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映画『テッド』

映画『テッド』

ティペット・スタジオの制作環境

本プロジェクトを担当した際のティペット・スタジオの制作環境と体制について、クラーク氏に紹介してもらった。

【ハードウェア】
・ワークステーション

Dell Precision T3500Dell Precision T5500
作業効率を最適化するため、状況に合わせて構成を変更している
・レンダーファーム
Dell PowerEdge C6145
レンダーファームのコア数は約 3,000。本プロジェクトではそれら全てを使用している
・ストレージ
プロジェクト終了時点のアーカイブ総量:約 30 テラバイト
「データを運用しているプロダクション期間中の総量は変動的で、さらに多くのストレージを必要としました」とクラーク氏は語る
【ソフトウェア】
MayaMotionBuilderNUKERenderManHoudiniMARIMudboxRVShotgun
アートツールとしての使い勝手が良いソフトウェアを選択。パイプラインは Maya と RenderMan を中心に構築している
【スタッフ数】
60 名以上が参加。内訳は以下の通り
プロダクション管理:9人、モデリング:5人、アニメーション:21 人、コンポジット:14 人、テクニカルディレクター兼エフェクト:14 人
【制作期間】
本作の企画立案から完成までには約 16ヶ月を要している。その内、ティペット・スタジオが関わったのは以下の期間
VFX のテストやルックデベロップメント:約3ヶ月、撮影:約 10 週間、VFX 制作:約6ヶ月

【図にまとめたもの】 ※クリックで拡大

映画『テッド』

複雑なシークエンスの撮影に貢献したプリビズ

プリビズを最大限に活かし短期間での撮影を実現

最近のハリウッドでは不可欠の存在になっているプリビズは、本作でも大きな効果を発揮した。プリビズ・アーティストの Webster Colcord/ウェブスター・コルコード氏、マクファーレン監督、撮影監督の Michael Barrett/マイケル・バレット氏が中心となって制作されたプリビズは、テッドと役者が複雑なやりとりをしたり、カメラワークやセットが複雑に変化するシークエンスで幾度となく重宝された。

本作のハイライトのひとつである、ホテルの一室でテッドとジョンが部屋中の家具を壊しながら派手に殴り合うシークエンスでは、プリビズが極めて大きな助けになったとクラーク氏は語る。「プリビズのお陰で、マクファーレン監督から撮影スタッフ、VFX スタッフにいたるまで、全員が何をすべきか、どんなアイデアを出せば良いのか理解できました」。本シークエンスのプリビズ制作においては、プリビズや撮影のスタッフに加え、スタントコーディネーターやジョンのスタントマンも協力し、テッドとジョンの振り付けやカメラワークを決定した。この時点ではセットが未完成だったので、図面を基にセットの模型をつくり、それをビデオ撮影した映像を使ってシークエンス全体のプリビズを完成させたという。このプリビズを参考にすることで、数ヶ月後に実施された実際の撮影はわずか2日間で完了できたそうだ。

映画『テッド』 映画『テッド』

テッドと、実在する街並みや施設、役者などが相互に影響しあうシークエンスの撮影計画では、プリビズによってスタッフたちのアイデアが引き出された

「適正価格」でテッドを具現化するための試行錯誤

マクファーレン監督や本作のプロデューサーである Jason Clark/ジェイソン・クラーク氏は、長年『テッド』の企画を温めていたが、テッドの具現化には高い制作予算が必要になると予想されたため、企画は却下され続けてきた。

「制作を開始する1年前に、クラーク氏からR指定コメディに許される範囲の"適正価格"でテッドの VFX を実現できないかと相談されました」とフレ氏はふり返る。

10 年以上の付き合いのあるクラーク氏の期待に応えるため、フレ氏は VFX スーパーバイザーのクラーク氏などに相談を持ちかけた。その結果、限られた予算とスケジュールの中でテッドを具現化する方法として、MVN の使用や、3つの組織による協力体制、プリビズの活用などが選択されたのだ。今回紹介した舞台裏での試行錯誤も想像しながら、本作を鑑賞してほしい。

映画『テッド』

TEXT_尾形美幸

映画『テッド』Jenny Fulle/ジェニー・フレ氏



Jenny Fulle/ジェニー・フレ氏
(VFX プロデューサー)

ソニー・ピクチャーズ・イメージワークスのエグゼクティブ・プロデューサーを経て、2009 年にクリエイティブ・カルテルを設立。30 年以上の経験を活かし、国内外、様々な規模の VFX チームを率いている

映画『テッド』Blair Clark/ブライアー・クラーク氏



Blair Clark/ブライアー・クラーク氏
(VFX スーパーバイザー)

インダストリアル・ライト&マジック のアーティストを経て、1993 年よりティペット・スタジオに所属。映画『キャッツ&ドッグス 地球最大の肉球大戦争』(2010)のキャラクター制作では、VES Award にノミネートされた経験を持つ



映画『テッド』

映画『テッド』

2013 年1月 18 日(金)から
TOHO シネマズ スカラ座ほか全国ロードショー!
www.ted-movie.jp
Twitter:@TED_MOVIE2013
Facebook:www.facebook.com/TED2013.jp
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