"その作業"に最適なPC構成は何?
全11項目に及ぶ、3DCG・映像工程別パフォーマンス検証。
今回、ボーンデジタルソフトウェア事業部でサポートスタッフを務めている村田智洋に、エプソンダイレクトが製造・販売する3DCGならびに映像制作用途を前提としたクリエイターPCを使い、デジタルコンテンツ制作現場で行われている各種作業を実際に試してもらった。全11項目、デバイスを入れ替えて120種類の検証を行なった結果のうち、興味深い結果の出た2つの検証について紹介しよう。
その他記事検証結果をまとめたホワイトペーパーは、エプソンダイレクトの問合せフォームよりユーザー登録することで手に入る。ぜひ、問合せてみよう。
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検証機
Endeavor Pro9000 3DCG 制作 Select- OS
- Windows 10 Pro 64bit、Windows 10 Home 64bitから選択
- CPU
- インテル® Core™ i7-9800X プロセッサー、インテル® Core™ i9- 9920X プロセッサー、インテル® Core™ i9-9980XE プロセッサー エクストリーム・エディションから選択
- RAM
- 32?128GB
- GPU
- NVIDIA® GeForce RTX™ 2070、NVIDIA® GeForce RTX™ 2080、NVIDIA® GeForce RTX™ 2080 Ti、NVIDIA® Quadro RTX™ 4000から選択
- ストレージ
- HDD 2TB(シリアルATA 600MB/s、7200rpm、4基内蔵可能)/4TB・8TB(シリアルATA 600MB/s、5400rpm、4基内蔵可能)/SSD 512GB・1TB(シリアルATA 600MB/s)/M.2 SSD 512GB・1TB(PCI Express x4)/インテル® Optane™ SSD 960GB(PCI Express x4)
Endeavor MR8200 3DCG 制作 Select
- OS
- Windows 10 Pro 64bit、Windows 10 Home 64bitから選択
- CPU
- インテル® Core™ i5-9600K プロセッサー、インテル® Core™ i7-9700K プロセッサー、インテル® Core™ i9-9900K プロセッサーから選択
- RAM
- 32/64GB
- GPU
- NVIDIA® GeForce RTX™ 2060、NVIDIA® GeForce RTX™ 2070、NVIDIA® GeForce RTX™ 2080、NVIDIA® GeForce RTX™ 2080 Ti、NVIDIA® Quadro P2000から選択
- ストレージ
- HDD 1TB・2TB(シリアルATA 600MB/s、7200rpm、3基内蔵可能)/4TB・8TB(シリアルATA 600MB/s、5400rpm、3基内蔵可能)/SSD 256GB?1TB(シリアルATA 600MB/s)/RAID RAID 1:1TB HDD
検証1:Mayaビューポートにおけるアニメーションのプレビュー再生速度
Maya 2019のビューポート上でアニメーションをプレビューする際のフレーム数についての調査。3DCGにおけるキャラクターアニメーションは、特定のポージングをタイムライン上にキーフレームとして配置し、これらを時間軸に沿って再生することで動きを表現する(キーフレーム間は自動的に補完される)。キーフレーム自体はパラパラ漫画と同様だが、その間のモーフィングはCPUによる頂点移動の演算によって補完される 形となるため、動きの複雑性やシーンデータの重さによってフレームレートは上下する。
結果は上◆表のとおり。CPU性能については、検証モデル<1>~<3>は第9世代CPUのCore i7-9800X、i7-9700Kを搭載しているため、いずれも200f以上を保っている。演算にCPU負荷が掛かる。また、描画にはGPU性能も欠かせない。GeForce RTX 2080 TiでもP2000でも有意差がそれほど表れていないのは、通常Mayaは60f固定や120f固定といった具合にフレームレートを設定して作業を行うため、ある程度の数値以上は頭打ちになっていることが考えられる。
続いて、CPU性能をCore i5まで落とした状態で同一のアニメーションを再生してみた。ここでは32~88fと、他のモデルに比べて大幅なフレームレートの低下が表れている。この結果からは、GTX 1070 TiクラスのGPUを搭載していても、CPUの性能が低ければボトルネックが生じて大幅に性能が低下することが示されている。
ほかにも、アニメーションを行うためには全データを一度メモリ上に格納し、キャッシュを生成する必要がある。そのためメモリが不足していると常時計算モードとなり、速度が落ち込んでしまう(ただし、今回の検証は最低でも32GBを積んでいたため、数値としては表れていない)。また、アニメーションの読み込みや演算自体がスムーズであっても、GPUが低スペックであれば描画そのものがカクついてしまう。このようにアニメーションには非常に多くの要因が絡んでくるが、最も大切なのはCPUとGPUのバランスであると言える。
検証2:Davinci Resolveでリアルタイムにエフェクトを追加した際の反映速度
Davinci Resolve 16にエフェクトを追加した場合のリアルタイム再生が60フレームを維持できるかの検証を実施。Davinci Resolve 16は、8K編集、カラーコレクション、VFX、オーディオポストプロダクション機能を統合した動画編集ソフトウェアであり、複数人による同一プロジェクトの編集機能やFairlightオーディオ機能による高品位なMAを可能とする質の高い製品となる。
検証結果は上◆表のとおり。エフェクトをリアルタイムで掛けるなどの負荷を与えた状態でもフレームレートはほぼ一貫して60f近辺を保っており、有意差は見られなかった。そのためCPU使用率、GPU使用率のモニタリングを行い、パフォーマンスの優位性を明らかにする方針へと変更。Core i9-9980XEとGeForce RTX 2080 Tiを搭載した検証モデル<1>は、CPU20%、3.3GHz GPU55%という使用率かつ一度も60fを下回ることがなかった。一方、GPUをGTX 1070 Tiに変更しただけで一気にGPU使用率は99%まで上昇した。ただしその場合でも59fは出ており、CPUをi5-9600Kに換装した検証モデル<4>でも56~60fとほぼ問題ない数値は出ていたため、いずれの構成でも実作業では十分なパフォーマンスを発揮することが示された。
なおDavinci Resolveは再生の際にCPUとGPUを同時に使用するため、どちらも同等のスペックを有していることが重要となる。つまりDavinci Resolveの活用においては、どちらかに偏ってコストをかけるよりも、ボトルネックを避けるためにはバランスの良い構成が好ましいことが示唆された。
さらに9つの検証を実施!
