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「ハイスペックなPCが必要」というイメージの強いUnreal Engine(以下、UE)だが、現実的な作業においてはどの程度のスペックが求められるのか? 人気のオンライン講座「Coloso」でUE5のチュートリアルを提供する祭田俊作氏に、ユニットコムのクリエイター向けデスクトップPC「iiyama SENSE∞」の新モデル3機種を検証してもらい、UE5での実力を探ってもらった。
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祭田俊作氏
Unreal Engineをはじめとする多彩なDCCツールを駆使し、CMやミュージックビデオのCG制作からXR関連の企画開発、アニメ、映画、ゲームの領域までを幅広く手がける。テクニカルアーティストでもあり、オンラインイベント「UE4 Character Art Dive Online」での講演経験を持つ。
X(旧Twitter):@floody104
自主制作ページ:vimeo.com/537313474
なぜ映像制作でUnreal Engineなのか?
CGWORLD(以下、CGW):祭田さんは「Unreal Engineの使い手」というイメージがありますが、いつからUEを使うようになったのでしょうか?
祭田俊作氏(以下、祭田):作品としては、以前の会社でアトラクションのCGをUEでつくった経験はあります。ただ、UEユーザーとして認知されるようになったのは独立してから。ちょうどコロナ禍の真っただ中で時間を持て余していたので、ポートフォリオ的な映像作品をUEで制作したことがきっかけでした。しかも、それが運よくXで拡散されたばかりか、Epic Games Japanの目に留まってオンラインイベント「UE4 Character Art Dive Online」に登壇することになりました。そこで作品のメイキングなどを解説させていただいたことが、その後の仕事にもつながっていったという印象です。
祭田氏が制作した、ベルギーのアーティストThe Golden Glowsのミュージックビデオ。制作におけるメインツールはUE5
CGW:そもそも映像制作にUEを使おうと考えた理由は何だったのでしょうか?
祭田:まず自分が元々「映画や映像コンテンツが好きだった」という点と、ゲームではなく映像であれば「他のエンジニアやデザイナーなどの力を借りなくても、1人で完結して制作できるのではないか?」と考えました。
実際、前職でVR作品をつくっていた際は当然チームで取り組んでおり、例えば開発での最適化など、1人ではカバーしきれない作業がかなり多くありました。しかし、映像ではレンダリングさえ回ってくれれば、力業で何とか1人でも完成させられるんですよね(笑)。さらに、UEならリアルタイムレンダリングでライティングなどもスピーディーにチェックできますから、1人でフットワーク軽く作業するという意味では「自分の制作スタイルにUEが合っていた」と思います。
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小さい作業効率改善の積み重ねが生む、大きな時短効果
CGW:なるほど、個人でのアウトプットを重視した結果ということですね。
今回、祭田さんにはクリエイター向けデスクトップPC「iiyama SENSE∞」の新モデル3機種を検証してもらいました。
PC1:SENSE-F0B6-LCR99W-XLX-mtrd Ryzen 9モデル
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- 予定価格
699,800円(税込)
- CPU
AMD Ryzen 9 9950X プロセッサー(16コア / 32スレッド / 4.30GHz / 最大ブーストクロック5.70GHz / 64MBキャッシュ)
- GPU
GeForce RTX 4090 24GBGDDR6X
- メモリ
128GB(32GB×4) DDR5 DIMM
- ストレージ
1TB NVMe対応 M.2 SSD[PCIe 4.0×4]
- OS
Windows 11 Home
※Ryzen 9モデルは残念ながら記事掲載時点では販売終了との事だが、今後最新のスペックで販売開始を予定しているとの事だ
PC2:SENSE-F0B6-LCR97X-UTX-mtrd Ryzen 7モデル
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- 予定価格
359,800円(税込)
- CPU
AMD Ryzen 7 9700X プロセッサー(8コア / 16スレッド/ 3.80GHz / 最大ブーストクロック5.50GHz / 32MBキャッシュ)
