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JET STUDIO Effect Lab. 自然現象を応用した創作系エフェクトの制作

JET STUDIO Effect Lab. 自然現象を応用した創作系エフェクトの制作

戦車砲を応用したエネルギー弾エフェクト

要素を抽出し創作用にアレンジ

大きな要素となるエフェクト「衝撃波とエネルギー弾」を第5回のテーマで紹介した「戦車砲」から応用します。戦車砲は時速約6,480kmという途方もないスピードで移動するため、周囲への影響は計り知れません。特に発射時は急激な圧力の変化に伴う衝撃波により、その威力を表現するには余りあるスケールとビジュアルを確認することができます。この迫力を創作エフェクトに応用できないかと考え、まずは必要な要素を戦車砲の衝撃波と砲弾のながれから抽出してみたのが[1]となります。この情報を基に要素別で制作したエフェクト素材が[2]。主にこれらの素材を組み合わせて衝撃波とエネルギー弾のエフェクトを作り上げていきます。ちなみに素材は全て3ds Max上で制作[3]。これはアニメーションや大きさのバランス調整を行いやすくするためです。最終的な戦車砲エフェクトの画が[4]です。

1.戦車砲の衝撃波と砲弾のながれ



2.戦車砲をアレンジしたエフェクト要素


  • 砲弾とその衝撃波


  • 砲身からの高圧ガス


  • 円状の衝撃波①


  • 円状の衝撃波②


全ての要素を組み合わせた画

3


4


スリップストリームを応用してビームの余韻をつくる

衝撃波とエネルギー弾が完成しましたので、この2つのエフェクトをさらに強調するためのエフェクトを追加していきたいと思います。現実では質量の大きな物体が空間を急速に動くと周囲の空気のながれに大きな変化をもたらします。この現象をスリップストリームと言うのですが、わかりやすい例を示したのが第4回「小屋の破壊」で説明した図[1]です。もちろん戦車砲でも同様の現象が起きており[2] 、創作エフェクトにもスリップストリームを意識したエフェクトを付け足すことでより説得力と迫力が生まれることを期待して制作します。素材はFumeFXで制作するのですが、スリップストリームの再現でのポイントは発射後に生じる空気の押し出しの表現です。こちらは球状のオブジェクトを衝突用に指定し、後方から煙を追い立てる気流のながれを表現します[3]。完成図は[4]となります。

1.クルマ移動時のスリップストリーム


2.戦車砲のスリップストリーム


3.スリップストリームの再現


  • FumeFXによるエフェクト制作


  • 後方からの気流の押し出しを球体の衝突オブジェクトで再現


シミュレーション結果

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