上記で紹介した2つの検証に加えて、3DCG関連で6種類。映像/VFX関連で3種類の検証も行なっている。いずれも非常に有益な内容になっているので興味のある方はエプソンダイレクトへの問い合わせをお薦めする。
巨大なシーンデータの読み込み
建築業界や商品開発を担う製造業界など、ビジュアライゼーションを必要とする分野のほか、巨大な背景データを取り扱うゲーム業界および3DCG制作全般での使用を想定し、「巨大なシーンデータの読み込み」という実験をMaya 2019で実施。実験に使用したデータは3234万ポリゴンの地形データで、これは広域に渡るビル群を再現する状況が想定されている。巨大なデータを動かす際の快適さ
3200万ポリゴンという大容量のOBJ形式3DCGモデルデータをMaya 2019で展開した際、CPUの性能差によってデータ読み込みの速度にどの程度の差が出るか、また3Dモデルを回転させた際のフレームレートがGPUの性能差によってどの程度低下するかを計測
(Maya 2019のビューポート上に表示されるフレームレートを計測)。
高解像度テクスチャを3Dモデルにベイクする経過時間
Substance Painterを用いて4Kサイズの高解像度テクスチャを3Dモデルにベイクする経過時間を計測。Substance Painterは、3Dモデルのテクスチャ作成ツールのディファクトスタンダートとも言える3Dペイントツールであり、ゲーム業界やVFX業界などハイエンド3DCGを手がけるユーザーを中心に幅広く利用されている。
検証データ提供:Turbosquid
www.turbosquid.com/3d-models/
france-tenement-lwo/854643FumeFXを用いた流体・煙などのシミュレーション速度
エフェクトプラグインFumeFXによる煙のシミュレーションを100フレーム分実行し、レンダリングが完了するまでの時間を計測し比較。FumeFXは炎や爆発、煙などを再現するシミュレーションツールで、Mayaや3ds Maxと統合可能なソリューションである。流体力学によるシミュレーションは数ある3DCG工程の中でも非常にマシン負荷が高い。
Redshift Render 3.0を用いたレンダリング速度の検証
GPUバイアスレンダラーであるRedshift Render 3.0を使い、Maya 2019に読み込んだ複雑なシーンをレンダリングするまでに掛かる時間を計測。本検証はCinema4Dや3ds Maxを使用してフォトリアルCGを制作する小規模プロダクションのゼネラリストや、広告・CMを手掛けるフリーランスに向けたものとなる。
検証データ提供:コロッサス
http://cls-studio.co.jp/
V-Ray Nextを用いたレンダリング速度の検証
3ds Max 2020にシーンデータ(屈折・反射などが求められるオブジェクトの多い建築物のデータ)を読み込み、V-Ray Nextを用いてレンダリングを行う際の時間を計測。2018年にバージョンアップを果たしたV-Ray Next(内部バージョンは4.0)はMayaや3ds Maxの統合とも相まって非常に多くのスタジオで用いられている。
レンダリング素材:『Archinteriors vol.12』 (EVERMOTION)を利用Adobe Premiere Proにおける4Kリアルタイム再生の遅延
Adobe Premiere Proで4K素材をリアルタイム再生したとき、再生時間と実測時間で何秒のズレが生じているかを検証。Premiere Proのリアルタイム再生では、レンダリングされた最終版のプレビューを即時に見ることができる一方、適切なフレームレートを得るためには上位のCPUを用意する必要があり、一般的なPCではカクつきやコマ落ちが多発する。
検証データ提供:STUD
https://www.stud.vg/
Adobe After Effectsの レンダリング速度
Adobe After Effectsで2D素材をレンダリングした際の時間を計測。検証の対象としては実写VFX系ユーザー、遊技機・ゲーム・映像など幅広い分野において2D系で多レイヤーに分かれた素材のコンポジット・レンダリング業務を行うユーザーである。
検証データ提供:STUD
https://www.stud.jp/works/AfterEffectsBench2019.htmlDavinci Resolveにおけるカラーグレーディング時のフレーム数
Davinci Resolveによるカラーグレーディング作業時のフレームレートを計測。この検証では、LUT(Look Up Table)やノードベースのエフェクトを追加し、動画をリアルタイムに再生したとき、60fを維持できるのかが焦点となった。
検証データ提供:STUD
https://www.stud.vg/
法人のお客様限定
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https://shop.epson.jp/pc/creator/
問:エプソンダイレクト株式会社
shop.epson.jp/pc/