- GPU
GeForce RTX 4070 Ti SUPER 16GB GDDR6X
- メモリ
64GB(32GB×2) DDR5 DIMM
- ストレージ
1TB NVMe対応 M.2 SSD[PCIe 4.0×4]
- OS
Windows 11 Home
PC3:SENSE-M3A6-R75F-SLX-mtrd
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- 予定価格
199,800円(税込)
- CPU
AMD Ryzen 5 7500F プロセッサー(6コア / 12スレッド / 3.70GHz / 最大ブーストクロック5.00GHz / 32MBキャッシュ)
- GPU
GeForce RTX 4060 Ti 16GB GDDR6
- メモリ
32GB(16GB×2) DDR5 DIMM
- ストレージ
1TB NVMe対応 M.2 SSD[PCIe 4.0×4]
- OS
Windows 11 Home
※記事内に掲載されている Ryzen 5モデル SENSE-M3A6-R75F-SLX-mtrd は、SENSE-M3A6-R75F-ST2X-mtrd Ryzen 7モデル SENSE-F0B6-LCR97X-UTX-mtrd は、SENSE-F0B6-R97X-UT4X-mtrd と同等商品となる
検証1:自作ゲームでのFPS検証
祭田氏が現在制作している自作ゲームを検証素材として使用し、ワールド内を移動した際のFPSの平均値を計測。
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store.steampowered.com/app/3234690/HAUNTED_STREAMER
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祭田:このゲームは遊びやすさを考えて負荷が軽くなるように制作していることもありますが、GPUの性能が大きく影響していますね。
検証2:映像用プロジェクトでのFPS検証とレンダリング時間
実際の映像用プロジェクトで開いた重いレベルのシーンでのFPSと、そのシーン内の1カットをレンダリングした際にかかった時間を計測した。
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祭田:それぞれの結果を見ると、注目したいのは“メモリ容量” です。というのも、ここで使用した映像用プロジェクトは、オブジェクト数やテクスチャサイズなどが多いのはもちろんですが、キャラクターやヘアグルーム、服のアニメーションなども含まれているためファイルサイズが大きくなっています。そのため、各モデルのメモリとGPUメモリ(VRAM)の差が、結果に大きく反映されていると感じていました。
検証3:雲のシーンでのFPS検証とレンダリング時間
雲のVBDのアセットを使用し、負荷の高い雲海のシーンを作成。そのシーンでのFPSとレンダリング時間を計測した。
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祭田:UEは5.3以降から、別のソフトウェアから外部出力されたVBDのアセットも簡単に扱えるようになりました。
実は、この雲海のシーンでは遠景も含めてVBDでつくっているため非常に重いシーンになっており、FPSは映像用プロジェクトの検証と比べても値が低く、Ryzen 9モデルでも「10.3FPS」しか出ていません。ただ、そんな状況のシーンでも、レンダリングが思いのほか速かったのは驚きでした。また、VBDのみでは映像用プロジェクトと比べてアセットやテクスチャが少ないので、そのあたりが影響してモデルごとのレンダリング時間の差に違いをもたらしているのかなとも思いました。
CGW:検証してみて、それぞれのモデルの印象は?
祭田:まず、Ryzen 5モデルはエントリーの位置づけですが、このモデルでも私の自作ゲームや映像制作は十分に制作できるレベルだと感じました。逆に、Ryzen 9モデルでは一部の作業には高性能過ぎますが、重たいシーンでのレンダリングなど、本当に負荷の高い作業の際に利用できると非常に心強いと思いました。Ryzen7モデルはどの検証も優秀な結果で、総合的なコストパフォーマンスは一番優れていると思いました。
予算との兼ね合いでPCのスペックが決まると思いますが、作業時のFPSやレンダリング時間はもちろん、プロジェクトの起動時間など細かい作業効率の改善がクリエイティブに与える影響は大きいと思います。
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TEXT_近藤寿成
PHOTO_弘田 充/Mitsuru Hirota