>   >  日本CG業界の革命児か、はたまたドンキホーテか。いずれにせよガチンコ精神は気高く、美しい! 360°映像の完全新作『風雲維新ダイショーグン』、Kickstarter(キックスターター)に挑戦中!
日本CG業界の革命児か、はたまたドンキホーテか。いずれにせよガチンコ精神は気高く、美しい! 360°映像の完全新作『風雲維新ダイショーグン』、Kickstarter(キックスターター)に挑戦中!

日本CG業界の革命児か、はたまたドンキホーテか。いずれにせよガチンコ精神は気高く、美しい! 360°映像の完全新作『風雲維新ダイショーグン』、Kickstarter(キックスターター)に挑戦中!

<3>世界に向けた、ハイエンドな大人向けCGアニメーションに突破口を

Enter a world of robot anime in this VR movie experience!(Kickstarterプロモーション動画)

――KickstarterのPR動画(上記リンク)も大変面白い仕上がりですね。あの内容はどのように?

斎藤:笹原さんとの話し合いが盛り上がっていくうちに、きちんとPR動画を撮ろうという話になったんです。と言っても、笹原さんにはダイショーグンの空手着(※4)を着てもらうけど、場所はオフィスで普通に喋ってもらうぐらいで考えていました。ところが、ある日突然、笹原さんからロケ地の候補が送られてきて、「え? こんな話聞いてないぞ......?」と(笑)。

※4:今回のインタビュー時にも笹原監督が着ている空手着。左胸には「笹原會館」と刺繍され、背中にはダイショーグンの紋章がはいった特注品である。なんとStudioGOONEYSが、応援の思いを込めてプレゼントしたものだという。

  • 「360°映像作品『風雲維新ダイショーグン』笹原和也監督(ILCA)×斎藤瑞季(StudioGOONEYS 代表取締役)対談
  • 「360°映像作品『風雲維新ダイショーグン』笹原和也監督(ILCA)×斎藤瑞季(StudioGOONEYS 代表取締役)対談


笹原:(笑)。実は、『悪魔城ドラキュラ』シリーズのプロデューサーなどで知られる五十嵐孝司さんの新作アクションゲーム『Bloodstained』※5)のKickstarterピッチ映像を見たら、開発したいゲームの世界観にマッチしたお城で撮影されていたんですね。映像としてもしっかりと演出や舞台設計をされていて、それに非常に心を動かされたんです。そこで、僕も身体を張らなきゃなと思って、絵コンテをきって、みんなで神奈川県・足柄にある金時山へロケに行くことに(笑)。

※5:昨年5月に実施された、『Bloodstained: Ritual of the Night』では、目標額50万米ドルに対して、554万5,991米ドルと実に10倍以上の出資をあつめた。前述したアニメ企画の実績と比較すると、ゲーム企画ではより多くの出資が見込める傾向にあるようだ。

斎藤:笹原さん、最初は火渡りをするとまで言っていたんですよ! まさかそこまで本気だとは思わなかった(笑)。そこで僕も実写撮影の経験はあったので、素人なりにできる範囲でやってみましょうと。Blackmagic Cinema Cameraを引っ張り出してきてRAWデータで撮影しました。グレーディングすることで、かなり締まった映像になったはず。うちのスタッフに実写撮影を学んでもらうための良い機会にもなりました。

  • 「360°映像作品『風雲維新ダイショーグン』笹原和也監督(ILCA)×斎藤瑞季(StudioGOONEYS 代表取締役)対談
  • 「360°映像作品『風雲維新ダイショーグン』笹原和也監督(ILCA)×斎藤瑞季(StudioGOONEYS 代表取締役)対談

2015年9月29日(火)に行われた、Kickstarterプレゼンテーション用撮影の様子。後半に登場する瓦割りのカットはハイスピード映像のためiPhoneで収録されたが、それ以外はBlackmagic Cinema Cameraを用いることで映画的なルックが追求された

――その点でも類を見ない試みをされているわけですね。"道なき道を歩む方々が挑むプロジェクト"だということが伝わってきます。

斎藤:『ダイショーグン』については、2DアニメのTVシリーズしか知らない方も意外と多いんですよ。そうした意味でも、ゲームのプリレンダーパートとしてではなく、ひとつのコンテンツとしてこうしたルックのCGアニメーションが世に出たらどんな反響があるのか気になります。笹原さんがKickstarterを選ばれたのは海外マーケットを視野にいれてのことだと思うのですが、僕としては日本にいる人たちにもぜひ観てもらいたいんです。

――たしかに。『SHOW BY ROCK!!』の3Dパートのように、近年は日本でもセル・シェーディングではない、より新しいルックのCGアニメーションに対する機運が高まっていますからね。

