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コンセプトアートでワクワクする未来を創りたい〜INEI代表・富安 健一郎が語る人生の光と陰(後篇)

コンセプトアートでワクワクする未来を創りたい〜INEI代表・富安 健一郎が語る人生の光と陰(後篇)

「こんな未来が本当に来たらすごい」をコンセプトアートで実現

CGW:設立8年目を迎えたINEIですが、最近の活動について教えてください。

富安:今までどおりゲームや映画のコンセプトアートを頑張りつつ、その他にも様々な動きがあります。コンセプトアート自体、活用の幅が広がっているのかな。特に最近は、実際のプロダクトや製品、都市計画や宇宙開発などにコンセプトアートを使いたいという相談が増えていて、そういう仕事もめちゃくちゃ楽しいですね。コンセプトアートは人生設計にも使えるし企業の事業計画にも使えるし、何らかのコンセプトをビジュアル化したい場合は何にでもあてはまるんです。INEIが目指すのは「コンセプトアートの価値の最大化」なんですよ。


CGW:ゲームや映画といったエンターテインメントだけではなく、企業の事業計画などの商業的なシーンでも富安さんのコンセプトアートは活躍しているんですね。実際に行われる事業ではあるけれど少し未来の計画だから、想像力を働かせて描き込む余地があるわけですね。余白の部分を想像して埋めたり付け加えたりするのって楽しいですよね。

富安:人間が作るものは結局誰かが想像したもので、その想像の基になっているものも誰かのアイデアだったりするんですよね。昔はそういったアイデアを出す人がいっぱいいたからテクノロジーが一気に発達してきたわけだけど、どこもアイデアが出尽くしてしまった感があって。

だから、「そこから先の未来」を想像する人が必要だし、とても興味があります。「実現可能っぽさ」とか「ワクワク感」とか「こんなんだったらいいのにな」といった、想像力を伴って表現できるものが僕が考えるコンセプトアートなんです。

僕自身が「こんな未来が本当に来たらすごいな」と思って描いて、その絵を見たクライアントにも僕のイメージとワクワク感が伝わって「今すぐやりたい」と思ってもらえることがすごく重要で。これこそが僕にとってのコンセプトメイキングのゴールであり、コンセプトアートだからこそできることだと思っています。


CGW:リアリティがありつつも空想がふんだんに詰め込まれているコンセプトアートを見ると、妙に説得力があってワクワクしますよね。

富安:そうそう。未来を想像するときに一番必要なのは「ワクワクすること」なんだと思います。コンセプトアートにはまちがいも正解もありませんからね。

CGW:最近は「CONCEPT ART NITE」の主催や「映像制作の仕事展」をはじめとする様々な展示会やセミナーの開催、ライブペインティングの配信など、コンセプトアートに関する情報の発信を積極的に行なっていらっしゃいますね。


昨年11月に開催された「CONCEPT ART NITE 02」の様子。レポート記事はこちら

富安:コンセプトアートはつい最近まで日本にはなかった職業なので、積極的に広めていかないと未来がないかな、という一種の使命感ですね(笑)。本当に狭い世界なので、潰し合うとかバカらしくて。そもそもそういう段階じゃないと思うので、どんどん交流をもって仲良くなり、みんなでどんどん上手くなっていくしかないんじゃないでしょうか。

何よりそういうのって楽しくないですか? イベントが終わってみんなで飲みに行くのも楽しいですし、若手のクリエイターとももっと気軽にコミュニケーションを取りたい。だから「僕って実際はこんな感じですよ〜」と親しみやすい"気楽なINEIちゃん"を目指しています。そんなわけで、CONCEPT ART NITEも「未来世界遺産展」のような展覧会もまた開催したいですし、様々なかたちでクリエイターが交流できるイベントを主催するのも良いなと思っています。

CGW:7月31日(水)に、CGWORLD +ONE Knowledgeで「世界で戦うトップクリエイターの失敗から学ぶ本気のコンセプトアート論!」が開催されますね。3部構成のセミナーですが、「Google検索禁止? アイデアはどこから来るのか」「とにかく描く! じゃないコンセプトアートの上達方法」など、トピックがどれも興味深いです。

富安:僕がこれまでに重ねてきた「現場での失敗や経験」をふまえてお話しさせていただこうと思っています。失敗しないことには成長できませんからね。とにかくこれまでたくさん失敗してきたので、そのあたりをしっかりと教えます。大丈夫! 失敗なら僕に任せてください(笑)。

セミナーはハンズオンではないので、その場では絵を描きません。みなさんの「何を描けばいいの?」という漠然とした疑問や、考え方、精神的なセルフマネジメントの方法など、テクニック以外の部分でつまづきがちなポイントについてもしっかりお話しします。学びに行くというより、遊園地に行くときのようなワクワクした気持ちで来てくれたら嬉しいですね。帰る頃には世界がちがって見えるようになってくれたら最高です。


CGW:ありがとうございました。


世界で戦うトップクリエイターの失敗から学ぶ
本気のコンセプトアート論!
(CGWORLD +ONE Knowledge)
詳細はこちら

Profileプロフィール

富安 健一郎/Kenichiro Tomiyasu(INEI)

富安 健一郎/Kenichiro Tomiyasu(INEI)

ゲーム会社のデザイナー、フリーランスのアーティストなどを経て、2011年にコンセプトアートのスペシャリスト集団である株式会社INEIを発足。現在は同社代表を務めつつ、映画、ゲーム、CMなどのエンターテインメントコンテンツ、都市計画、大型施設などのコンセプトアートを手がけている

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