<3>濡れ感を意識した眼球
バーチャルヒューマンにとって目の表現は非常に重要だ。特に眼球が潤んだ様子は、リアルな人物表現にはなくてはならないポイント。中井氏によるノーマルマップを使った、眼球の潤い表現の手法を紹介する。
ノーマルマップによる潤い表現
「リアルな人物表現をする際に、一番ポイントとなるのが白目が濡れている感じ」だと中井氏。中井氏は、ZBrushを使って作成したノーマルマップを上手く利用して、この白目の潤い感を表現している。この潤い感を表現するには、単にノーマルマップを使ってスペキュラを調整するだけではなく、スペキュラが綺麗に生成されるようにUE4でのライトの配置を工夫してライティングを行なっているという
▲ノーマルマップOFF
▲ノーマルマップON
EYEシェーダの構造
眼球のシェーダはSungwoo氏が作成したシェーダ(gumroad.com/I/xMtECv)を使用している。角膜の屈折が少しリアルではないものの、非常に使いやすいシェーダなので重宝しているという
▲EYEシェーダの設定値
▲毛細血管を細かく描き込んだディフューズと、潤い制御用のノーマルマップ
<4>Live Link Faceによる表情付け
バーチャルヒューマンを自宅で低コストに動かせる時代。iPhoneのような簡易デバイスでリアルタイムキャプチャを可能にするLive Link Faceを使ったフェイシャルアニメーションを紹介しよう。
ブレンドシェイプの作成
中井氏は、制作されたIrohaのフェイシャルアニメーションを制作することにもチャレンジしている。今回フェイシャルアニメーションを作成するために、iOSで動作するLive Link Face for Unreal Engineが使われている
▲キャプチャ用の52のブレンドシェイプを作成するために、BlenderのアドオンであるFaceItを使用
▲さらに作成されたブレンドシェイプをMayaに読み込んで形状の微調整を行なった
リアルタイムフェイシャルキャプチャ
Mayaで微調整されたブレンドシェイプのデータはFBXでUE4に読み込み、Live Link Faceを使ってリアルタイムキャプチャを行う。Live Link FaceはiPhoneの前面カメラで撮影されている人物の表情をリアルタイムでキャプチャし、そのキャプチャデータを基に、UE4に読み込まれているブレンドシェイプを使ってフェイシャルアニメーションを生成する。現段階ではリアルタイムでフェイシャルアニメーションを生成するには、ポリゴン数を制限するなど表現力を犠牲にしなければいけないところが多々あるが、今後登場するUE5ではそのあたりの制限がなくなることが期待でき、バーチャルヒューマンも次の次元にいけるのではと中井氏