<2>次なる技術的チャレンジはバーチャルヒューマンのリアルタイムCG
CGW:松本さんはモデリングSVとして、画づくりにおける中心的な立場でいらっしゃいますが、バーチャルヒューマン特有の表現様式や心がけていることはありますか?
松本:immaの写真合成を担当するようになって1年半ほど経ちますが、今までなかった画づくりのためまだまだ模索中ですね。通常のVFXとしての実写合成の場合は、CGと実写プレートがマッチするよう正確なライティングを施すのがセオリーですが、immaの場合はiPhoneで撮ったようなオフショットの写真だったり、雑誌に載るようなスタジオでの撮影のライティングだったりと、シーンによって求められるビジュアルが様々です。だからといって、毎回HDRI素材を撮っていては、"一瞬のきらめき"を逃してしまうので、それも難しい。写真表現はセオリー通りにはいかないので、様々なやり方を探っています。僕自身はフォトリアルな表現が人物に限らず好きなのですが、写真合成は自分のスキルを磨く上で良いチャレンジと捉えモチベーション高く取り組めています。
Instagramには、日常生活のスナップ写真からファッションフォトまでバラエティに富んだ写真が投稿されている
M:Awwの面白いところは、モデラーの川島かな恵さん(ModelingCafe)だったり、マネジメント側も女性スタッフが多くて、女性の意見を積極的に採り入れていることです。
岸本:YUMIさんにもディレクターとして活躍してもらっていますが、女性の意見は重視していますね。
YUMI:私自身、女性が活躍できる組織だと思いますし、「バーチャルヒューマン」という、次世代に向けたものをつくっていく上では、女性の活動フィールドを広げていくことと合致していると思います。
CGW:Awwとして、今後の活動を進めていく上で注目しているテクノロジーを教えてください。
岸本:ModelingCafeでは、数年前に3Dスキャンスタジオを社内に構築しました。国内トップクラスの解像度でスキャニングが行えると自負しています。現在のバーチャルヒューマンは写真を通じた活動が中心ですが、今後は映像、特にリアルタイムCGになっていくと思うので、そちらの研究開発にも力を注いでいこうとしています。すでに海外の第一線で活躍しているエンジニアにも加わっていただいていますし、アーティストもエンジニアもさらに採用を進めていく計画です。まだまだ手探り状態ではありますが、常に最先端の開発を進める体制を構築していきたいと考えています。
ModelingCafeの3Dスキャンスタジオ
M:モデリング技術に関しては世界に通用するレベルのものがつくれていると自負しています。その上でいかに魅力的なバーチャルヒューマンをプロデュースしていくのか、そのバランスが大事。活動領域を広げていくためにも様々な企業と協業していく計画です。また、バーチャル空間で楽しめるものが世界的に急成長しているので、近い将来、リアルとバーチャルの境界はなくなっていくのではないかと思います。そうした意味でも、バーチャルヒューマンという存在の面白さや楽しさをもっと広げていきたいです。
Awwがプロデュースする、RIA(2019年3月から活動開始)
www.instagram.com/ria_ria_tokyo
Awwがプロデュースする、plusticboy(2019年11月から活動開始)。新たなバーチャルヒューマンたちのデビューも控えているとのこと
www.instagram.com/plusticboy