MAKING 撮影&モデリング
01 対象別のデータ取得方法
今回は図面に情報のないダクト部分などを完全再現するため、クモノスコーポレーションの協力の下でオフィス全体を点群撮影し、このデータを下敷きにして全てのオブジェクトのモデリングを行なった
椅子などの家具はフォトグラメトリーを活用しており、一部のオブジェクトは細部の調整の後、データをそのまま使用しているケースもある
また、素材やライティングのリファレンス用に一眼レフによるRawデータ撮影も行われた。ほかにも、図面にない情報は必要に応じて、メジャーによる実地測定も行われている
02 オフィス全体のベース構築
オフィス全体のベース構築は、実際の図面と撮影した点群データをリファレンスとして作成されている。具体的には、図面に則ってシンプルにモデルを起ち上げ【左】、点群からメッシュ化したモデルを同じ位置に配置し、これに合わせて細かな調整を行うといった作業工程となる【右】
これによって寸法の整合性が図れるほか、ディテールを現実空間に合わせていくことが可能となっている。最終的な仕上がりだ
03 点群データを活用して制作したダクト
オフィスの天井にある無数のダクトは、強いこだわりをもって制作された部分のひとつ。点群データ【上左】と撮影した写真を下敷きとして、Mayaによるモデルのつくり込みが行われた【上右、下】
レンダリング結果を見てもわかるように、スプリンクラー管や吊りボルト、照明レール、吹付け部分なども正確に再現されており、直線的なラインはライティングを行なった際に綺麗に表示できるかなども細かく確認されている
04 全エッジへのベベル処理
椅子や木製の棚、一見すると真四角に見える柱など、現実世界の家具には角が直角のものはほとんどなく、ほぼ全てのエッジにベベル処理が行われていることがわかる。モデリングの際、オブジェクトの角を直角のまま残して しまうとCGくささが出てしまうため、柱やテーブルなどのエッジのR幅は自分の指と比較しながら撮影・記録を行い【上】、細部まできちんと再現されている【下】
なおベベル処理した部分は、シェーディング時の陰影や反射の出方に不具合が起きないように、頂点法線を面に対して垂直に再設定する必要がある
05 フォトグラメトリーを活用した家具
家具類はメーカーサイトにCADデータがある場合もあるが、ないものについてはモデリングリファレンスとするためにフォトグラメトリーによって3Dモデル化されている。図面から起こすことも可能だが、3Dモデルを下敷きにした方が作業は早く、ミスも起こりにくい。フォトグラメトリーには写真計測用ソフトウェアの3DF Zephyr Liteが用いられている