笹原:昔から3DCGコンテンツ制作に携わっている人たちには、『ファイナルファンタジー』シリーズのCG表現に魅了されて業界に入ってきた人がすごく多いと思うんですよ。ところが、そうしたフォトリアルというか、ハイエンドなCG映像をつくれる案件はまだまだ限られているので、『ダイショーグン』のビジュアルは新鮮に映るはず! PR動画のなかでも申し上げましたが、一般的にCGアニメーションは子どもを中心としたファミリー層をターゲットにした作品が主流です。大人向けにはフォトリアルなCG表現は向いてないとする風潮すら感じます。

「360°映像作品『風雲維新ダイショーグン』笹原和也監督(ILCA)×斎藤瑞季(StudioGOONEYS 代表取締役)対談

――おっしゃるとおり、大人向けでフォトリアルな表現となると一般的には実写VFXが選ばれますよね。ハリウッド映画がその典型だと思います。

笹原:だから、そこを突破したい。僕の中で、「蓼食う虫も好き好き」理論というものがあるんです。蓼(たで)は確かに苦いのですが、みんなが食べたいものだけをつくっているだけだと埋もれていってしまいます。1,000人のお客さんがいれば1人くらいはダイショーグンのようなCGアニメーションを気に入ってくれる人がいるだろうと。だけど、たとえ1,000人に1人でも73億人に観てもらえれば、730万人じゃないですか。埋もれることよりも目立つことを大事にしています。

――たしかに。それこそが、クラウドファンディングの根底にある考え方ですね。

笹原:だから、誰かに言われるのではなく自分ひとりだけではじめました。斎藤さんが「『ダイショーグン』みたいなCGアニメーションをやりたい」と言ってくれたことも大きな支えになっています。

「360°映像作品『風雲維新ダイショーグン』笹原和也監督(ILCA)×斎藤瑞季(StudioGOONEYS 代表取締役)対談

――このインタビューを通じて、少しでも多くの人にまずは興味をもってもらえると良いですね。

笹原:前例のない試みなので、実のところ五里霧中です(苦笑)。僕の悪戦苦闘ぶりを面白がってもらえれば......。

斎藤:ほら、弱気にならないで(笑)。笹原さん、本当にガチンコで取り組まれていらっしゃるのでぜひ『ダイショーグン』を応援してください!

「360°映像作品『風雲維新ダイショーグン』笹原和也監督(ILCA)×斎藤瑞季(StudioGOONEYS 代表取締役)対談

「豪華ゲストと贈る『ダイショーグン・風雲維新スペシャル!』ザ・ワールド・イズ・マインZ!!」【シシララTV#63】
このKickstarterプロジェクトに少しでも興味をもたれた方は、まずはニコ生にて、笹原和也監督のガチンコぶりを確かめてもらいたい。


info.

  • 「360°映像作品『風雲維新ダイショーグン』笹原和也監督(ILCA)×斎藤瑞季(StudioGOONEYS 代表取締役)対談
  • 『風雲維新ダイショーグン』Reboot
    (Kickstarter日本語まとめサイト)

    これまでに、遊技機とTVシリーズ(2Dアニメ)として展開してきたILCA・笹原和也原案のオリジナル企画『風雲維新ダイショーグン』の360°フルCGアニメーション新作の制作資金を募ったクラウドファンディング。3月24日(木)から4月23日(土)までの30日間で20万米ドル(約2,260万円)集めることを目指す。
    FacebookTwitterにて新たな情報やビジュアルを続々と公開中。


    ●支援される方は下記の英語サイトへ●
    Dai-Shogun - The Great VR Animation Revolution

Profileプロフィール

笹原和也/Kazuya Sasahara(ILCA)

笹原和也/Kazuya Sasahara(ILCA)

1971年生まれ。大学時代に3DCGアニメーションの世界に足を踏み入れ、有限会社笹原組(現在はアニマに改名)を1997年に設立、取締役に就任。 2010年にアニマを退職し、株式会社ILCAに入社。ディレクターとして活躍中。

主な代表作:『PROJECT SYLPHEED』(2006・ムービーディレクター)、『CAT SHIT ONE -THE ANIMATED SERIES-』(2010・監督)

@sasaharakazuya

斎藤瑞季/Mizuki Saitoh(StudioGOONEYS)

斎藤瑞季/Mizuki Saitoh(StudioGOONEYS)

株式会社StudioGOONEYS 代表取締役社長。群馬大学 教育学部 理科科を卒業後、CGの世界に入るため上京。デジタルハリウッド大学院在学中に明治製菓『チョコレートンの冒険』東京証券『シェア先生と楽しく学ぼう』のCG監督を務め、映画『デスノート the Last name』(2006)への参加を皮切りにフリーランスへ。約7年半の活動を経て、映像演出に重きを置く仲間を集い、2012年4月に同社を設立。趣味はCPUのオーバークロック。

StudioGOONEYS公式サイト

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