眼球とまぶた
瞳はキャラに命を吹き込む。初期段階で配置を!眼球とまぶたリアルな人間の眼球サイズは24mm程度と決まっています
この欧米系男女キャラは実はデフォルメで、女性キャラ30mm、男性キャラ28.5mmと眼球を大きくしています。目の動きは本人の思考が大きく反映されるため、人は顔を見るとき無意識に目を中心に見ます。眼球は顔の中で最も重要なパーツです。キャラに人間性を吹き込むために、モデリングの初期段階で瞳のある眼球モデルを配置してください
眼球の上下位置は特に重要で、まちがってもまぶたの中心に置いてはいけません。構造(位置)と目線(回転)は別物だと理解しないと正しく作ることは不可能です
まぶたは眼球を包み込む皮膚だと意識する
モデリングの初期段階で眼球配置が重要だと言ったもうひとつの理由が、まぶた部分のモデリングにあります。まぶたを作ってから眼球を配置する人は、まぶたを「穴」だと思っています。まぶたの中に眼球があるという思い込みを捨て、まぶたは眼球をホールドしているという本来の構造から見た視点に切り替えてください。でなければ、最初に作った思い込みによるフォルムがどんなに美しかったとしても眼球との整合性がとれず、結局フォルムをつじつま合わせで作るため、美しさも損なうことになります
<A>:まぶたは涙丘部分以外は眼球に密着しています。眼球からフォルムを作っていけば、構造的に説得力があるだけでなく美しく作ることができるのです
<B>:また、密着した皮膚部分は薄すぎてもいけません。まつ毛が生えるということも考慮に入れて皮膚の厚みを作っていきます。画像のまつ毛とまゆ毛はXGenで作成していますが、カーブだけで作成できるnHairと異なり、毛を生やすメッシュのUV展開が必ず必要となりますので、必然的にモデリングが終わってからの作業になります
<C>:目じりはフォルムの終わる位置が上まぶた(緑矢印)と下まぶた(黄矢印)では異なることを意識しましょう
<D>:しかしトポロジーを複雑化する必要はありません。一見難しそうな目じりのフォルムですが、エッジループ分割だけで作ることができます
<E>:目頭は涙丘というピンクの肉があり、まぶた形状そのもので眼球とのすき間を埋めようと考えてはいけません。涙丘を別ポリゴンで作っても、まぶたポリゴンを延長して作ってもかまいません。皮膚とは質感がまったく変わる点だけ注意してください。私はモデリングの段階では、テストレンダリング用にプロシージャテクスチャをよく使用します。涙丘ポリゴンは眼球に密着させ、眼球と馴染ませるために透明度にランプテクスチャを貼っています。このように、マスクによって形状を変えるモデルの場合は、テクスチャを貼った状態で形状を確認しながらモデリングする方法を採ります
便宜的にコーカソイド(白人)A とモンゴロイド(日本人)B のまぶた周りだけ作り変えて比べていますが、実際には人種のちがいはまぶたのようなパーツの差異だけで捉えるものではありません。
まぶたの形状は周りの骨格と眼球位置で作られるため、コーカソイド特有の眼窩上部の盛り上がりと深い目元のくぼみによって作られた二重まぶたC は、モンゴロイドの二重Dとは構造的に異なります。つまり二重まぶたと言ってもフォルムがまったくちがうのです。人種を考えないで作るとフォルムがブレてしまいます。二重まぶたに対する思い込みを解除しましょう