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ポリゴンマジックが伝授!<br />図柄表現のつくりかた<br />短期連載第3回 「オーサリング(前篇)」

ポリゴンマジックが伝授!
図柄表現のつくりかた
短期連載第3回 「オーサリング(前篇)」

STEP02 概要書の確認と素材の読み込み

人為ミスを減らすために
テンプレートを活用する

素材データが完成したところで、いよいよツール上に読み込んで、実際の変動演出を作成していく。「案件によって扱う基板が異なる場合があり、一概に何のツールとは言いがたいのですが、一般的にはAfter Effectsが使用される傾向にありますね」(ディレクターA氏)。
はじめに行うのが図柄変動の設計図とも言うべき概要書の確認だ。演出使用や図柄変動に必要なタイムチャート(フレーム単位の図柄変動時間表)が明記された仕様書のことで、オーサリングデザイナーはこの表を見ながら、動きの構成を考えていく。「概要書は提供されることが多いのですが、ときには大ざっぱな概要書もあります。そのときは自分たちでイメージを膨らませながら作成し、後から確認してもらいます」(オーサリングデザイナーH氏)。
タイムチャートの確認が終わったら、いよいよAEで読み込み、コンポジットに進むのだが、ポリゴンマジックではここでもひと手間をかけている。それが共通テンプレートを用いたデータの読み込みだ。これまで見てきたように、遊技機のオーサリングでは大量の素材を組み合わせて使用する。そのためテンプレートに沿った読み込みを行うことで、人為的なミスを減らす工夫がこらされているのだ。
データを読み込んだら、コンポジットの設定。実機の液晶サイズに合わせて画面サイズを設定し、画面レイアウトを基に背景と図柄データを仮配置する。レイヤーは上から順番に手前に配置されていき、一番奥が背景画像となる。素材の縮小時と同じように、数字図柄が見切れないように注意が必要だ。


タイムチャートの確認
タイムチャートの例。ここでは通常変動における一連のながれが、420フレーム(13秒)で行われることが示されている。それぞれのラインは上から順番に左図柄・右図柄・中図柄を表しており、ここから「3枚の図柄が高速変動しており、180フレーム目から左・右・中央の順に変動速度が落ちて、ユラユラと揺れ、最終的に静止する」という指定が読み取れるだろう。この指示に即してオーサリングが行われるのだ

素材をAEに読み込む
AEを開き、素材を読み込む。Aはポリゴンマジックで設定されているAEでのオーサリングのテンプレート。そして、Bは素材を読み込んだ状態。当然ながら、このテンプレートは一度設定しておけば使い回しが利く。「実際の作業を通して、試行錯誤を繰り返しながら、このかたちに落ち着きました」(ディレクターA氏)という、いわば同社の「秘伝のたれ」なのだ

最も多様されるのが「03_footage」フォルダで、「image」、「movie」フォルダに素材となる制止画や動画を収納する。内部が乱雑にならないように「BG」、「zu_01」などと、そのオーサリングで用いられる素材ごとに、フォルダ分けして収納されていく。「02_nested」フォルダには、複数素材を組み合わせて一枚絵として使う素材のコンポジットデータを収納。「01_OUT」は出力先フォルダで、実機出力用のコンポジットデータが収納される。実作業で使用されるフォルダは主にこの3種類だ。これ以降は参照用フォルダとなる。「04_reference」フォルダは見本や下地となるデータを格納するために使用され、予告演出の制作時などで多用される。「05_preview」フォルダは実機に出力した際の見本を格納しておくフォルダとなる


全尺分のコンポジット作成
素材を読み込んだら、コンポジションの設定を行う。「ファイル」メニューから「新規コンポジション」を選択し、「コンポジション設定」で画像サイズの幅や高さ、開始フレームとデュレーション(動画の尺)などを指定していく。作例では実機の液晶サイズに合わせて1,024×768を指定し、ピクセルの縦横比は正方形、フレームレートは毎秒30フレーム、デュレーションは概要書に従って420フレームとした。なお、作例ではわかりやすさ優先で日本語のファイル名が付けられているが、実際は半角英数字での設定となる



レイアウトを基に画像や図柄を仮配置していく。作例では背景のPNGデータ、左図柄、右図柄、中図柄の4種類の画像ファイルが使用されている。この後、ツール下のタイムラインパネルで実際の演出を付けていくことになる。画像を見ると上から左図柄・右図柄・中図柄・背景の順で、手前から奥に向かって配置されていることがわかるだろう。また中図柄は70%の大きさに指定した。このコンポジションは次回以降、見本となるムービーを作成する時に使用される



まとめ これで下準備が完了、次回はいよいよ動きを付けていく

AEの設定が終われば、準備終了だ。次号では実際にタイムライン上で「高速変動」や「揺れ」などの動きを付けていくことになる。最後に遊技機におけるオーサリングの魅力について、改めて整理しておこう。デジタル式パチンコでは玉をはじいてチャッカーに入れ、図柄を回転させて揃えることが、遊技の基本的な流れとなる。そのため遊技者の興味は回転する図柄がどのような演出を経て停止するのか(そして図柄が揃うか、揃わないか)に集中している。この演出を作り出すのがオーサリングデザイナーだ。これまで作成されてきた様々な素材を集約し、命を吹き込むパートだといえるだろう。このように重要な役割を果たすオーサリングだが、どのような演出にしたいかは決まっているが、それをどのように表現するかまで決まっていないこともあるという。ここがゲーム開発のオーサリングと大きく異なる点だ。「ゲーム開発では演出内容の多くが決まっており、大きなアレンジは求められない傾向にあります。しかし、遊技機では案件にもよりますが、何もないところから演出を考えることがほとんどで、自由に発想を広げられます。生みの苦しみを感じたり、リテイクが頻出したりもしますが、完成させたときの達成感はひとしおですね」(オーサリングデザイナーH氏)。このように、遊技台制作において大きな役割を担っているオーサリング。
次回のオーサリング中編では、実践に即した作り方を紹介!
どのように図柄を動かすのか、データ構造はどうなっているのかを解説していくので期待してほしい。

TEXT_小野憲史

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ポリゴンマジック

1996年創業の老舗デベロッパー。コンシューマ機、ソーシャルゲーム、ゲームプラットフォーム、遊技機映像など、時流に応じたクリエイティブをつくり続けている。2012年6月には、グリーと共同出資によるソーシャルゲーム開発と運営を手がけるジープラを設立。

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