<検証1>
13.4型コンパクトゲーミングノートPC「ROG Flow X13 GV301QH」
のCPU、GPUパフォーマンス、使い勝手を検証
ROG Flow X13 GV301QHは、コンパクトな筐体と高いスペックを兼ね備えたタッチ対応のフリップ型タブレットとしても使用可能なゲーミングノートPCである。Zen 3コア・アーキテクチャーを使用したCPU「AMD Ryzen™ 9 5900HS」やGPU「NVIDIA® GeForce® GTX 1650」を搭載し、ゲームのみならずクリエイティブな用途にも十分な実力を発揮する。
検証機「ROG Flow X13 GV301QH」
寺村氏常用マシン(デスクトップ機 2019年製作)
今回の検証では、寺村氏のメインマシンとROG Flow X13 GV301QHを比較。CPU性能は「Cinebench R23」、GPU性能は「OctaneBench 2020」でチェックした。さらに、Cinema 4Dで簡単なシーンを制作してRedshiftによるGPUレンダリングのスピードをテストしたほか、After Effectsの処理性能も比べてみた。
【Point1】
Ryzen 9™ 5900HS搭載デスクトップ機を上回る
シングルCPU性能に驚愕!
まずCinebench R23の結果を見てみると、さすがにマルチコアのスコアは寺村氏のメインマシンが約1.5倍の差がつけて圧勝だったが、シングルコアのスコアは寺村氏のメインマシンが1239ptsだったのに対して、ROG Flow X13 GV301QHは1443ptsをマーク。ノートPCとは思えない性能を見せて寺村氏を驚かせた。
▲マルチCPUでこそ3900Xに負けるものの、シングルの性能においてはX13の方が高いという事が分かる結果に
さらに、寺村氏がモーショングラフィックスで頻繁に使用するAfter Effectsのテストでは、こちらもマルチコアに最適化されているレンズブラー処理こそコア数に準じた結果となったが、最適化されていないクロマキー処理は寺村氏のメインマシンが4分55秒だったのに対し、ROG Flow X13 GV301QHは4分23秒となった。After Effects全体の使用感についても寺村氏は「十分に速い」と感じ、SSDの性能と相まって「実写素材などを使っても差し支えないくらいのスピードが出ていた」という高印象だった。
▲ レンズブラーがマルチコアに対応している様で、コア数の多い寺村氏所有機の方が圧倒する結果に。クロマキー処理はマルチスレッドの効果が低い様で、シングル性能の高いX13の方が計算が早いという結果になった。
【Point2】
GPUはエントリークラスながら
出先でもGPUレンダリングの恩恵が受けられる
また、NVIDIA® GeForce® GTX 1650(専用ビデオメモリ GDDR6 4GB)はエントリーモデルであることから、OctaneBench 2020におけるROG Flow X13 GV301QHの結果は74,27だった。ただ、性能こそ限られるもののCUDAコアを搭載しているおかげで「GPUレンダリングはできた」(寺村氏)とのこと。寺村氏が普段サブ機として使っているMacBook ProではそもそもGPUレンダリング自体が実行できないことから、「相手先でもGPUレンダリングしたビジュアルを見せられる」という意味では「非常にありがたい」と感じたそうだ。
【Point3】
ゲーミングPC特有の「尖った雰囲気がない」点が好印象!
13.4インチなので持ち運びが非常に楽
次に、スペック以外の装備や利便性などについて見てみると、寺村氏がまず気に入ったのはディスプレイサイズを含めた「サイズ感」。寺村氏は以前から、CGを扱うのであれば「最低でも15インチは必要」と思っており、13インチ前後の製品には「少し抵抗があった」という。しかし、実際にROG Flow X13 GV301QHを使ってみると、むしろコンパクトなサイズ感から「持ち運びが非常に楽である」ことを痛感。打ち合わせ時はHDMIで外部ディスプレイに接続することがほとんどであるため、「このサイズで十分」と思い直したそうだ。
筐体のデザインについても、ROG Flow X13 GV301QHは従来のゲーミングPC特有の尖った雰囲気がない点が好印象。ソアズロックのクライアントは非エンタメ領域の企業が多いことから、ビジネスの場で「信頼感を欠く要素は出来る限り減らしたい」(寺村氏)と考えている。そのため、シンプルかつ無駄の無い筐体デザインは「ビジネスでも十分に活用できる」と評価した。
このほかにも、ゲーミングノートPC用とは思えないほど小型でモビリティ性が高いType-Cポート経由での充電が可能なACアダプターや、別売りのASUS Penを購入すれば、スタイラスペンを利用した入力にも対応するタッチ対応ディスプレイ、暗いスタジオ内での作業にとても役立つバックライト搭載キーボードに注目し、実務を踏まえた使い勝手の良さを実感。さらに、CGデザイナー目線で4K解像度のディスプレイにも着目し、「カスタムでボタンなどたくさん配置したCGソフトのUIも、これならそのまま使える」と笑みを浮かべた。
次ページからはいよいよ、外付けGPUとの組み合わせによるパフォーマンス検証の結果を紹介したい。