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 劇場アニメ『BLAME!』で施されたポリゴン・ピクチュアズによるライティング&コンボジットの工夫

劇場アニメ『BLAME!』で施されたポリゴン・ピクチュアズによるライティング&コンボジットの工夫

NUKEによる色指定

『シドニアの騎士』や『亜人』では、Mayaでレンダリングする際に色指定されたカラーパレットを適用していた。このフローは手間がかかる上にリテイクのたびに再レンダリングが必要となり、懸案となっていた。本作ではNUKE上で色指定を行うフローを実現、データのやり取りもスムーズになり、さらに修正対応のハードルも下げることができた。なお、色指定のために、使い慣れたPhotoshopの「色相・彩度」調整レイヤーと同じ挙動をする独自のノードなどが開発された

づるの色指定の一例

NUKE上のキャラクターに関わるノード群。赤い部分が色指定ノード

複数の色指定をNUKE上でブレンド

キャラクターの影表現

ライティングは、主に光を当てるためのDiffuseライトと、影を落とすShadowライトの2灯で行われた。キャラクターに光と同じ方向で影を落とすと、首の下や胸の下の影が足りず平面的になったり、逆に顔に変な形の影が出たりするため、それを避けるために影用のライトを独立させたという。ショットによっては、輪郭を出すためのリムライトも使用。後方や左右から光を当てると、階調が豊かでリッチなハイライトを入れることができる。また、前述のようにこれらをリアルタイムで確認することができる「mq Toon Previewer」が開発されている

「mq Toon Previewer」はMaya標準のビューポートと同じメニューに追加

影の形状のNG例資料

「mq Toon Previewer」の画面

NUKEによるダイレクトペイント

レンダリングで表現を詰めきれないときには、NUKE上でダイレクトペイントすることも。アニメーションをベイクした顔だけのジオメトリをMayaからAlembicで出力し、NUKEで読み込んで行う。図のように、いずれかのフレームにペイントすればジオメトリのアニメーションに沿って変形するため、全てのフレームに描き込む必要はない。意図しないところに落ちてしまっている影も同様の方法で修正された



  • 基のレンダリング画像



  • ダイレクトペイント後の画像

完成画

NUKE作業画面



  • 劇場アニメ『BLAME!』CGWORLD特別試写会レポート&瀬下寛之監督インタビュー
  • 劇場アニメ『BLAME!』

    原作:弐瓶 勉『BLAME!』(講談社「アフタヌーン」所載)
    総監修:弐瓶 勉
    監督:瀬下寛之
    副監督・CGスーパーバイザー:吉平"Tady"直弘
    アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ
    配給:クロックワークス
    製作:東亜重工動画制作局

    www.blame.jp

  • 月刊CGWORLD + digital video vol.226(2017年6月号)
    第1特集:劇場アニメ『BLAME!』
    第2特集:映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』

    定価:1,512円(税込)
    判型:A4ワイド
    総ページ数:144
    発売日:2017年5月10日
    ASIN:B06ZYQP5WN

Profileプロフィール

平林 章/Akira Hirabayashi

平林 章/Akira Hirabayashi

劇場アニメ『BLAME!』ライティング&コンポジットスーパーバイザー

スペシャルインタビュー