<2>プラチナゲームズ流の開発体制
それでは『ベヨネッタ2』の開発に貢献した要素は何だったか。山口氏は大きく「ゲームデザイナーが介在せず、アーティストとプログラマーが直接アイデアを出し合いながらモーションをつけていく制作体制」、「制作したキャラクターアニメーションを実機上ですぐに再生し、テストプレイできる開発環境」を挙げた。
一般的なアクションゲームでは、敵キャラクター(ここでは仮に中ボスクラスとする)のコンセプトが決定すると、ゲームデザイナーが中心となって具体的なアクションや攻撃方法などを考案し、仕様書を作成する。アーティストはこの仕様書を基にキャラクターモデルやモーションを作成する。プログラマーはそのデータをゲームプログラムに組み込み、実行可能なかたちにする。最後にゲームデザイナーがテストプレイをして、意図通りの内容になっているか確認する。このくり返しで制作が進んでいく。
ところが山口氏は、プラチナゲームズでは(特に中ボスクラスでは)ゲームデザイナーが介在せず、アニメーターとプログラマーがペアを組み、直接アニメーションをつけていくやり方が一般的だと述べた。自分たちが決めたという当事者意識をもつことができ、データやプログラムを直接触れるので感覚的なレベルでゲームのおもしろさを追求でき、何より実装速度を速くすることができるからだ。つまりアニメーターがゲームデザイナーとしての意識をもつことが重要だというわけだ。
ゲームデザイナーを廃した制作ワークフロー。実際に同社ではゲームデザイナーの数が最小限に抑えられている