
映画やCMで俳優の若返りや老化をVFXで実現するデジックのフェイシャルVFX。同社では、案件数の増加に伴いVFXアーティストを募集中だ。同社の経営方針や、フェイシャルVFXサービス・募集中の職種に関して、代表の小橋伸一郎氏とフェイシャルVFXチームに所属する江本氏に話を聞いた。
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細部に宿るリアリティを追求するのが、フェイシャルVFXの面白さ
CGWORLD編集部(以下、CGW):本日はよろしくお願いいたします。まず初めに、デジックという会社のご紹介をお願いいたします。
小橋伸一郎氏(以下、小橋):デジックで代表を務めさせて頂いている小橋と申します。デジックは、顔・肌や体に特化したVFXの映像制作を手掛けるCG・VFXスタジオで、国内に留まらず海外にもサービスを提供しています。顔や肌、体に特化したVFXの映像制作をやっている会社は国内にまだ多くありませんが、技術力を高めることにより、いずれは漫画やアニメに代表されるコンテンツ市場のように、日本の技術を海外に展開できるサービスのひとつであると認識しています。

小橋伸一郎 / Shinichiro Kobashi
(デジック 代表取締役 / President & CEO Shinichiro Kobashi)
CGW:デジックで手掛けられている「若返り・老化のVFX」とはどういうものですか。
小橋:フェイシャルVFXというサービスで、具体的に言うと、老化・若返り、髭消し・髭追加といった顔周りに特化した映像制作になります。俳優の若返り・老化のVFXは25年ほど前から行われていますが、2006年の『X-MEN:ファイナル ディシジョン』と2008年の『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』により、映像業界で広く知られるようになったと思います。

他のVFXとの違いに注目すると、人間の顔、肌や体は非常に複雑であり、細部に宿るリアリティを追求するのが、フェイシャルVFXの面白さだと思います。肌の質感、たるみ、シワ、シミの具合など、ほんのわずかな違いがリアリティを大きく左右します。微妙なニュアンスをどう表現するかは、最終的にはアーティストの観察眼、センスや経験にかかっています。
数多くの資料を参照し、自身の観察眼を磨き、自然で説得力のある変化を探り続ける作業は容易ではありません。しかし、だからこそ完成した映像を目にした瞬間の喜びは格別です。俳優の演技とVFXが融合し、スクリーンの中で俳優の人生が時間軸を超えて展開する。その映像こそが、私たちが積み重ねた試行錯誤の証であり、やりがいと誇りを深く実感できる瞬間です。
現在、この若返りや老化の案件を実施できる会社は少なく、お客様に安定した作品を提供することが私たちの責務であると考えております。そのため、私たちは技術力を常に向上させ、厳格な品質管理を行い、これまでの経験に基づく効率的なワークフローを構築しています。
まず技術の面ですが、フェイシャルVFXでは「皮膚の動きに特化した解析ツール」と「3DCG」が制作上で重要な要素を担っており、チーム内で日々改善していっています。品質管理の面では、お客様へ要望以上の作品を提供するために、VFXスーパーバイザーの兼子がこれまでの経験に基づき、細かなチェックをしております。そして、より多くの案件でお客様に最高のサービスを提供するために常に制作過程も見直しております。
手がけた案件の一部を紹介(リストはこちらから)
・SMBC日興証券「イチロー未来会議」
・三菱地所「空飛ぶクルマ」
CGW:フェイシャルVFXを手掛けているチームについて教えてください。
小橋:デジックのフェイシャルVFXチームは、顔・肌や体に特化したVFXの映像制作を行なっており、デジックが提供するサービスの中核を担うチームです。常に最新の技術や表現方法を追求し、映像の可能性を広げるための研究開発に情熱を注いでいて、少数精鋭でお互い助け合いながらも、厳しく指導しあうチームであり、探究心を持ち新たな技術に取り組んでいます。
人の肌は繊細で複雑。だからこそ技術を探求するチーム
CGW:ではここからは、実際にフェイシャルVFXチームで活躍されている 江本さんにもあわせてお話を伺っていきます。
江本:よろしくお願いいたします。デジックの江本です。前職ではポストプロダクションでエディターをやっていたのですが、以前から人物に関連するVFXをやりたいと思っていました。それで2023年にデジックに入社し、今年で2年になります。
CGW:普段はどのようなお仕事をされていますか。
江本:フェイシャルVFXアーティストとして、老化・若返り案件を中心に作品を制作しており、手が空いた時には、技術の幅を広げるための研究や最新の映像技術の研究をしています。人の肌などは複雑で難しい技術でありますが、面白い分野であると思っております。
小橋:実は私がデジックを率いてからまだ日も浅いのですが、私はこのチームは「研究所」のようだと感じています。顔、肌や体の研究に始まり、AIや最新のVFX・CG技術動向の研究にも余念がありません。ですが、それも「最高のサービスをお客様に提供したい」という弊社のVFXスーパーバイザーである兼子の考えに基づいていて、チーム全体の技術力の底上げに繋がっているように思います。
もちろん、案件が始まるとチームの表情は一変し、案件を成功させ、お客様に最高の作品を納品するために、「VFXアーティスト」として経験や技術を注ぎ込んで、案件に正面から取り組んでいます。
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