>   >  モバイルで最大100人同時プレイ可能な本気のオンラインRPG『禍つヴァールハイト』
モバイルで最大100人同時プレイ可能な本気のオンラインRPG『禍つヴァールハイト』

モバイルで最大100人同時プレイ可能な本気のオンラインRPG『禍つヴァールハイト』

Topic 2 "リッチな映像体験"を生む動きとストーリー演出

キャラクターアニメーションとカットシーン演出

「超人的でありながらも人としての動きからは逸脱しない。まずはリアル寄りに、尺もゆっくりめに動きを付け、そこからモンスターと対面してのバランスや動きの爽快感、気持ち良さを意識しつつ詰めていく。そうしていく中で、徐々に世界観の中でのキャラクターの動きが決まってきました」。そう語るのはモーションを担当した神田 淳氏。動きは基本的に全て手付けによるものだ。人体は基本的に共通のボーン構造をもち、そこに合わせるかたちで全てのモデルパーツが作成されている。本作では職業に関わらずどんな装備でも身につけることができるという自由度をもっている。見た目が魔法使いのようなローブを着ていても、戦士のようなアクションができなければならないため、「モデル、モーション共にかなりタイトに仕様内に収める必要がありました」とリグ・モーション担当の下野氏。セットアップはMayaのHumanIK+追加リグで、武器については納刀・抜刀時の位置など、種類によって大きく性格が異なるため個別のリグになっている。また、揺れものに関しては、リアルタイム演算ではなくベイク。様々な手法を試す中、手付けによるコントロールとの親和性の高いBroDynamicsによる"手付けアニメーションの延長線上で使える物理演算"のアプローチが採られた。

カットシーンに登場するNPCについては、装備のカスタムを考慮する必要はないため、衣装や演出対応に応じた独自のボーン構造をもつ。特に大きなちがいは、NPCにはフェイシャルリグが用意されていること。カットシーンでの会話劇はジョイント制御によるフェイシャルアニメーションで行われている。「実はカットシーンによるシナリオ進行は途中から入ったもので、当初、イベントはキャラクターの立ち絵+ウインドウの会話で進んでいたんですよ」と、エフェクト・演出担当の三宅喬志氏。ストーリー演出のグレードアップという観点から、よりビジュアル的な盛り上がり、つまり"リッチな体験"が必要と判断し、アセットが量産体制に入ったタイミングでの、カットシーンの導入が決まったという。その後、総尺20~30分を超える物量がつくられ、リリース後もストーリー展開に合わせて追加されていく。「JRPGとして本格的なストーリーを描いていく」と語るアートディレクター大塚氏の言葉通り、そこにKLabGamesの意気込みが感じられる。

レギュレーションモデルをベースとしたセットアップとモーション制作

人体モデルの共通骨の仕様は決まっており、全職業共通して、ボーンは67本(+スキンに影響しないノードが4本)。リグも揺れもの位置を含めて共通のため1種類のみで、武器のみ職業ごとに6種類のリグをもっている

わかりやすく揺れものも含むカスタム状態のアバター。マントなどの有無に関わらずこの骨格を全ての状態でもっているということになる

実際のキャラクター。アニメーションワークフローは、企画から降りてくるプランや字コンテをベースにMayaで手付け、揺れものなどのセカンダリモーションでBroDynamicsを活用しつつ、Unityと連動する内製のモーションビューアで実装確認、調整をくり返すといったながれで行われた。一階層ずつしかシミュレーションできないBroDynamicsだが、そこが逆にシンプルでコントロールしやすく、本作のフローとしては馴染んでいたという

武器持ち替えを実現する特殊リグ

武器専用のリグは、アトリビュートの値を変更することによって武器位置の変更や表示状態を切り替えることができる。モーション過程ではシームレスに続く武器持ち替えモーションの制作を可能にし、ゲーム実装時にはアトリビュートの値をイベントキーとして使用することでMaya上の見た目と一致させている



  • 納刀状態の武器位置



  • 抜刀し右手に持った状態



  • 左手に持った状態



  • キャラクターへのモーション適用に合わせ、タイミングよく【画像右上】から【画像左下】へとウェポンスイッチを切り替えることで、武器自体の動きに対して調整を行うことなく、追従するアクションが行える

カットシーン制作のワークフロー

カットシーンのNPCモデルにのみ組み込まれたフェイシャルリグ。テンプレートを用意しての制御ではなく、表情集だけつくっておき、NPCのキャラクターや演出によって、それぞれにケースバイケースで、カットシーンごとにオーダーメイドの表情付けが行われている。カットシーンのワークフローは、シナリオ、絵コンテを用意した後にMayaでキャラクターと舞台を用意し、モーション作成を行うというながれだ



  • その後、UnityのTimelineEditorで実装



  • 背景とキャラクターのライティング



  • エフェクトの実装



  • ポストエフェクトの追加

陰影のディテール調整をして完成。当初はプレハブをひとつひとつ読み込んで制御で苦労したとのことだが、開発途中でアップデートされたUnityのTimelineEditorへと移行したことで、開発効率は大きく向上した

次ページ:
Topic 3 画面を大きく彩る背景&エフェクト

特集