ソフトの使い方よりも、デザインの基礎の勉強が大事
C:そもそも、どうして3DCGをつくろうと思ったのですか?
古賀:中学校に入り、友達に誘われてコンピューター部に入ったことがきっかけでした。最初はプログラミングをやりましたが、どうにも楽しいとは思えず、やがてUnityを使ってゲームをつくるようになったのです。そのうちアセットストアのモデルだけではもの足りなくなり、Blenderを使って自分でモデリングするようになりました。元々僕は何かをつくることが好きだったので、モデリング自体に夢中になってしまい、ひたすら3DCGをつくるようになったというわけです。今では、学校の授業がない日は6時間くらい制作に当てています。平日の制作時間は平均すると3時間くらいですが、午前3時くらいから起きてつくることもあります。
C:このスライム(?)をつくったのはいつ頃ですか?
古賀:2年生になって間もない頃だったと思います。その後は、友達がつくったソフトウェア用のビジュアルや、コンピューター部の展示用ポスターを3DCGで制作しました。ほかにも建物の「Dome」や、パワードスーツの「Monarch」などを制作し、今は「Demon」をつくっています。
▲【左】友達がつくったソフトウェア用のビジュアル/【右】コンピューター部の展示用ポスター
▲「Dome」のワイヤフレーム
▲「Dome」のレンダリング画像
▲【左】「Monarch」のワイヤフレーム/【右】「Monarch」のレンダリング画像。「中学3年生の夏休みからつくり始めて、完成までに3ヶ月ほどかかりました。テクスチャは全てハンドペイントしています」(古賀氏)
▲「Monarch」のターンテーブル動画
C:この2年間で、どんどん腕を上げていますね。どうやってBlenderの使い方やモデリングを勉強したのでしょうか?
古賀:Blenderに関する本やYouTubeにアップされているチュートリアル動画を見て、自分で勉強してきました。最近は『Maya実践ハードサーフェスモデリング』(北田栄二/2015)を参考にすることが多いです。
C:それはBlenderではなく、Mayaの本ですよね?
古賀:ソフトがちがっても、モデリングの基本的な考え方は共通しているので、参考になることは多いです。去年「映像制作の仕事展 vol.2」に行った際、著者の北田栄二さんにお会いできたので、制作中だった「Monarch」をお見せして意見をいただきました。「広い面には、もっとディテールを入れた方が良い」といったアドバイスをもらい、すごく刺激になりました。
C:ものすごい行動力ですね。プロと話したり、作品を見てもらったりした経験がほかにもあれば、教えていただけますか?
古賀:中学校の社会の授業の一環で、自分が興味のある会社を取材する機会があったので、スタジオグッファさんに取材を申し込みました。業務にBlenderを使っている会社なので、すごく参考になりましたね。実際にBlenderを操作しているところも見せてもらったのですが「ソフトの使い方よりも、リアリティのあるデザイン、より美しく見えるデザインにするための基礎を学ぶことの方が大事」という話が印象に残りました。3DCGの世界は変化が早いけれど、デザインの基礎を身に付けておけば、変化に対応できると言われました。だから高校を卒業したら、大学でデザインの基礎を学びたいと思っています。
C:そういえば、古賀さんは粘土造形の写真もTwitterにアップしていましたね。あの写真を見たとき、基礎の重要性を意識しているのだろうと感じました。
- 古賀氏が美術の授業で制作した手の粘土造形。「粘土造形も楽しいですが、形をつくるだけでお終いになってしまいます。3DCGの場合は、つくったものをゲームに使うことだってできるし、映画に使うことだってできます。その自由度の高さ、広がりの大きさが面白いと感じています」(古賀氏)
C:最後に、今後の抱負を教えていただけますか?
古賀:僕は映画を見ることが好きで、特に『スター・ウォーズ』シリーズや『トランスフォーマー』シリーズが大好きです。だから将来はIndustrial Light & Magic(ILM)のモデラーになりたいと思っています。Blizzard Entertainmentも良いなと思っています。近い目標としては、今は自宅ではノートパソコンで制作しているので、お金を貯めてグラフィックボードを搭載したパソコンを買いたいです。それからスーパースカルピー(樹脂粘土)を使った造形にも挑戦してみたいです。
C:目標がかなうことを願っています。お話いただき、ありがとうございました。