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物理ベースレンダリングの高速処理が開くビジュアライゼーションの未来 NVIDIA『Iray』説明会レポート

物理ベースレンダリングの高速処理が開くビジュアライゼーションの未来 NVIDIA『Iray』説明会レポート

<3> Irayの活用

■電動ドリル
ワイヤーモデル、簡単なシェーディングによる従来通りのモデリングでも、パーツの整合性や機能は検証可能ではある。しかし製品として重要な外観、見栄えがわからない。 データをレンダリング作業に送ってしばらく待ち、結果を見て変更を加え、またレンダリング、という具合にとても時間がかかるのがこれまでのやり方だ。
Irayにはマテリアルライブラリがあり、200以上のマテリアルが登録されている。色はもちろん、ゴムやプラスチック等素材も設定できるので実物と変わらない写真のようなモデルができる。色の変更も即座に反映される。

マテリアルを変更したりモデルを動かすと、表面がざらつく。リアルタイムで計算しているのがわかる

■建築
Irayは工業製品のみならず、建築の分野でも威力を発揮する。NVIDIA本社ビルも当然Irayでデザインされている。ライティング環境、温度、空気の流れ、音響工学的な面も、検証/確認できるのだ。
本社ビルはガラスが多い設計で、特別に日差しが集中し、空調では対応しきれないホットスポットがあった。そういう問題点の検証と修正が早期に可能になる。
ビルであれ、家であれ、人が心地よくいられる環境を作ることができるのだ。

■死の光線
光の反射を現実のままに計算できるということは、建物内部にとどまらず、外部環境への影響もシミュレーションできる。それは美しい外観を追求するのみならず、安全面でも重要になる。
ロンドンのあるビルは、全体に曲面を描き、屋上側が前にせり出たデザインだった。そのため前面のガラスが凹面鏡のようになっていた。
完成当初は問題がなかったが、夏になると、その巨大な鏡は太陽光を集め、前の道路に駐車していた自動車を燃やしてしまったのだ。
Irayを使えば、建物自体が外部に反射する光も計算できる。年のうち特定の日の日照も計算できる。 ビルのデザインの曲率を緩めるとか、ガラスを反射率の低いものに変更するとか、安全を考慮した変更を事前に施し、このような事故を防ぐことができるのだ。

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特集

NVIDIAが物理ベースレンダリングをリアルタイムで行うレンダリングソフト『Iray』に関する説明会を開催。バイス・プレジデント プロフェッショナルソリューションである、ボブ・ペティー氏が来日し、Irayのパフォーマンスを、実演を交えて解説。