>   >  アクションゲームの鍵を握るアニメーションの極意とは? プラチナゲームズ流の制作手法~「CEDEC2017」レポート(1)~
アクションゲームの鍵を握るアニメーションの極意とは? プラチナゲームズ流の制作手法<br />~「CEDEC2017」レポート(1)~

アクションゲームの鍵を握るアニメーションの極意とは? プラチナゲームズ流の制作手法
~「CEDEC2017」レポート(1)~

<3>ゲームデザイナーを省いた制作工程

続いて山口氏は巨大な蟹状のモンスター「ファンタズマラネア」を例に、実際のアニメーション制作過程について解説した。

ファンタズマラネア登場シーン

はじめにディレクターに提示されたコンセプトは下記の4点だったという。

・中ボス
・プレイヤーキャラクターと基本的には1対1で戦う
・重量級である
・遠距離攻撃が得意である

通常はこの後、コンセプトアーティストが2Dのイラストでキャラクターデザインを行う。しかしファンタズマラネアの場合は、前作『ベヨネッタ』の非戦闘シーンで登場しているため、コンセプトアートもそちらを流用。それを基にキャラクターモデラーが3DCGの仮モデルを制作。仮モデルを基にアニメーターがプログラマーと相談しながら、必要なアクションや攻撃方法を考え、仮アニメーションを制作していく。また、その過程で必然的に発生する仮モデルやコンセプトアートの問題点を抽出し、本モデル制作に向けてフィードバックを行なっていく。



ファンタズマラネアのコンセプトアートと仮モデル

アニメーションは大きく「移動」、「近距離攻撃」、「遠距離攻撃」、「ダメージ」の4種類に分けられる。山口氏は待機モーションから始まって、歩き・ジャンプ・ステップ・突き刺し・火球吐き・ジャンプ攻撃・ガードなど、新しい仮アニメーションが次々に制作されていった様子を示した。その上で仮アニメーションは「ゲームを素早く組むことに特化したもの」であり、「早さ」、「ノイズにならない」、「ゲームとして機能する」という3点が重要だと語った。


各々のアニメーションはゲームデザインと密接に関係している

「早さ」は読んで字のとおりで、1つの動きをつくる上で、早ければ数十分。遅くとも毎日1つは新しいアニメーションを考案し、つくり上げていくという。「ノイズにならない」とはキャラクターのイメージに合わない動きはつくらないということ。そして「ゲームとして機能する」とは、それぞれの動きが「待機(=土台)」「攻撃(=緊張)」「ダメージ(=解放)」のどこに相当するか、考慮しながらつくることが重要という意味になる。


仮アニメーションと完成アニメーションでは求められる要素が異なる

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<4>アクションゲームのアニメーションに求められる機能

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