<2>XGenとHair Groomによる髪
これまでリアルタイムによる毛髪表現の表現はカードベースが主体で品質に欠けるものだったが、Hair Groomを使うことで髪の毛1本1本を表現できるようになりリアルタイムで高品質に毛髪のルック調整が可能になった。
XGenによる髪の毛の作成
髪の毛はMayaのXGenを使って生成し、スタイリングされている。髪型を作成するために多くの髪型のリファレンスを集めて、それらを参考にしながら髪型をつくっていったという。「UE4でリアルな髪型に見せるには、やはりMaya上でもリアルに見える状態になっていないとだめで、髪の毛のボリューム感などに気をつけながら髪型の調整を行なっています」と中井氏。制作のなかでこのHair関連の調整が一番時間がかかる作業だという
眉毛やまつげもXGenを用いて作成されており、1本1本時間をかけて植えられている
Alembic形式でのエクスポート
UE4に搭載されているAlembic Groomを使うことで、ストランドベースの髪をインポートすることができ、XGenで作成した髪の毛もそのままUE4へ読み込むことができるようになった。XGenで生成した髪の毛を、XGenのConvert to Interactive GroomでInteractive Groomに変換、それをExport Cashを使ってAlembic形式で出力してUE4へもっていくことになる
UE4へのインポート
MayaからAlembicとして出力したXGenのデータは、Alembic Importerを使ってUE4へ読み込まれる。AlembicをUE4に読み込む際には、UE4でAlembic GroomとAlembic ImpoterのプラグインをONにしておく必要がある。UE4にAlembicを読み込んだ後に、髪の毛の毛先の太さ(Hair Width)、根本の毛の太さ(Hair RootScale)など、髪の毛をUE4でレンダリングするための設定をGroomの設定で行なっていく
ヘアシェーダの設定
中井氏はNick Rutlinh氏のチュートリアル(gumroad.com/thekesslereffect?recommended_by=library)を参考にヘアシェーダを設定。Arnoldのヘアシェーダのように使えるので重宝したとのこと。UE4ではシェーダだけではなく、ユーザーによるチュートリアルが充実しているため、それらのチュートリアルが自身の作品を制作するときの参考としてとても役に立っているという。図は、Irohaに使用しているヘアシェーダの設定値だ
産毛の設定
Irohaのモデルでは、顔の表面に生えている産毛もリアルに再現されている。この産毛がきちんと生成されているかどうかで、肌のリアル感に差が出てくる。Irohaでは、産毛もMayaのXGenを使って生成されており、髪の毛同様にAlembicで出力してUE4に読み込まれている。UE4では、産毛の繊細な細さを表現するために、Groomの設定では、根本の太さ(Root Scale)と先端の太さ(Tip Scale)をかなり小さく設定しているという。ここではHair Root Scaleを0.1、Hair Tip Scaleを0.001に設定している
眉毛、まつげ制作時のポイント
眉毛やまつげもAlembicでMayaから出力し、UE4に読み込まれている。眉毛やまつげに関しては、1本1本の間隔を上手く調整して肌が見える隙間を調整したり、透明度を与えてやることで肌との馴染みをよくしている。1本ずつ手作業で植えていくため、とても時間がかかる作業なのだという。まつげのカールや束感、眉毛の密度など、アップで見ても非常にリアルな表現になっており、中井氏の観察力の高さと造形の緻密さを感じられる作品だ