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トヨタシステムズによるLEXUSビジュアライゼーション

トヨタシステムズによるLEXUSビジュアライゼーション

VREDとAfter Effectsによる外装の画づくり

以降では、LEXUSの外装・内装・メカの静止画制作の詳細を紹介する。いずれも設計データが起点となるが、使用ツールや求められる要件は異なる。それでもトヨタシステムズと協力会社のアートディレクターが全ての画をしっかりチェックすることで、LEXUSブランドに求められる高い品質を実現している。

外装の場合は、Direct Connectを介してパーツ単位のデータをMayaにインポートした後、完成車両を組み上げる。車両データはMBファイルで保存され、レンダリングにはVREDを用いる。外装の画像サイズは12,000×6,000pixelと大きく、色や仕様の異なる画を数多く制作するため、高速なレンダリングが可能なVREDを採用したという。前述のライティングと同様、マテリアルも充実したライブラリが用意されており、例えばひとくちに「シルバー」と言っても、スペキュラやラフネスの異なるものが何パターンも格納されている。さらに新型を手がける度に、新たなマテリアルが少しずつ追加されているとのことだ。

▲パーツの設計データはMBファイルに変換され、車種ごとにひとつのフォルダで管理。パーツリストを参照し、自動的にデータを収集したり、完成車両を組み上げたりする社内ツールも開発されている


▲新型を手がける度に追加されるVREDのマテリアルライブラリ


▲VREDの作業画面。高品質のプレビューをリアルタイムに表示できるため、ルックの調整を容易に行える。外装の画づくりは2人1組で行われ、1人がデータ準備、もう1人がデータ編集を担当する。仕様の切り替えはVariant Setsで行う


▲Sequencerを用いて、マテリアル単位に分けられた大量の素材を効率的にレンダリングしている


▲素材の管理はRender Layerで行なっている


レンダリングはマテリアル単位で行われ、After Effects(以下、AE)上でコンポジットしていく。同じ車種の素材はひとつのAEデータで一括管理しており、タイムライン上に色や仕様の異なる素材を順番に並べることでコンポジットの効率化を図っている。ようは、再生フレームを変更するだけで、同じ車種の、色や仕様の異なる画が表示できるようになっているわけだ。

▲AEの作業画面。マテリアル単位でマスクを設定し、ライティングや質感を調整する。タイムライン上に色や仕様の異なる素材が並んでおり、ルックをまとめて調整できるようになっている


▲「フロント」の完成画像のひとつを表示した状態。再生フレームを変更すると、色や仕様の異なる別の画を表示できる

柔らかい素材も表現する内装の画づくり

内装はマテリアルの種類が多く、レザー、ファブリック、鈍い反射の金属などの表現も求められるため、VREDよりV-Rayの方が適している。また、V-Rayは長らく3ds Maxと併用しており、社内にノウハウが蓄積されているため、3ds MaxとV-Rayの組み合わせを選択している。内装を組み上げる際には、ひとつのシーンデータ内に仕様ちがいを含む全パーツをインポートし、表示・非表示を切り替えながらマテリアル単位でレンダリングしていく。画像サイズは6,000×3,000pixelで、コンポジットにはAEを用いている。

内装の場合はシートやシフトブーツなどの柔らかい素材もあるが、設計データをそのまま表示しても柔らかさを表現できないため、改めてモデリングが行われる。テクスチャは基本的にTri-Planarで3Dマッピングしており、つくり込む必要のある部分はUV展開してPhotoshopで作成している。

▲3ds Maxの作業画面。青色で示されている青色のシフトブーツは素材の柔らかさを表現する必要があるため、四角ポリゴンで改めてモデリングされており、UV展開も施されている


▲上を見ると、茶色のシートとステッチ部分のメッシュも四角ポリゴンになっており、モデリングされていることがわかる


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