:Windows 7、Vista、XP(32・64bit)、Mac OS X 10.6R またはそれ以上(32・64bit)
HDD:2GB 以上のハードディスク空き容量
RAM:2GB以上の実装メモリ
GPU:OpenGL 2.0 互換グラフィックスボード(モニタ解像度1,280×800以上)
※詳しくは Luxlogy 公式サイト を参照