街を構築する
レイアウトは画づくりに大きな影響を与えます。特に街は配置物が多く、同じアセットを使用していても配置次第で出来上がる画に大きな差が生まれます。
01 直線を打ち消すように配置する
家を並べて配置する場合、屋根の形状が同じものを並べるとラインが直線になり面白みに欠けます。異なる形状の屋根を並べたり、同じ形状の屋根を並べる場合でも少しずらして配置するようにしています
軒下の直線を打ち消すために雨どいを配置し、ラインに変化を出しています
家が続くと画が単調になるため、それを切るように木を配置しています
02 奥行きとリズム感を意識する
脇道は奥まで見えないようにカーブをつけてあります。これにより逆に奥行きを想起させ街の広がりを意識させることができます
貴重な縦ラインである街灯をリズム感と奥行感が出るよう意識して配置しました
一番奥に建つ、そして最も目が行く五重塔をしっかりつくり込むことにより、画の密度感を保てるように意識しました
03 決めカットのレイアウト
UE4で三分割法のグリッドを出し、カメラ位置を決めます
決めカットのカメラ位置をブックマークし、そこから見える景色に対してつくり込みを行います
ライティングとポストプロセス
ライティングは画づくりの要です。京都アセットはリアルタイムレンダリングでの使用を想定しているため、カメラがどこにあっても美しく見えるよう注意を払う必要がありました。
01 ライティングのリファレンスを用意する
リファレンスを探しながら、見る人にどのような印象をもってほしいのかを想定します。また良いリファレンスを見つけたとき、自分がどんな印象を受けたのかも記憶しておくと良いでしょう。リファレンスでは、①日向の色、②日陰の色、③空の色、④全体の色味、⑤コントラストを注視して、それに近づけるようにライティングします。そのリファレンスから受けた印象を作品からも同じように感じることができるかどうかも重要です
近景・中景・遠景の色味とフォグのかかり具合も、リファレンスを参考に調整します
リファレンスを参考にライティングしたい時間や影の方向を決めます。参考として、UE4のSun Position Calculatorで緯度経度日時の太陽方向をシミュレートすることも可能です。ライトの向きや色は全体のイメージに非常に大きな影響を与えるので、納得がいくまで調整します
02 露出を調節する
日向が発光せず、日陰は適度な明るさを保つようにします。これはゲーム内で使用されることを想定して、プレイヤーにストレスを与えないようにするためです。UE4のライティングでは影部分が黒くつぶれやすい傾向があるため、PostprocessのExposure とIndirect Lighting やDirectional Light のIndirect Lighting Intensity、Sky LightのIntensityやColorを調整します。数値を上げすぎると日向部分が発光するため注意が必要です
日向の状態と影の中に入った状態それぞれで適正な露出になるように調整します。環境光が足りない場合は、[World Settings→Lightmass Settings→Environment Color]と[Environment Intensity]で環境光を足します
[World Settings→Lightmass Settings→Diffuse Boost]を上げるのも有効です
03 Color Lookup Tableで最終ルックの調整
Before
After
Color Lookup Tableは最後の工程で行います。これにより最終的な見た目を調整することが可能です。リファレンスを参考にしながら、PhotoshopのフィルターにあるCamera RAWフィルターやカラールックアップなどで調整後、UE4に適用します
自主制作のすすめ
物量の多い京都アセットでしたが、フォトグラメトリーを使用するなど効率化を図ることにより作業時間を圧縮し、画のクオリティを上げる時間に割り振ることができました。また分類・整理することで、現実的に制作可能な物量に落とし込めました。実感したのは、アセット制作とは別に、画づくりにはやはり時間がかかるということです。最終ルックに至るまで試行錯誤する回数も多く、総合的な力が試されました。自主制作はプライベートの時間を削って行うものではありますが、学べることや得るものは多いので、できる範囲で時間と環境を確保して自主制作することをオススメします。