>   >  『コードギアス 復活のルルーシュ』作画とCGが混ざり合う、妥協なきナイトメアフレーム表現 No.3 月虹影 編
『コードギアス 復活のルルーシュ』作画とCGが混ざり合う、妥協なきナイトメアフレーム表現 No.3 月虹影 編

『コードギアス 復活のルルーシュ』作画とCGが混ざり合う、妥協なきナイトメアフレーム表現 No.3 月虹影 編

カット1079の制作/コックピットを後方から映すカット

▲カット1079のラフ原画。ルルーシュの視点で描かれるカットで、月光影のC.C.のコックピット前方にあるモニターを映す画から始まり、カメラがズームアウトしてC.C.の後頭部とシートの背面を映す。カメラのズームアウトが終わった後、C.C.がふり返る


▲カット1079のCG初期テイクの画像


▲同じく、カット1079のCG初期テイクの映像。モニター映像が貼り込まれ、作画のC.C.のラフ原画が追加されている


▲先のCG初期テイクに対する修正指示


▲カット1079のCG途中テイクの画像。初期テイクよりも広角気味の画になっている


▲カット1079のCG完成テイクの画像。コックピットに影とハイライトが加わり、モニターが貼り込まれ、作画のC.C.も追加されている


▲同じく、カット1079のCG完成テイクの映像。観客の視線を、モニターからC.C.へとスムーズに誘導するカットに仕上がっている

モブ、メカ、Cの世界など、KMF以外のCGの用途

最後に、本記事の本筋からは外れるが、本作におけるKMF以外でのCGの用途も紹介しよう。ここまでに紹介したKMF表現に関しては、総作画監督の中田氏と中谷氏、作画監督の重田 智氏ら、本作のメカ作画を支えた作画監督たちのこだわりが際立っていたようだ。一方で谷口監督は、作品全体のながれを抑えてくれれば、その中での表現は作画監督に任せるというスタンスだったという。「KMFのアクションよりも、モブ(群衆)の演技や、場面転換のときのメカの動きなどに対する説明の方が具体的だったように思います」(熊野氏)。詳しくは後述するが、特に本作のモブ表現ではCGの利点を活かした細やかな演出がなされており、監督や演出陣からの評価が高かったそうだ。

以降では、モブ、メカ、Cの世界の表現における、CGの活用について紹介する。

カット0032の制作/モブのカット

▲カット0032のラフ原画。画面左奥での爆発を受け、難民キャンプのモブが画面手前へと逃げるカット。本カットではモブが3DCGで表現されたため、モブの逃げる芝居の参考用の原画が描かれた


▲先の原画に対する修正指示。追加するモブの配置具合に加え、「3D様/各モブ/走って逃げる(転ぶ人間も居ても良い)逃げ方は元のラフ原を参考に芝居づけして下さいませ」という指示も書かれている


▲カット0032のCG初期テイクの映像。画面右側には、比較用にラインテスト(先のラフ原画を基に制作)が置かれている。4〜5パターンの逃げる動きを組み合わせて使っているが、タイミングや走る方向を変えることで変化をつけてある。画面左側のモブ1名、および中央のモブ1名が、ちゃんと転んでいるのが面白い。画面右側には、小さな子供を抱え上げてから逃げようとするモブもおり、細やかな演出が施されている



▲カット0032のCG完成テイクの画像と映像。画面奥にもモブが追加され、爆発が起こる前から何人かのモブが逃げ始める演技も足されている

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