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ディレクションシーズが伝授!<br/>超効率的3DエフェクトTIPS(遊技機向け映像からスマホゲームまで)

ディレクションシーズが伝授!
超効率的3DエフェクトTIPS(遊技機向け映像からスマホゲームまで)

Topic 04 エフェクト制作のワークフロー

3DCGデザイナーとコンポジターの連携

ここからは実際にエフェクトが完成するまでの手順を解説していきたい。エフェクトは演出を構成する要素のひとつであり、まずはその演出を関係者全員が理解する必要がある。企画、ディレクター、各職種のリーダー(3DCGデザイナー、コンポジター)が集まり、仕様下ろしの打ち合わせを行う。その場では企画仕様、演出概要、エフェクトのイメージ、素材ごとの担当振り分けを決定する。企画から仕様、概要の説明があった後にコンポジットチーフまたはディレクターが演出の詳細を補足する。3DCGデザイナー、コンポジターのどちらで素材をどれだけ対応するかもここで決定。絵コンテ用紙を持参しているので、複雑な演出の場合はエフェクトコンテをその場でまとめて担当に手渡しも行う。各職種チーフから質問を受け付けて不明点をなくした時点で打ち合わせは終了となる。

コンポジターはコンテや演出概要を確認しながらエフェクトを作成していく。3DCGデザイナーに対してトレイル用テクスチャを提出し、3D素材担当と画像サイズや尺のすり合わせを行う。約1~2日で素材は上がってくるので、仕様に合っているかを確認し、演出に組み込んでいく。演出全体のテンポ、尺、仕様の確認として50%くらいの進捗で社内提出を行い、チーフとディレクターによって方向性チェックが行われる。問題がない場合はそのまま作業を進めて演出を完成させ、社内の担当企画部署へ提出し、クオリティラインに達しているかが判断される。次にプロデューサーの最終チェックで承認が下りたらクライアントへ提出となる。

分業をスムーズに行うための打ち合わせ

▲絵コンテには「ここは絶対に押さえてほしい!」という箇所を中心に「色、形状、速度、範囲、尺」を書き込む。定番の光が弾けるエフェクト等に対しては絵コンテを描かずに口頭説明のみで済ませることも多いが、主にステップアップして状態が変わっていくエフェクトは入念に打ち合わせを行う。ステップが上がると共に、「エフェクトパーツのどこを強化するのか」というポイントは特に重視している。定番は、速度が上がったり色が熱くなったり強くなったりだが、案件や演出によってマッチする内容は変わるので慎重に行う

3Dエフェクト素材作成のながれ



▲まずは、コンテや演出概要に合わせた雛形をライブラリから選択するところから始まる<A> 。そこからイメージに近い形状へと調整を行う<B> 。動きと質感が固まってきたら、アニマティクスとして途中段階でチェックする。最後の完成イメージに大きく影響のあるレイアウトの調整は慎重に進めていく。テクスチャを貼って質感を付けた後、担当コンポジターが一度チェックし、素材不足や修正がある場合は再度テクスチャを調整する<C>。尺の変更がありそうな複雑な演出の場合は、倍の尺で出力してAfter Effectsでタイムリマップ調整ができるようにしておくことも多い

ラフイメージから完成までのながれ

▲3Dエフェクト素材を受領してから最初に行うコンポジット作業は、テンポと尺の調整だ<A>。つくり込む前にこれらを完全に決める。前の工程である程度詰めておくのだが、実際の演出に乗せると調整なしで使えることは少ないので、遊技機的なタメツメを入れる必要がある。あとはひたすら可能な限りエフェクトを盛る<B>。主にパーティクル、レンズフレア、シャイン、グロー等を追加していく。パーティクルはクオリティに直結するので、粒の形状のバリエーション、量のメリハリは繊細に行う。こうして完成したエフェクトが<C>だ

Topic 05 さらなるクオリティの底上げを目指して

作業効率と品質を上げるライブラリの強化

当社ではプロジェクト業務を進めつつ、様々な案件に対応できるようにエフェクト素材を継続的に作成しストックしている。コンポジターチーフが素材リストと指示書をつくり溜めておき、プロジェクトの合間に作成スケジュールを入れている。内容としては、光系、コミカル、ホラー、サイバー、炎、雷、イメージBG、パーティクル素材等、よく使われるものを動きや形状を変えてバリエーションを作成している。承認が下りたデータは素材ライブラリに登録されており、スタッフが自由にアクセスして演出に組み込めるようになっている。作業aepデータも同フォルダにアップされているので、質感を調整などして演出にマッチしたエフェクトに変更することが可能だ。3Dトレイル、FumeFXのシミュレーションのバリエーションも3Dエフェクトライブラリとして登録されている。ムービー用の爆発や土煙なども多数用意してあるので、CGムービー案件に短時間でリアルなVFXを組み込むことが可能だ。

