<2>ハイブリッドクラウドの活用という解答
CGW:ちなみにStudioGOONEYSでは、どのようなレンダラを採用されていますか?
新島:V-ray、mental ray、Arnold......様々ですね。クライアントの要望もあり、案件ごとに切り替えている感じです。
斎藤:それも頭の痛いところなんですよ。当社のレンダリングサーバは今のところCPU重視のマシン構成を採用していて、3〜4年ごとに機材を入れ替えています。しかし、今後はどうなるかわかりませんよね。レイトレーシングのような新技術も出てきていますし、リアルタイムCGに関する案件も増えていますので、GPUへの投資も検討課題です。技術トレンドがひとつに固まれば、そこに集中投資すればいいので、楽なんですが......。
CGW:日本の中小CGスタジオは、どこも同じような課題を抱えていますよね。
田中:そうした課題を解決できるのも、Azure Batch Renderingを導入するメリットです。サーバは次々に新製品に切り替わっていくので、保守運用コストが不要ですし、年々レンダリングコストが低下していきます。Mayaと3ds Max向けにプラグインが提供されていて、レンダラはArnoldに正式対応しているほか、V-Rayにも限定対応しています。
新島:Azure Batch RenderingはWindows環境で統一されているので、学習コストの低下も期待できそうですね。今はLinuxサーバを併用しているため、そこもコストを上げる要因になっています。
斎藤:実際、何が主流になるかわかりにくい時代だからこそ、色々なやり方を試してみるのが重要かもしれませんね。ただ、大手とちがって中小のスタジオでは、導入と検証に関するコストが馬鹿になりません。2〜3年くらい腰をすえて行う案件があれば別ですが、当社の規模だと3ヶ月から半年といった案件が中心です。そこで技術検証に2ヶ月くらいとられてしまうと、かなり厳しくなります。
新島:大手スタジオだと常駐のエンジニアがいて、そうした問題にも対応できると思いますが、多くの中小スタジオでは困難です。短期間で小規模な形から導入できれば、普及も広がりそうですが......。
田中:なるほど。ひとつご提案なのですが、当社の「Avere vFXT for Azure」を使われてみてはどうでしょうか? 2018年10月から加わった機能で、オンプレミスとクラウドサーバの活用を状況によって切り替える、ハイブリッドクラウド環境が容易に構築できます。また、テラバイトやペタバイトといった大規模データでも、クラウド上で迅速かつ簡単に処理いただくことが可能です。
Avere vFXT for Azureとは?
Avere vFXT for Azureは、データ集約型のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)タスク向けのファイルシステムキャッシュソリューションである。これを用いることで、クラウドコンピューティングのスケーラビリティを活かして、データがユーザーのオンプレミスハードウェアに格納されている場合であっても、必要なときに必要な場所でデータにアクセスできるようになる(図は利用イメージ)
docs.microsoft.com/ja-jp/azure/avere-vfxt/avere-vfxt-overview
斎藤:内製パイプラインや社内のレンダリングサーバを残しつつ、必要に応じてクラウドレンダリングも活用できる、というイメージでしょうか?
田中:そうですね。Avere vFXT for Azureを使用すれば、オンプレミスのネットワーク接続ストレージと「Azure Blob Storage」(=クラウドデータストレージ)のどちらからでも、Azureのコンピューティングリソースにアクセスできます。これにより、普段お使いの環境と同じような感覚で、クラウドレンダリングが使用可能になると思います。
斎藤:レンダリングコストを可視化できて、導入も容易であれば、検討する余地がありますね。オンプレミス環境が早急になくなるとは考えにくいですが、クラウドレンダリングの導入を検討する良いタイミングなのかもしれません。個人的にも過去のイメージをアップデートすることができました。今日はありがとうございました!
田中:ありがとうございました。
information
Azure Batch Rendering
azure.microsoft.com/ja-jp/services/batch/rendering
Azure を使用したレンダリング
azure.microsoft.com/ja-jp/solutions/big-compute/rendering
問: 日本マイクロソフト株式会社
TEL:0120-952-593