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つくる楽しさ百花繚乱! ECHOESが手がける 新作オリジナル短編アニメーション

つくる楽しさ百花繚乱! ECHOESが手がける 新作オリジナル短編アニメーション

<2>独特な雰囲気をつくり上げるアーティスティックな手法

「その時」のアイデアを重視して独自の世界を築き上げる

児玉氏がデザインした登場人物は、主人公と変身後のモンスター、そして彼らを興味深く見守る妖精たち。数こそ少ないが、どれもとても魅力的で印象に残るキャラクターたちである。流行りの美少女が出るわけでも、派手なバトルがあるわけでもない。独特の世界観で観る人を惹きつける作風である。さて、前述したとおり、児玉氏は自由に新しいアイデアを加えてかたちを変えられることこそ、オリジナル作品制作の醍醐味だと語っている。実際、Vコンテ後にストーリーがどんどん変わるなど、通常の商用作品の制作ではありえない(あってほしくない)フローである。主人公がモンスターに変身するという設定も、後から加えられたアイデアだそうだ。「モンスターに変身したらおもしろくない?」というノリで始まり、「日本人なら、モンスターの見た目も鬼みたいな感じかな?」と、とにかく設定がクルクルと動く。しかし、ここまでダイナミックに設定を変えられるのは、オリジナル作品だからこそだ。

モデリングの特徴は、テクスチャを使わずシェーディングだけで表現している点だ。モ ンスターの角の影に出るハッチング表現や、筋肉に現れる影、シワのラインなどは、見た目に気持ちのいい線を出すためにメッシュのオブジェクトを差し込むなど、細部まで丁寧につくられている。モンスターのモデリングを担当したタカアキ氏は、「地道で大変な作業でしたが、モンスターの角のハッチングが出来上がったときが、僕のこの作品のピークでした」と語ってくれたほどの出来映えだ。後半でふわりと現れる妖精たちは、不思議な愛らしさが魅力的なキャラクターで本作の印象を強めている存在だが、制作当初は登場の予定がなかったという(こんなことばっかり笑)。後半、モンスターが楽器を弾いているだけでは寂しかったため、「賑やかし」として入れてみたとのことだ。一見かわいい妖精たちだが、通常の仕事だったら許されないであろう「目が死んでいる(児玉氏談)」異様な存在感を放つデザインがされており、うさぎのキャラにおいてはなぜかレオタード姿で、耳飾りのリボンは絞りすぎて耳の先端がうっ血していたりする。古い神殿で恐ろしい姿のモンスターが体に似合わない繊細な指運びで音楽を奏で、目が死んだキモかわいい妖精たちが周りで踊るという不思議な世界。これらは初めから意図したものではなく、手を動かして制作しながら変更したり追加をしたりしてつくり上げていったものだ。その時その時の感覚を尊重して独自の世界を築いていく。そんなアーティスティックな手法が、本作に漂う独特な雰囲気をつくり上げているのだろう。


絵コンテ

▲絵コンテの遷移。企画当初は、西洋コンプレックスを強くもつ日本人を風刺したストーリーだったという。【A】企画が開始した当初の絵コンテ。当初のコンセプトは「白人至上主義に対するアンチテーゼ」だったそうだ/【B】最終的にFIXした絵コンテ/ 【C】完成画


背景/建物の設定画

▲背景/建物の設定画。不思議な世界の入り口でもある建物の外観。建物の外は深い霧で何も見えない


▲建物の内部


▲建物の入り口からゲートへと向かう道


キャラクター設定画

▲キャラクター設定画。モンスターが楽器を弾いているだけでは寂しかったため、児玉氏が好きな『ムーミン』の世界を参考に「賑やかし」として入れてみたという妖精が不思議で素敵だ。(目が死んだ)妖精P(上)とR(下)


▲楽器も重要。これは尺八


▲変身前の主人公


▲モンスターに変身した主人公


キャラクター設定画

▲モンスターの3Dモデル



▲角のハッチング表現。薄い紫色のワイヤーが顔(ツノ)周りの交差用ポリゴン。ラインはポリゴン交差とハードエッジを混在させている


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<3>こだわりはあるが複雑なことはしない。シンプルかつ繊細な「ひと手間」

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