ほかにも定期的に新しいプラグインの検証の結果、効果があると判断されたものは、導入と同時に応用技術などをマニュアル化してまとめている。社内マニュアルはAfter Effectsの基本的な使用方法、様々なサードパーティプラグインの応用技術、液晶へ組み込む実機データの作成方法などを多岐にわたり用意している。新人や他業界からの転職者にもスムーズに業務へ馴染めるよう、研修内容を充実させている。現在、3D素材は3DCGデザイナーが作成、テクスチャはコンポジターが作成という分業を行なっているが、将来的には3D素材も自力で作成できるコンポジターの教育にも力を入れていく予定だ。

初級~上級応用編まで充実のマニュアル

▲新人や他業界から入社される方に対して、遊技機演出の特性をスムーズに理解してもらえるように基礎となるシンプルな演出を作成する研修を用意。そこでインパクト、演出分岐アオリ、結果(視認性、ループ処理)など必須項目を理解してもらう

進化し続けるエフェクトライブラリ

▲ライブラリには使用頻度の高い、光、炎、雷を中心に様々な動き、形状を取り揃えている。<A>3Dエフェクトライブラリ/<B>FumeFXライブラリ。これらはどれだけあっても足りないので常に増やし続けている。スタッフも普段とちがう雰囲気のエフェクトを作成することでモチベーションが上がるというので、積極的に行なっている。またこれにより新たな機能や表現の発見も期待できる。スタッフからもエフェクトの提案がくることがあるので、チームとして成長する活動のひとつと感じており、つくればつくるほどノウハウが溜まりアイデアも広がっていく

様々な方向性の案件に対応できる準備

▲新しい案件の相談がきた時点で、その作品に合った汎用素材をコンポジターチーフが発案し、指示書とリストを作成する。図のようなイメージBGや基礎のインパクトエフェクト等を備えておけば、プロジェクトがスタートしたときにスムーズに本作業へ入れるのだ。実際に仕事につながらなかった場合や、合致する演出がなく使用できなかったとしても、今後どこか使えるときがくるので無駄にはならない。ノウハウが溜まっているので、同じような方向性の案件がきたときにクオリティの高い素材が準備できるのだ

Column:Unityを用いたスマホゲーム向けエフェクト制作


遊技機のエフェクトは3次元的なエフェクト表現が主流になりつつあるが、3D空間をもつUnityはそもそも立体的なエフェクトがつくりやすい。しかしリアルタイムで表示する必要があるゲーム制作では、処理負荷を考慮すると遊技機のような複雑な動きや派手さを出しづらいところがある。特にスマホゲーム向けのエフェクトはパーティクルだけで複雑な動きをつくることが難しいため、詳細に描かれたテクスチャを貼ってエフェクトの密度やクオリティを上げることになる。

そのテクスチャ制作で大きな手助けになるのが、遊技機向けに作成し、ストックしているエフェクト素材や動画素材、作画素材だ。もともと遊技機向けに作成しているため、そのままテクスチャとして使用するだけで派手で複雑な見映えになるのでクオリティを上げやすい。素材を静止画にして動きをUnityで付けたり、Unityでシートアニメーションにして動画として見せたりと、表現に幅が出る。パーティクルやトレイル等の立体的なエフェクトを織り交ぜることで、密度の濃いエフェクトをつくれ、作業効率を向上することができる。

また、当社は3DCG制作を行なっている関係上、様々な3Dエフェクトツールを使用している。制作するエフェクトの内容によって、3ds MaxやMaya、FumeFX等で3Dエフェクトを作成し、レンダリング、加工し、それをベース素材にしてゲームエフェクトを制作することも可能である。3D化が進む遊技機と3DツールであるUnity、どちらのエフェクト制作でも、2D素材と3D素材を使い分け、それぞれの素材の利点を活かすことでクオリティアップと作業の効率化を図っている。



【INFOMATION】
ディレクションシーズは、コンシューマー・スマホ・VR等ゲーム案件増加に伴い、積極採用中!!

■募集職種:①2DCGデザイナー②3DCGデザイナー ③3DCGアニメーター ④コンポジッター ⑤絵コンテ
■待遇:【新卒】月給23万円/【キャリア】年収320万円~550万円
※希望、経験、能力を考慮の上、当社規定により優遇
■休日:年間休日数126日(2016年度)/完全週休2日制(土・日・祝・その他会社の定める休日)/年末年始休暇、年間休暇、有給休暇

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Profileプロフィール

ディレクションシーズ/DirectionSeeds

ディレクションシーズ/DirectionSeeds

山口 絢(ディレクションシーズ・執行役員)、國雲好隆(同、3DCGディレクター)、中西 亮(同、アートディレクター)

株式会社ディレクションシーズ

株式会社ディレクションシーズ

ディレクションシーズは、パチンコ・パチスロ液晶ソフトの企画・デザイン・液晶制御をはじめ、コンシューマー・スマホ・VRゲーム等の3DCG制作を行なっています。アニメを題材としたトゥーンCGの開発実績が多く、2Dならではの魅力を活かした3DCGモデルを作成、手付けアニメーションでアクロバティックにグリグリ動かすプリレンダームービーを得意としています。なお、ディレクションシーズでは案件増加に伴い積極的に人材採用中です。ご興味ある方はぜひご応募ください。
www.d-seeds.com
cgworld.jp/jobs/30001.html

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